魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第14陣スウィーツ日和 後編
色々な事に疑問を持ちながらも、ヒデヨシと城下町スィーツ巡りを続けた俺は、その後僅か三時間で三軒も周り、とうとうお腹に限界が来てしまったのでヒデヨシに申告。彼女もどうやら理解してくれたらしく、夕方前には城に戻ることになった。
だが、戦いはまだ終わっていなかった。
「え、えっとヒデヨシさん、これは一体……」
「帰るとは言ったけど、ツアーが終わったとは私言ってないよ」
「いや確かに言っていないけど、俺お腹一杯なんですけど」
「私はまだまだ食べれるよ?」
「いや、それはお前の事情だろ!」
夕食後、再びヒデヨシに呼び出された俺の目の前に出されたのは、恐らく今日回ったお菓子屋さんで買ったであろう大量のお菓子達。ヒデヨシは今からそれを全て食べるから、俺に付き合ってほしいと言ったが、何せ夕飯の直後。ましてや昼に散々スィーツ巡りしたばかりだ。俺のお腹にそんな余裕なんてあるはずがない。
「ヒッシーは貧弱だなもう。私はまだまだ平気だというのに」
「俺はお前と違ってそんなに食べられる体型じゃないの。お前のその体型で食べられるっていうのが結構不思議ではあるけど」
「サラッと酷いこと言ったから、ヒッシーの食べる分更に追加ね」
「だから食べられないって!」
本当その体型のどこにあれだけの物が入るのか分からない絶対に別腹の領域を越えている。
いくら言われようが食べれないのには変わらないので、結局俺の分もヒデヨシが食べることに。本来なら俺はもうここにいる必要がないのだが、何故かヒデヨシが部屋に帰してくれないので、彼女がお菓子を食べ続ける姿を見ながら、適当に雑談をしていた。
「そういえばヒッシーが住んでいた世界にも、お菓子ってあるの?」
「勿論あるよ。お前が今食べているものだって普通にあるし」
「へえ。じゃあヒッシーじゃ甘いもの食べ放題なんだ」
「食べ放題ってわけでもないけどな」
そういう店は確かにあるけど、俺自身そこまでお菓子を食べないので、そういう店にすら行ったことがない。
「もぐもぐ、ヒッヒーはおはし、あまひたへないの?」
「全部食べ終えてから話せよ。何か言っているか分からないぞ」
「ほこは、ひかいひてよ」
「理解して欲しいならさっさと飲み込めよ」
結局そんな調子がずっと続き、気がついたら日付が変わる直前。流石に眠くなった俺は、まだ食べ続けるヒデヨシを置いて先に部屋に戻ったのであった。
■□■□■□
部屋に戻った俺は、そのまま布団にダイブしたのはいいものの、なかなか眠りにつけずにいた。何故なら昼に浮かんだあの疑問を思い出し、どういう事なのか考えていたからだ。
(最初から変だとは思っていたけど、もっと単純なところにおかしな所があったなんてな)
まず出会う武将が本来の性別とは真逆な時点でおかしいのは分かっていたが、今がもし千五百七十年だとしたら、色々と年齢が合わない。だからと言って、この時代がおかしいという根拠を裏付けるものはないし、まだまだ調べる必要がある。
(それに)
何だかんだでここで唯一の魔法使いとして暮らしていくのもなかなか面白いかもしれない。城に住んでいる人達のほとんどが女性だし、おまけに有名武将が女性ばかり。ハーレムとまではいかないけど、この先もっと力をつければ男としては理想郷のハーレムが本当に作れるかもしれない。
(そう、これがあれば誰だって守れる)
他の誰も持っていないこれがあれば、守りたいものも守れる。あの時みたいな事を繰り返さないためには、もっと強くあるしかない。そう、もっと強く……。
■□■□■□
その勇者は、サクラという名前だった。
『へえ私の名前と同じ苗字なんだ』
『完全に一緒っていうわけじゃないけどな。俺の場合は桜木だし』
『私はサクラだもんね。その苗字というのもないし』
勇者と共に世界を救う旅に出ることになった俺は、勇者がまさかの女性だという事に驚かされた。テンプレ通りだと普通勇者というのは男お役割だと思っていたが、意外や意外。しかも彼女はその名の通り桜のように華麗で美しく、到底勇者には向かない容姿端麗さがあった。
「ヒスイはさ、遠い異世界からきた人だって聞いたけど本当?」
「ああ。いきなりこの世界に呼び出されて、魔法を覚えろだ、勇者と一緒に世界を救えだ色々酷かったよ」
「でもちゃんと覚えたんだよね? 魔法を」
「ああ。二週間師匠に教え込まれた」
「に、二週間であそこまでできたの!? いいなぁ、羨ましい」
「俺はあんたの方が羨ましいよ」
「どうして?」
「俺にとって勇者って小さい頃のちょっとした憧れだったし。世界を救えれば一躍ヒーローになれるんだろ? それって格好いいじゃん」
「格好いい……か。私そんなこと思ったことないけど。半ば強制的にやらされたようなものだし」
「強制的に?」
「うん。だから私もヒスイと同じようなものなんだ」
彼女は戦いを嫌っていた。常に戦い以外での解決法を考えていて、どうにかならないかと悩み続けていた。結局最後は戦いに身を投じることになってしまったわけだけど、仲間が増えていくに連れ彼女自身も少しずつ勇気を持ち始め、その勇者らしい力を発揮していった。
