邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
第百十八話 侵入:安置所
6章 玩具は盤上で踊る
『こちらC班!制圧完了!』
『同じくA班、制圧完了だ』
『チッ!こちらD班、交戦中だ!』
『こちらS班、戦闘なしで侵入完了じゃ』
『『『ハァ!?』』』
次々に報告がされる中、やはりトラップだらけの白い廊下で未だに戦闘なしというシグレたちS班の働きには、攻略組メンバーも脱帽のようだ。
(これくらいなら頑張れば奴らにも出来ると思うんじゃがのう…)
3人がやっているのは魔力放出、つまり体から意識して魔力を流し出すことで体の周囲に魔力の膜を作り出している状態である。
3人から見ればたった少しでも、そこは流石に賢者と言うべきか探知結界の効果を阻害し、無効化することに成功している。
(領域型結界ならこれくらいで無効化できるんですね。これくらいなら魔道具にしてもあまり負担はなさそうですし、今度作ってみますか)
「ツッ!何か新しい魔法のこと考えてたでしょ!」
「え、ええ…」
「どんなのなの!?ねぇねぇ教えて!」
「やめんか」
「うわっ!」
シグレの企みに動物的な勘なのか気づいたアリスが詰め寄ってくる。
すぐさまスイッチがオンになったのか興奮気味でハァハァ言っている。
セフィロのツッコミがなければこのまま流れに流されて話してしまっていただろう。(別に話しても構わないが)
『アリス、恐ろしい子!』
『………』
『ちょ、なにか反応して、私泣いちゃうよ?』
クトゥルフが茶々を入れるのをスルーしつつ一行は進んでいく。
「ん?」
「サーチアンドデストロイ!」
「ぁ」
廊下を歩く研究員らしき職員は災難なものである。
本物の見かけたら殺すをその身に受けることになるのだから。(殺してはいないが)
因みに倒された職員はシグレ謹製の魔符で図書館の牢獄へと転送するようになっている。
さてさてほかの班はというと…
「うわっ!マジで消えたぜ!」
「すげぇなこれ!」
「この無線機も本物だし…これ、逃げた方が儲かるんじゃね?」
『はいアウト。次はないですよ』
「うわっ!」
邪な思考を口に出すと同時に、脳内にシグレの声が響き、大音量が周囲に鳴り響く。
警戒警報により武器を持った職員がその場に集まってくる!
「くそが!」
『どっちがですか…』
盗もうとしておいてとんだ言いがかりである。
まあこんなことをしなくても付与で盗難無効を付与してあるので問題は無いのだが。
「お、ドアじゃな」
「さっきみたいな空き部屋じゃないといいですね」
そう、実はこの白い廊下から繋がる扉はこの前にも結構あったのだが、すべて空き部屋であった。
隠し部屋の探知も行った上での判断なので本当に何も無い部屋ばかりだったのだ。
当然ほかの班も同じような感じである。
セフィロが無造作に扉を開くと、中から白い冷気が3人の体を冷やす。
誰からともなく武器を構え、3人は中へと入っていった。
中は異様に暗く、一寸先は闇と言った様子である。
「しかもここ、魔力が無いわ。魔法無効化結界があるわね」
「取り敢えず補助魔法だけかけときますか、雪精霊の加護、炎蜥蜴の衣」
「賛成ね、この結界程度じゃあらかじめかけられた補助魔法くらいなら無効化されないだろうし、冒険の加護」
冷気を弱める精霊の加護と環境効果減少の魔法により、三人の冷気対策は万全となった。
セフィロが先行し、2人はそのあとを追う。
「ッチ!」
セフィロがなにかに躓く。
「魔力がいるから使いたくなかったんじゃが…」
「魔法粉砕」
「ライトボール」
3人の頭上にそれぞれ光の球が浮かび、暗闇を光が塗りつぶす。
『ワーオ!』
「ここ…は…?」
それを呟いたのは誰だったのだろうか。
光が照らし出したのは部屋すべてを覆う氷と、そのなかの死体。
部屋の広さは一軒家ほどに大きく、壁に、床に、天井に大きさや種族の異なる大量の死体が凍りついていた。
「なるほど、冷気はこの氷のため、魔法無効の結界は蠢く死体の発生を防ぐためか」
因みにAMOでは魔力の濃い場所に生物の死体があるとゾンビ化してしまう。
