魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第40陣お風呂の戦い
結局午後もこの調子で旅行は続き、夕方前にはもう歩けないくらいになっていた。
「の、ノブナガさん。もう、俺、限界、です」
「時間もいい頃合いになりましたし、この辺にしておきましょうか。お疲れ様です」
終了宣言を聞くなり、俺は畳の上に倒れこんだ。まさか休暇と思っていた旅行が、運動部の合宿並のものになるとは、誰が想像しただろう。
(運動不足とか、そんなレベルじゃないぞこれ)
朝から今まで休む間もなく、続いたせいで全身が筋肉痛。おまけに明日もあるらしいので、城に戻った後自分などうなっているか大体予想できてしまう。
「お疲れヒッシー」
そんなヘトヘトな俺に、疲れた顔をなに一つ見せないヒデヨシが声をかけてきた。
「今はそのお前の元気さが羨ましいよ、ヒデヨシ」
「私はもうすっかり慣れたからね」
「慣れたって言う割りには、昨日はかなり喜んでたけど?」
「そ、それは、つい条件反射で」
「条件反射ってお前な……」
明らかにあの反応は条件反射とかそんなもんじゃないだろ。
「まあ、とにかくお疲れ様って事で、お風呂入りに行こう」
「お、お風呂?」
「どうしたの? 別に珍しく話じゃないのに」
「いや、確かにそうだけど」
すごく今更な話になるかもしれないが、一応この時代にも風呂という概念は存在している。決して現代のような温泉とかではないが、体の疲れは取れるくらいの物だ。だが俺が驚いているのは、決してそこではない。
「二人で入るとか、そんなんじゃないよな?」
「ここのお風呂は二人入れるくらいの大きさはあるから、二人でに決まっているでしょ?」
「決まっているって、つまりそれは混浴をするって事なんだぞ? 普通はないだろ」
「私は平気だもん」
「いやいや、俺が平気じゃないんですけど」
現代でも普通にしない事だし、そういうイベントは故意的に起きる物ではなく、自然に起きるようなイベントなだけあって、普通に恥ずかしい事だと俺は思う。
(ノブナガさんもいるのに、こればかりは……)
「それにヒッシー、一つ勘違いしていると思うけど、私は決して諦めてないからね」
「へ? 何を?」
「ヒッシーとの結婚の話。ヒッシーがどんな時代から来た人間であっても、絶対に諦めないから」
ヒデヨシが口にした諦めないって言葉。この前の話で、流石に諦めてくれたとばかり思っていた俺にとっては、予想外でしかなかった。
(何でこうなったんだ)
そもそもの話、何故彼女に求婚された理由も分からない。聞けるような話じゃないし、ヒデヨシがそれに答えてくれるかも分からない。更に言うなら、このままだと下手したら歴史が変わる大事件になってしまう。すぐ側に嫁がいるというのに、どうしてこうなってしまうのだろうか? 誰か分かる方お願いします。
「とーにーかーく、ご飯ができる前に一緒に入ろう? お風呂」
「風呂に入るのは構わないけど、混浴はお断りだからな」
結局ヒデヨシの根強さに負けた俺は、ヒデヨシとお風呂がある場所に向かうことになったのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
湯船は体に溜まった疲れを癒してくれる。
特に今日は全身が痛いので、効果が的面だ(効能なんて分からないけど)。
そんな夕暮れ時。
「やはりお姉様は私との混浴が望ましいんです!」
「何であんたがここにいるのよネネ!?」
「ヒスイ、今日こそ決着つけますよ」
「お前は敵軍だろうが! ヨシモト」
俺は今まさに修羅場というやつに、ご対面していた。
時間は遡ること五分前。
「俺は一人で入るから、早く入れよヒデヨシ」
「嫌よ。私はヒッシーと一緒に入るの!」
意地でも混浴をしたがるヒデヨシを俺が意地でも嫌がっている時の事だった。
「もう、どうしてヒッシーはそこまで私を嫌がるの? 男の子は誰もが羨ましがるのに」
「いや、確かに嬉し……じゃなくて、俺そういうの耐性がないんだって。だから頼むからヒデヨシが先に入ってほしいんだ」
