魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第39陣最近の旅行はどうも厳しいらしい
休暇当日。一泊二日ということで、朝から出発することになったので、俺は眠い目をこすりながらノブナガさんの部屋を訪ねた。
「眠そうですねヒスイ様」
「ちょっと一昨日から考え事が続いていて、なかなか寝つけないんです」
「旅行前に考え事なんて、楽しめるものも楽しめなくなりますよ?」
「それは分かっているんですけど……」
まさかよりによって、このタイミングで気になる話が出て来るなんて思っていなかったし、あの日以来ネネとも話ができていない。まあ、聞いたって答えてくれないだろうけど。
「ヒッシー、折角の休暇なのにそんな調子じゃ、面白くないよ」
「俺自身も考え事している場合じゃないのは分かっているけどさ、気になることが一つあるんだよ」
「今はそれは置いておいて、もう出発しますよ?」
「あ、はい」
三人揃い、準備も整ったので、荷物を持ってノブナガさんの部屋を出る。移動手段は馬なので、さほど時間はかからないらしい。城を出る道の途中、ヒデヨシが小声で話しかけてきた。
「ねえヒッシー」
「ん?」
「ヒッシーが悩んでいるのって、もしかしてネネの事?」
「やっぱり分かってたのか?」
「昨日ネネがヒッシーの部屋に向かうのをチラッと見たの。だから何かあったのかなって」
「あったといえば、あったけど」
どうやらヒデヨシには見え見えだったらしい。ただ何があったかまでは把握していないということか。
「この前の徳川軍との件もあるから、その探りたい気持ちは分かるはけど、多分答えてくれないと思う。ネネはそういうのは話したがらないタイプだから」
「ああ、何となくそれ分かるかも」
現にあそこまで拒絶されたのだから、相当言いたくないのだろう。だからこそ気になるのだけど。
「私もずっと気にしていたけど、ネネは私達に言えない位の何かを抱えているんだと思う。だけどそれを無理に聞くのは、良くないと思う」
「やっぱりそうだよな……」
でもその秘密を、ボクっ娘は知っていた。いや、当たり前なのかもしれない。徳川軍が総出で狙うくらいの何かが彼女にはある。
「二人とも、コソコソしてないで早く行きますよ」
気づいたらノブナガさんはかなり先を歩いている。俺とヒデヨシは慌てて追うが、俺の心は複雑なままだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
それから三十分後、目的地へと到着。泊まる宿は、当然今のようなホテルとかではなく、隠居とかで使えそうなこじんまりとした宿だった。というか宿が山の中にあるから、もしかしたら本当にそういう目的のために、あったりするのかな。
「というかここにいるの俺達三人だけなんですか?」
「そうですよ? ここはいざという時の為に建ててもらったものなんです」
やっぱりそうらしい。
(一つ屋根の下に、男一人と女二人)
このシチュエーションなんかデジャヴを感じるのは気のせいだろうか?
「でもここ、滅多に使わない建物のように見えますけど、結構中綺麗ですね」
早速中に入ると、埃一つないのを見て俺は言った。
「月に一度は掃除をしてもらっているんです。ですから快適に使用することができます」
「へえ」
建物自体古い感じがしたのに、中はここまで綺麗となると、まだまだ使えそうだなここ。
「城から三十分か……いいなここ」
「もしかしてヒッシー、ここに住みたいとか言い出さないよね」
「いや、流石にそこまでは思っていないけどさ。住むなら心地がいいだろうなって思って」
大自然に囲まれている中で、何も考えないでボーッとしながら毎日を過ごしてみたいものだ。
「さてと、荷物も置きましたし、少し三人で散歩に行きませんか?」
「散歩ですか?  こんか山の中を散歩したら迷いそうな気がしますけど」
「そこは心配しなくても大丈夫ですよ。ここら辺の地理は、私達が詳しいですから」
「そうそう。任せてよヒッシー」
二人が自信満々に言うので、一度宿を出て近くを散歩する事に。
(この二人がいれば迷うことはないか)
何度かここを使用したこともあるそうだし、結構眠いけど散歩して目を覚まそう。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
大自然を満喫しながらの散歩は、今までそんな経験すらしたことのない俺にとってはとても真新しいもので、実に豊かな時間を過ごすことができた。
宿に戻って来たのが、それから三時間後だった事を除いては。
「ゼェ、ゼェ。ノブナガさん、これ休暇ですよね?」
「はい。特訓も含めた、立派な休暇ですよ」
「それは……もはや、休暇じゃない……です」
「毎年二回は行っているんですけどね」
ノブナガさん、それ休暇ちゃう。運動部の合宿や。
「だらしないなヒッシーは。私は全然平気なのに」
「何でお前は平気なんだよ」
「鍛え方が違うからかな」
「この前イエヤスにボロ負けしていたお前が、よく言えるよ」
「そういうヒッシーだって、魔力が切れてたくせに」
「何をー!」
「まあまあ、二人とも。お昼が済んだら今度は先ほどの道を走りに行きますから、今は体を休めましょうよ」
「だからノブナガさん、それもう休暇や旅行レベルのものじゃないですから!」