魔法無効結界は魔法を無効化するためではなくそれに魔力を使い切ることで蠢く死体の発生を抑えることが目的であった。
「これだけ死体があるってことは、それが必要だってことだよね。まぁ魔力が多いのも納得だわ」
生物が死ぬ時や死体からは魔力が発散されている。
その発散された魔力が全て無くなった場合、始めて魔物の死体が消え始める。
そして、本来その魔力の発散はとてもゆっくりであり、屍霊魔術などでそれを止めることが出来る。
そんな事情があり、何処で死のうと聖域でもなければその魔力でゾンビ化してしまったりする。
ゾンビとはそれだけ厄介なモンスターなのである。
因みにプレイヤーが生物を倒すと出てくる光の粒、あれが死後発散される魔力である。
因みにプレイヤーの狩った魔物がすぐに消えるのは死んだ瞬間から大量に魔力が発散されるからなのだがそれはまた別のお話。
閑話休題
「これまたいろいろなものを集めたのぉ」
氷漬けの死体は人間や狼、八本の角の生えた羊など様々である。
『死体安置所らしき場所を発見、扉から冷気が漏れたらそこじゃ、中に入るでないぞ、暗くて一寸先も見えんし、何も無い上に魔法が無効化されとる』
セフィロが連絡を終えるのと同時に、アリスがセフィロに声をかける。
「ねぇねぇ、これを見て」
「これは…注意せねばならぬな」
『追加じゃ、死体安置所に錬金合成獣らしき死体を確認、見た目は様々じゃが、見つけたら即刻逃亡せよ』
「さて、ゆくぞ」
「あ、ちょっと待っててください」
「ん、何じゃ?」
「やることがあるので」
右手に本を持ち、シグレはそう言い放った。
三十分後、ほかの班がようやく死体安置所にたどり着いた所で、ほくほく顔のシグレと、何も言わぬセフィロとアリスは、進行を再開した。
ナニシタンダロウネ?
クロシヲニハワカラナイヨ?(´^ω^`)ニヤニヤ
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『こちらC班!制圧完了!』
『同じくA班、制圧完了だ』
『チッ!こちらD班、交戦中だ!』
『こちらS班、戦闘なしで侵入完了じゃ』
『『『ハァ!?』』』
次々に報告がされる中、やはりトラップだらけの白い廊下で未だに戦闘なしというシグレたちS班の働きには、攻略組メンバーも脱帽のようだ。
(これくらいなら頑張れば奴らにも出来ると思うんじゃがのう…)
3人がやっているのは魔力放出、つまり体から意識して魔力を流し出すことで体の周囲に魔力の膜を作り出している状態である。
3人から見ればたった少しでも、そこは流石に賢者と言うべきか探知結界の効果を阻害し、無効化することに成功している。
(領域型結界ならこれくらいで無効化できるんですね。これくらいなら魔道具にしてもあまり負担はなさそうですし、今度作ってみますか)
「ツッ!何か新しい魔法のこと考えてたでしょ!」
「え、ええ…」
「どんなのなの!?ねぇねぇ教えて!」
「やめんか」
「うわっ!」
シグレの企みに動物的な勘なのか気づいたアリスが詰め寄ってくる。
すぐさまスイッチがオンになったのか興奮気味でハァハァ言っている。
セフィロのツッコミがなければこのまま流れに流されて話してしまっていただろう。(別に話しても構わないが)
『アリス、恐ろしい子!』
『………』
『ちょ、なにか反応して、私泣いちゃうよ?』
クトゥルフが茶々を入れるのをスルーしつつ一行は進んでいく。
「ん?」
「サーチアンドデストロイ!」
「ぁ」
廊下を歩く研究員らしき職員は災難なものである。
本物の見かけたら殺すをその身に受けることになるのだから。(殺してはいないが)
因みに倒された職員はシグレ謹製の魔符で図書館の牢獄へと転送するようになっている。
さてさてほかの班はというと…
「うわっ!マジで消えたぜ!」
「すげぇなこれ!」
「この無線機も本物だし…これ、逃げた方が儲かるんじゃね?」
『はいアウト。次はないですよ』
「うわっ!」
邪な思考を口に出すと同時に、脳内にシグレの声が響き、大音量が周囲に鳴り響く。
警戒警報により武器を持った職員がその場に集まってくる!