「むぅ、つまらないなヒッシーは。そこまで言うなら」
「わたくしがお姉様と一緒に入りますわ」
本来なら安土城にいるはずのネネが、突如乱入してきた。しかも全裸の状態で。
「ね、ネネ?! 何であんたがここに……」
ズドーン
だが驚いたのも束の間、突如天井が突き破られ、何者かが俺達の間に乱入。
(しまった、このタイミングで敵襲か)
「前回は決着つかずに終わってしまいましたので、今度こそ決着をと思って彼女を追ってきて正解でした」
「ヨシモト?!」
何と現れたのは、色々あったヨシモト。彼女とは恐らくネネの事だろうか? いや、それは今どうでもいい。
「お姉様、さあ私とお風呂に」
「何で私が好き好んであんたと入らなきゃいけないの? 私はヒッシーと……」
「ヒスイは今から私との決着がありますから、お二方でどうぞごゆっくり入ってきてください」
「さあ行きますわよお姉様」
「引っ張らないでネネ。せめて入るなら服とヒッシーを」
「ってお前も何で俺の服を引っ張るんだよ」
ネネに引っ張られるヒデヨシに引っ張られる俺。勿論全員衣服を着たまま。しかもそのまま風呂場に突入してしまった為、一歩間違えたらお風呂場にドボンだ。
「てか、何でこんなに力があるんだよネネに」
「分からないわよ」
「さあお姉様、ご一緒に」
「敵を目の前に逃亡とは情けないですよヒスイ!」
お風呂が間近に迫った所で、何故か裸になったヨシモトが俺の手を引っ張る。ドボンする直前なので、ある意味助かるのだが、何故裸になった?
「もおさっきから騒がしいですよお二人とも!」
あまりにうるさかったのか、そこにノブナガさんが到着。
「って、何ですかこの状況は!」
風呂場にノブナガさんの声が響き渡る。
「やばっ。大将がいるなんて、早く逃げないと」
ノブナガがいる事までは予想していなかったのか、ヨシモトは慌ててその場を去ろうと俺の手を離す。
「あっ、馬鹿」
ヨシモトのおかげで落ちないで済んでいたので、急に均衡を保っていた力が、一気にネネに行き……。
バシャアン
三人もろとも、服をきたままお風呂にダイブしたのでした。
「の、ノブナガさん。もう、俺、限界、です」
「時間もいい頃合いになりましたし、この辺にしておきましょうか。お疲れ様です」
終了宣言を聞くなり、俺は畳の上に倒れこんだ。まさか休暇と思っていた旅行が、運動部の合宿並のものになるとは、誰が想像しただろう。
(運動不足とか、そんなレベルじゃないぞこれ)
朝から今まで休む間もなく、続いたせいで全身が筋肉痛。おまけに明日もあるらしいので、城に戻った後自分などうなっているか大体予想できてしまう。
「お疲れヒッシー」
そんなヘトヘトな俺に、疲れた顔をなに一つ見せないヒデヨシが声をかけてきた。
「今はそのお前の元気さが羨ましいよ、ヒデヨシ」
「私はもうすっかり慣れたからね」
「慣れたって言う割りには、昨日はかなり喜んでたけど?」
「そ、それは、つい条件反射で」
「条件反射ってお前な……」
明らかにあの反応は条件反射とかそんなもんじゃないだろ。
「まあ、とにかくお疲れ様って事で、お風呂入りに行こう」
「お、お風呂?」
「どうしたの? 別に珍しく話じゃないのに」
「いや、確かにそうだけど」
すごく今更な話になるかもしれないが、一応この時代にも風呂という概念は存在している。決して現代のような温泉とかではないが、体の疲れは取れるくらいの物だ。だが俺が驚いているのは、決してそこではない。
「二人で入るとか、そんなんじゃないよな?」
「ここのお風呂は二人入れるくらいの大きさはあるから、二人でに決まっているでしょ?」
「決まっているって、つまりそれは混浴をするって事なんだぞ? 普通はないだろ」
「私は平気だもん」
「いやいや、俺が平気じゃないんですけど」
現代でも普通にしない事だし、そういうイベントは故意的に起きる物ではなく、自然に起きるようなイベントなだけあって、普通に恥ずかしい事だと俺は思う。
(ノブナガさんもいるのに、こればかりは……)
「それにヒッシー、一つ勘違いしていると思うけど、私は決して諦めてないからね」
