邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第百四話 図書館の魔女

6章 玩具は盤上で踊る


「だいじょうぶか?お主…」

暖炉の近くで疲れたように現実なら黒檀製と思しきゆりかご椅子に座りうなだれるシグレに対して、かの大賢者は控えめに声をかけた。

「あんまり大丈夫じゃないですね」

それが聞こえたのかシグレはうなだれた状態のまますぐさま応答した。

「神格相手でも物怖じせんお主をここまで精神的に消耗させられるとはどんな化け物なんじゃ…」

「あれとはまた違った恐ろしさがありましたよ。何せ相手は戦闘狂バトルジャンキーですから、どこまでも追いかけてきますし、何より頭が逝っているから行動が予測できない。そういう恐ろしさですよ」

めんどくさそうにしながらも少し嫌そうな顔でシグレはそう語る。

「ああ〜…わしもおんなじような経験をしたことあるのぉ」
「でしょう?」

昔を思い出したかのように目を細めるセフィロに対して、シグレはすぐさま反応した。

「この図書館の主とか一番めんどくさかったわ…」

するとシグレはゆっくりと揺れていたゆりかご椅子を止めて問いかける。

「この図書館って師匠のものじゃないんですか?」

「ああ、そうじゃよ?ここの持ち主であり、ここに住んどったのはアリス・ラースという変わり者のお嬢様でな、それはそれは恐ろしい女なんじゃ」

「例えばどのように?」

「魔法が好きで、しかも適性があったから5歳で魔法が使えたそうじゃ
信じられるか?大賢者たるわしに迫ろうとしておるのじゃぞ!」

「ちなみに師匠はいつから魔法が使えたんですか?」

「4歳くらいじゃな」

ちなみにこの5歳、4歳という年齢はNPCノンプレイヤーキャラクターにしては天才どころか化け物である。

通常ならば魔法の勉強を開始するのは7歳くらいから、ついでに言えばまずどんなに才能があっても大抵の人間は自分の体内にある魔力を感知するのに一年はかかる。

プレイヤーのようにSPスキルポイントがないため長時間に及ぶ修練による自然取得しか方法がないためである。
また、自身の魔力を感じられるだけでは魔力察知は取得できない上、体外の魔力を察知するのは体内魔力の察知よりもさらに困難を極める。

そして魔法を使うためには察知するだけでなく自在に魔力を操らなくてはならない。そのような理由から「〇〇魔法」などの完成した魔法スキルを持っているおはNPCの中では大抵20歳以上であり、それ以下の年齢では、使えるとしても初級魔法やただ魔力を固めただけの魔力弾のみであった。

そんななかで、4、5歳にしてアリスは中級、セフィロはなんと上級魔法を行使できるまでになっていた。

「まあ簡単に言えばわしと同等かそれ以上の才能を秘めた魔法使いであり、この国の公爵家の娘であり、魔法オタクじゃ」

とセフィロが締めくくると同時に、周囲の空間が揺れ、そこから人影が現れた。


イヤーダレガキタンダロウナー

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コメント

  • ノベルバユーザー208197

    誤字報告 また、地震の魔力を感じられるだけでは魔力察知は取得できない上、体外の魔力を察知するのは体内魔力の察知よりもさらに困難を極める。→また、自身の魔力を感じられるだけでは魔力察知は取得できない上、体外の魔力を察知するのは体内魔力の察知よりもさらに困難を極める。
    イヤーダレガキタンダロウナーケントウモツカナイヤー

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