邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第百十六話 蝕ム怨念

6章 玩具は盤上で踊る


「あ、これ美味しいですね。今度また素材を補給しておきましょう」

荒野のハゲワシからドロップした肉を唐揚げにして食べているシグレは、そんなことを呟いた。

ちなみにハゲワシはなぜかAMOこのゲームだと異様に美味い。マジで国産地鶏クラスである。そんなうまさと、現在だと空中への攻撃手段が乏しく、チンタラしてると炎蜥蜴に焼かれるとあって入手困難なためオークションでは普通に万がつくこともあるとかないとか。

さてシグレはというと、ほどほどに唐揚げや付け合わせを食べ、MPが回復しているのを確認し、気絶している狼たちと2人にご飯を作り、回復魔法をかけてから周辺の探索へと歩いていった。

(皆が倒れてからもう一時間以上たっているのに誰も起きない…それほど衝撃的だったということですかね)

シグレがぶらぶらと歩きながら大地を浄化するなか、砂しかなかった死の大地に黒い何かがあった。

(なんですかねこれ…見た感じ水に近い感じではありそうですが…)

黒曜石のような光沢のある黒ではない、あのフェンリルのオーラのような全てを、光すらも呑んでしまいそうな漆黒の水でできた湖らしきものがシグレの視界に広がっていた。

ー邪怨水による意識への干渉を確認…『死神』を起動…抵抗しましたー

邪怨水 ☆10 品質 A

フェンリルの神への負の感情に汚染された水。
触れたものにその感情を伝染させ、脳のリミッターを外しその感情にのみ従う人形を作り上げる。

少量を瓶にすくい取って鑑定した結果がこれである。

(世界滅亡の危機ジャナイデスカヤダー…)

予想以上にやばいものだった。
こんなのが世に出回ったら滅ぶこと間違いなしであろう。

さすしんである。

(死神さまさまですね。そんな理性もなく暴れまわる人形にはなりたくないですし、というかこれ今すぐ浄化しないとやばいのでは?)

既にここは狼の集落の外なので普通にプレイヤーもやってくる。
その人間達が邪怨水に触れたり採取したらパンデミックに限りなく近くそして遥かに危険なことが起こるのは明白であった。
そんなこんなで休んでいた時に作った超濃縮MPポーション(固形)を噛み砕きながら魔法を発動する。

因みにこの濃縮ポーション、通常の液体MPポーション1000本分の回復量を誇り、サイダー味、そして形と作りがまんま飴なのですぐに食べれるという素晴らしいものである。

閑話休題それはそれとして

浄化のために水に手を入れるだけでも多大な不快感がシグレを蝕む。

「魔法多重化
魔法効果増強 魔法効果超増強
魔法範囲拡大 魔法範囲超拡大
魔法効率化 魔法超効率化
偽・水神の祝福ブレス・オブ・ネプトゥーヌス

水につけた両手から青色の光の波が放出され、全てを呑み込む漆黒が、透き通るように美しい透明へと変わっていく。
数秒後には、元の姿を取り戻した美しい湖が太陽の光を反射して輝いていた。

(これ…で、なん…と…か…)

MP欠乏症のよる倦怠感と途切れていく意識の中、シグレはそう考えながら倒れ込んだ。


はい、神獣様強すぎひん?

さすしんはまあ、言わんでもわかるよね?(さすが神獣の略)

魔力欠乏症とはMPが0になると起こる現象で、即刻気絶します。
本来ならMPが最大MPの一割をきったところで「酩酊」の状態異常がかかるのですが今回は一気に0になったため、即倒れました

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