「へ? 何を?」
「ヒッシーとの結婚の話。ヒッシーがどんな時代から来た人間であっても、絶対に諦めないから」
ヒデヨシが口にした諦めないって言葉。この前の話で、流石に諦めてくれたとばかり思っていた俺にとっては、予想外でしかなかった。
(何でこうなったんだ)
そもそもの話、何故彼女に求婚された理由も分からない。聞けるような話じゃないし、ヒデヨシがそれに答えてくれるかも分からない。更に言うなら、このままだと下手したら歴史が変わる大事件になってしまう。すぐ側に嫁がいるというのに、どうしてこうなってしまうのだろうか? 誰か分かる方お願いします。
「とーにーかーく、ご飯ができる前に一緒に入ろう? お風呂」
「風呂に入るのは構わないけど、混浴はお断りだからな」
結局ヒデヨシの根強さに負けた俺は、ヒデヨシとお風呂がある場所に向かうことになったのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
湯船は体に溜まった疲れを癒してくれる。
特に今日は全身が痛いので、効果が的面だ(効能なんて分からないけど)。
そんな夕暮れ時。
「やはりお姉様は私との混浴が望ましいんです!」
「何であんたがここにいるのよネネ!?」
「ヒスイ、今日こそ決着つけますよ」
「お前は敵軍だろうが! ヨシモト」
俺は今まさに修羅場というやつに、ご対面していた。
時間は遡ること五分前。
「俺は一人で入るから、早く入れよヒデヨシ」
「嫌よ。私はヒッシーと一緒に入るの!」
意地でも混浴をしたがるヒデヨシを俺が意地でも嫌がっている時の事だった。
「もう、どうしてヒッシーはそこまで私を嫌がるの? 男の子は誰もが羨ましがるのに」
「いや、確かに嬉し……じゃなくて、俺そういうの耐性がないんだって。だから頼むからヒデヨシが先に入ってほしいんだ」
「むぅ、つまらないなヒッシーは。そこまで言うなら」
「わたくしがお姉様と一緒に入りますわ」
本来なら安土城にいるはずのネネが、突如乱入してきた。しかも全裸の状態で。
「ね、ネネ?! 何であんたがここに……」
ズドーン
だが驚いたのも束の間、突如天井が突き破られ、何者かが俺達の間に乱入。
(しまった、このタイミングで敵襲か)
「前回は決着つかずに終わってしまいましたので、今度こそ決着をと思って彼女を追ってきて正解でした」
「ヨシモト?!」
何と現れたのは、色々あったヨシモト。彼女とは恐らくネネの事だろうか? いや、それは今どうでもいい。
「お姉様、さあ私とお風呂に」
「何で私が好き好んであんたと入らなきゃいけないの? 私はヒッシーと……」
「ヒスイは今から私との決着がありますから、お二方でどうぞごゆっくり入ってきてください」
「さあ行きますわよお姉様」
「引っ張らないでネネ。せめて入るなら服とヒッシーを」
「ってお前も何で俺の服を引っ張るんだよ」
ネネに引っ張られるヒデヨシに引っ張られる俺。勿論全員衣服を着たまま。しかもそのまま風呂場に突入してしまった為、一歩間違えたらお風呂場にドボンだ。
「てか、何でこんなに力があるんだよネネに」
「分からないわよ」
「さあお姉様、ご一緒に」
「敵を目の前に逃亡とは情けないですよヒスイ!」
お風呂が間近に迫った所で、何故か裸になったヨシモトが俺の手を引っ張る。ドボンする直前なので、ある意味助かるのだが、何故裸になった?
「もおさっきから騒がしいですよお二人とも!」
あまりにうるさかったのか、そこにノブナガさんが到着。
「って、何ですかこの状況は!」
風呂場にノブナガさんの声が響き渡る。
「やばっ。大将がいるなんて、早く逃げないと」
ノブナガがいる事までは予想していなかったのか、ヨシモトは慌ててその場を去ろうと俺の手を離す。
「あっ、馬鹿」
ヨシモトのおかげで落ちないで済んでいたので、急に均衡を保っていた力が、一気にネネに行き……。
バシャアン
三人もろとも、服をきたままお風呂にダイブしたのでした。
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