どうやらこの時代の休暇や旅行というのは、ただの合宿らしい。
「眠そうですねヒスイ様」
「ちょっと一昨日から考え事が続いていて、なかなか寝つけないんです」
「旅行前に考え事なんて、楽しめるものも楽しめなくなりますよ?」
「それは分かっているんですけど……」
まさかよりによって、このタイミングで気になる話が出て来るなんて思っていなかったし、あの日以来ネネとも話ができていない。まあ、聞いたって答えてくれないだろうけど。
「ヒッシー、折角の休暇なのにそんな調子じゃ、面白くないよ」
「俺自身も考え事している場合じゃないのは分かっているけどさ、気になることが一つあるんだよ」
「今はそれは置いておいて、もう出発しますよ?」
「あ、はい」
三人揃い、準備も整ったので、荷物を持ってノブナガさんの部屋を出る。移動手段は馬なので、さほど時間はかからないらしい。城を出る道の途中、ヒデヨシが小声で話しかけてきた。
「ねえヒッシー」
「ん?」
「ヒッシーが悩んでいるのって、もしかしてネネの事?」
「やっぱり分かってたのか?」
「昨日ネネがヒッシーの部屋に向かうのをチラッと見たの。だから何かあったのかなって」
「あったといえば、あったけど」
どうやらヒデヨシには見え見えだったらしい。ただ何があったかまでは把握していないということか。
「この前の徳川軍との件もあるから、その探りたい気持ちは分かるはけど、多分答えてくれないと思う。ネネはそういうのは話したがらないタイプだから」
「ああ、何となくそれ分かるかも」
現にあそこまで拒絶されたのだから、相当言いたくないのだろう。だからこそ気になるのだけど。
「私もずっと気にしていたけど、ネネは私達に言えない位の何かを抱えているんだと思う。だけどそれを無理に聞くのは、良くないと思う」
「やっぱりそうだよな……」
でもその秘密を、ボクっ娘は知っていた。いや、当たり前なのかもしれない。徳川軍が総出で狙うくらいの何かが彼女にはある。
「二人とも、コソコソしてないで早く行きますよ」
気づいたらノブナガさんはかなり先を歩いている。俺とヒデヨシは慌てて追うが、俺の心は複雑なままだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
それから三十分後、目的地へと到着。泊まる宿は、当然今のようなホテルとかではなく、隠居とかで使えそうなこじんまりとした宿だった。というか宿が山の中にあるから、もしかしたら本当にそういう目的のために、あったりするのかな。
「というかここにいるの俺達三人だけなんですか?」
「そうですよ? ここはいざという時の為に建ててもらったものなんです」
やっぱりそうらしい。
(一つ屋根の下に、男一人と女二人)
このシチュエーションなんかデジャヴを感じるのは気のせいだろうか?
「でもここ、滅多に使わない建物のように見えますけど、結構中綺麗ですね」
早速中に入ると、埃一つないのを見て俺は言った。
「月に一度は掃除をしてもらっているんです。ですから快適に使用することができます」
「へえ」
建物自体古い感じがしたのに、中はここまで綺麗となると、まだまだ使えそうだなここ。
「城から三十分か……いいなここ」
「もしかしてヒッシー、ここに住みたいとか言い出さないよね」
「いや、流石にそこまでは思っていないけどさ。住むなら心地がいいだろうなって思って」
大自然に囲まれている中で、何も考えないでボーッとしながら毎日を過ごしてみたいものだ。
「さてと、荷物も置きましたし、少し三人で散歩に行きませんか?」
「散歩ですか?  こんか山の中を散歩したら迷いそうな気がしますけど」
「そこは心配しなくても大丈夫ですよ。ここら辺の地理は、私達が詳しいですから」
「そうそう。任せてよヒッシー」
二人が自信満々に言うので、一度宿を出て近くを散歩する事に。
(この二人がいれば迷うことはないか)
何度かここを使用したこともあるそうだし、結構眠いけど散歩して目を覚まそう。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
大自然を満喫しながらの散歩は、今までそんな経験すらしたことのない俺にとってはとても真新しいもので、実に豊かな時間を過ごすことができた。
宿に戻って来たのが、それから三時間後だった事を除いては。
「ゼェ、ゼェ。ノブナガさん、これ休暇ですよね?」
「はい。特訓も含めた、立派な休暇ですよ」
「それは……もはや、休暇じゃない……です」
「毎年二回は行っているんですけどね」
ノブナガさん、それ休暇ちゃう。運動部の合宿や。
「だらしないなヒッシーは。私は全然平気なのに」
「何でお前は平気なんだよ」
「鍛え方が違うからかな」
「この前イエヤスにボロ負けしていたお前が、よく言えるよ」
「そういうヒッシーだって、魔力が切れてたくせに」
「何をー!」
「まあまあ、二人とも。お昼が済んだら今度は先ほどの道を走りに行きますから、今は体を休めましょうよ」
「だからノブナガさん、それもう休暇や旅行レベルのものじゃないですから!」
どうやらこの時代の休暇や旅行というのは、ただの合宿らしい。
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