(本当に格好良かったよな、あいつ)
けど、それがいつしか裏目に出ることになってしまうなんてその時誰も思っていなかった。
だが、戦いはまだ終わっていなかった。
「え、えっとヒデヨシさん、これは一体……」
「帰るとは言ったけど、ツアーが終わったとは私言ってないよ」
「いや確かに言っていないけど、俺お腹一杯なんですけど」
「私はまだまだ食べれるよ?」
「いや、それはお前の事情だろ!」
夕食後、再びヒデヨシに呼び出された俺の目の前に出されたのは、恐らく今日回ったお菓子屋さんで買ったであろう大量のお菓子達。ヒデヨシは今からそれを全て食べるから、俺に付き合ってほしいと言ったが、何せ夕飯の直後。ましてや昼に散々スィーツ巡りしたばかりだ。俺のお腹にそんな余裕なんてあるはずがない。
「ヒッシーは貧弱だなもう。私はまだまだ平気だというのに」
「俺はお前と違ってそんなに食べられる体型じゃないの。お前のその体型で食べられるっていうのが結構不思議ではあるけど」
「サラッと酷いこと言ったから、ヒッシーの食べる分更に追加ね」
「だから食べられないって!」
本当その体型のどこにあれだけの物が入るのか分からない絶対に別腹の領域を越えている。
いくら言われようが食べれないのには変わらないので、結局俺の分もヒデヨシが食べることに。本来なら俺はもうここにいる必要がないのだが、何故かヒデヨシが部屋に帰してくれないので、彼女がお菓子を食べ続ける姿を見ながら、適当に雑談をしていた。
「そういえばヒッシーが住んでいた世界にも、お菓子ってあるの?」
「勿論あるよ。お前が今食べているものだって普通にあるし」
「へえ。じゃあヒッシーじゃ甘いもの食べ放題なんだ」
「食べ放題ってわけでもないけどな」
そういう店は確かにあるけど、俺自身そこまでお菓子を食べないので、そういう店にすら行ったことがない。
「もぐもぐ、ヒッヒーはおはし、あまひたへないの?」
「全部食べ終えてから話せよ。何か言っているか分からないぞ」
「ほこは、ひかいひてよ」
「理解して欲しいならさっさと飲み込めよ」
結局そんな調子がずっと続き、気がついたら日付が変わる直前。流石に眠くなった俺は、まだ食べ続けるヒデヨシを置いて先に部屋に戻ったのであった。
■□■□■□
部屋に戻った俺は、そのまま布団にダイブしたのはいいものの、なかなか眠りにつけずにいた。何故なら昼に浮かんだあの疑問を思い出し、どういう事なのか考えていたからだ。
(最初から変だとは思っていたけど、もっと単純なところにおかしな所があったなんてな)
まず出会う武将が本来の性別とは真逆な時点でおかしいのは分かっていたが、今がもし千五百七十年だとしたら、色々と年齢が合わない。だからと言って、この時代がおかしいという根拠を裏付けるものはないし、まだまだ調べる必要がある。
(それに)
何だかんだでここで唯一の魔法使いとして暮らしていくのもなかなか面白いかもしれない。城に住んでいる人達のほとんどが女性だし、おまけに有名武将が女性ばかり。ハーレムとまではいかないけど、この先もっと力をつければ男としては理想郷のハーレムが本当に作れるかもしれない。
(そう、これがあれば誰だって守れる)
他の誰も持っていないこれがあれば、守りたいものも守れる。あの時みたいな事を繰り返さないためには、もっと強くあるしかない。そう、もっと強く……。
■□■□■□
その勇者は、サクラという名前だった。
『へえ私の名前と同じ苗字なんだ』
『完全に一緒っていうわけじゃないけどな。俺の場合は桜木だし』
『私はサクラだもんね。その苗字というのもないし』
勇者と共に世界を救う旅に出ることになった俺は、勇者がまさかの女性だという事に驚かされた。テンプレ通りだと普通勇者というのは男お役割だと思っていたが、意外や意外。しかも彼女はその名の通り桜のように華麗で美しく、到底勇者には向かない容姿端麗さがあった。
「ヒスイはさ、遠い異世界からきた人だって聞いたけど本当?」
「ああ。いきなりこの世界に呼び出されて、魔法を覚えろだ、勇者と一緒に世界を救えだ色々酷かったよ」
「でもちゃんと覚えたんだよね? 魔法を」
「ああ。二週間師匠に教え込まれた」
「に、二週間であそこまでできたの!? いいなぁ、羨ましい」
「俺はあんたの方が羨ましいよ」
「どうして?」
「俺にとって勇者って小さい頃のちょっとした憧れだったし。世界を救えれば一躍ヒーローになれるんだろ? それって格好いいじゃん」
「格好いい……か。私そんなこと思ったことないけど。半ば強制的にやらされたようなものだし」
「強制的に?」
「うん。だから私もヒスイと同じようなものなんだ」
彼女は戦いを嫌っていた。常に戦い以外での解決法を考えていて、どうにかならないかと悩み続けていた。結局最後は戦いに身を投じることになってしまったわけだけど、仲間が増えていくに連れ彼女自身も少しずつ勇気を持ち始め、その勇者らしい力を発揮していった。
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