「くそが!」
『どっちがですか…』
盗もうとしておいてとんだ言いがかりである。
まあこんなことをしなくても付与で盗難無効を付与してあるので問題は無いのだが。
「お、ドアじゃな」
「さっきみたいな空き部屋じゃないといいですね」
そう、実はこの白い廊下から繋がる扉はこの前にも結構あったのだが、すべて空き部屋であった。
隠し部屋の探知も行った上での判断なので本当に何も無い部屋ばかりだったのだ。
当然ほかの班も同じような感じである。
セフィロが無造作に扉を開くと、中から白い冷気が3人の体を冷やす。
誰からともなく武器を構え、3人は中へと入っていった。
中は異様に暗く、一寸先は闇と言った様子である。
「しかもここ、魔力が無いわ。魔法無効化結界があるわね」
「取り敢えず補助魔法だけかけときますか、雪精霊の加護、炎蜥蜴の衣」
「賛成ね、この結界程度じゃあらかじめかけられた補助魔法くらいなら無効化されないだろうし、冒険の加護」
冷気を弱める精霊の加護と環境効果減少の魔法により、三人の冷気対策は万全となった。
セフィロが先行し、2人はそのあとを追う。
「ッチ!」
セフィロがなにかに躓く。
「魔力がいるから使いたくなかったんじゃが…」
「魔法粉砕」
「ライトボール」
3人の頭上にそれぞれ光の球が浮かび、暗闇を光が塗りつぶす。
『ワーオ!』
「ここ…は…?」
それを呟いたのは誰だったのだろうか。
光が照らし出したのは部屋すべてを覆う氷と、そのなかの死体。
部屋の広さは一軒家ほどに大きく、壁に、床に、天井に大きさや種族の異なる大量の死体が凍りついていた。
「なるほど、冷気はこの氷のため、魔法無効の結界は蠢く死体の発生を防ぐためか」
因みにAMOでは魔力の濃い場所に生物の死体があるとゾンビ化してしまう。
魔法無効結界は魔法を無効化するためではなくそれに魔力を使い切ることで蠢く死体の発生を抑えることが目的であった。
「これだけ死体があるってことは、それが必要だってことだよね。まぁ魔力が多いのも納得だわ」
生物が死ぬ時や死体からは魔力が発散されている。
その発散された魔力が全て無くなった場合、始めて魔物の死体が消え始める。
そして、本来その魔力の発散はとてもゆっくりであり、屍霊魔術などでそれを止めることが出来る。
そんな事情があり、何処で死のうと聖域でもなければその魔力でゾンビ化してしまったりする。
ゾンビとはそれだけ厄介なモンスターなのである。
因みにプレイヤーが生物を倒すと出てくる光の粒、あれが死後発散される魔力である。
因みにプレイヤーの狩った魔物がすぐに消えるのは死んだ瞬間から大量に魔力が発散されるからなのだがそれはまた別のお話。
閑話休題
「これまたいろいろなものを集めたのぉ」
氷漬けの死体は人間や狼、八本の角の生えた羊など様々である。
『死体安置所らしき場所を発見、扉から冷気が漏れたらそこじゃ、中に入るでないぞ、暗くて一寸先も見えんし、何も無い上に魔法が無効化されとる』
セフィロが連絡を終えるのと同時に、アリスがセフィロに声をかける。
「ねぇねぇ、これを見て」
「これは…注意せねばならぬな」
『追加じゃ、死体安置所に錬金合成獣らしき死体を確認、見た目は様々じゃが、見つけたら即刻逃亡せよ』
「さて、ゆくぞ」
「あ、ちょっと待っててください」
「ん、何じゃ?」
「やることがあるので」
右手に本を持ち、シグレはそう言い放った。
三十分後、ほかの班がようやく死体安置所にたどり着いた所で、ほくほく顔のシグレと、何も言わぬセフィロとアリスは、進行を再開した。
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