魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第52陣決闘と料理
あれから三日。
ノブナガさんの誤解から始まった騒動は、既に俺の想像を遥かに超えてしまっていた。何がどうしたらこうなるのか分からないが、いつの間にか俺とノブナガさんは結婚するという話までになっていた。どこかでは式はもう近いとまで言われているだとか。
「ヒスイ様、申し訳ございません。私が、その、勘違いをしてしまったばかりに」
「ノブナガさんは悪くありませんよ。俺の言い方に問題があったんです。それにここまで噂が大きくなっているのは、他の誰かが話を盛ったからだと思います」
「誰かって、誰がでしょうか」
「そこまでは俺も分かりませんが、多分あの場に誰かいたんですよ」
そうでなければここまで大きくならない。他の第三者がありもしない噂を作り上げたと考えるのが妥当。
(とりあえずこれ以上、話がややこしくならないといいんだけど)
ただ俺はそう願うしかなかった。
だけどその日の夜、それは思わぬ方向へと動き出す。
「サクラギヒスイ、お前に話がある」
突然ミツヒデが俺の部屋を訪ねてきた。最初は何事かと思っていたが、彼女がかなり真剣な目をしていたので、何となくではあるが話が読めた。
「話ってまさかと思うけど、例の噂の事か? それだったら誰かが勝手についた嘘だから……」
「私はお前にノブナガ様と結婚する素質があるとは決して思えない」
「いや、だから嘘だって」
「だからその素質を知る為に、私と決闘してほしい」
「え?」
本当どうしてこうなるんだ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ミツヒデに決闘を申し込まれた翌日、俺は早速その話をノブナガさんに話した。
「ミツヒデって昔からそういう所があるんですよ。度々私も困らされているんですよ」
「でも流石に今回のは……」
「私も予想外でしたね。決闘まで申し込んでくるなんて」
「だったら何とかしてくださいよ。俺決闘とかするタイプではないんですよ」
「その割りには一人で戦ったりする事とかありますけど」
「それはそれですよ。何でよりにもよって、仲間と戦わないといけないんですか」
「お気持ちは分かりますけど、こればかりは私にも……」
ちなみに決闘は三日後の昼。あの闘技場で行われる事になっている。正直な話をすると、それまでに誤解を解いて解決させてしまえばいいのだが、ノブナガさん曰くミツヒデは何を言っても聞かないらしい。
「えーヒッシーとミツヒデが決闘するの? じゃあ私も混ぜてよ」
そしてここにもう一人、何を言っても聞かない人物がいた、
「混ぜてって、決闘はそういう物じゃないんだけど」
「だって楽しそうじゃん。私まだ納得いってないもん。ヒッシーとノブナガ様が結婚する事」
「だからどうしてお前も人の話を聞かないんだよ」
「あ、でもここでヒッシーに決闘を申し込むのは変だよね。仕方ないか」
「そうやって最初から諦めてくれれば……」
「私ノブナガ様に決闘を申し込む事にする。それで勝って、今度こそヒッシーと結婚する」
『だからどうしてそうなるんだ(ですか)!』
ヒデヨシの思わぬ矛先に、当のノブナガさんは勿論のこと、俺も同時にツッコミを入れてしまう。以前確かに結婚をヒデヨシに申し込まれたけど、キッパリ断ったはず(本人は諦めてないと言っていたけど)。
ただでさえノブナガさんとの結婚の話は真っ赤な嘘なのに、人はどうしてこうも勘違いをするのだろうか。
「うーん、でも普通に戦っても私に勝ち目がないから……」
しかも勝ち目が全くないと自覚しているのに。
「料理対決にしましょうノブナガ様」
何故いかにも俺が被害に合いそうな戦いを選ぶ。
「料理対決……いいですね。それ」
「どうしてそこでノブナガさんも乗り気なんですか!」
「だって面白いじゃないですか。私ヒデヨシさんの料理食べたことありませんし、是非ヒスイ様も御一緒に食べ比べて欲しいんです」
「そう言われましても……」
それってつまり、どっちかを選べって事だよな? そして選んだ方は……。
「あれ? これ俺何一つ得しないような……」
「勝負はヒッシーが決闘する同じ日でいいですか?」
「了解しました。それで受けて立ちましょう」
「だから俺の話を……」
頼むから誰か聞いてくれ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ノブナガさんと俺が結婚するという嘘から始まり、誤解が決闘を生み挙げ句の果てには料理対決という、どうみても俺の逃げ場がなくなってしまった。
口は災いの元というべきなのだろうか?
 確かに俺の言い方に問題があったのは認める。だけどその後に膨れ上がった話は、果たして俺が原因なのだろうか? ミツヒデとの決闘は今回の誤解から生まれた物だから多少は仕方がないかもしれないけど、ヒデヨシのは何というか……。
(勝った方のどちらかと結婚する、みたいなものだよ。あれって)
つまり今回の件とはほぼ関係なし。これはつまり、一種の告白みたいなものなのだろうか?
(そうだとしたら、俺はどうすれば)
断るのは簡単。だけどその中にノブナガさんがいるなら、俺のこの心にある微かな思いはどうなる。
ノブナガさんの誤解から始まった騒動は、既に俺の想像を遥かに超えてしまっていた。何がどうしたらこうなるのか分からないが、いつの間にか俺とノブナガさんは結婚するという話までになっていた。どこかでは式はもう近いとまで言われているだとか。
「ヒスイ様、申し訳ございません。私が、その、勘違いをしてしまったばかりに」
「ノブナガさんは悪くありませんよ。俺の言い方に問題があったんです。それにここまで噂が大きくなっているのは、他の誰かが話を盛ったからだと思います」
「誰かって、誰がでしょうか」
「そこまでは俺も分かりませんが、多分あの場に誰かいたんですよ」
そうでなければここまで大きくならない。他の第三者がありもしない噂を作り上げたと考えるのが妥当。
(とりあえずこれ以上、話がややこしくならないといいんだけど)
ただ俺はそう願うしかなかった。
だけどその日の夜、それは思わぬ方向へと動き出す。
「サクラギヒスイ、お前に話がある」
突然ミツヒデが俺の部屋を訪ねてきた。最初は何事かと思っていたが、彼女がかなり真剣な目をしていたので、何となくではあるが話が読めた。
「話ってまさかと思うけど、例の噂の事か? それだったら誰かが勝手についた嘘だから……」
「私はお前にノブナガ様と結婚する素質があるとは決して思えない」
「いや、だから嘘だって」
「だからその素質を知る為に、私と決闘してほしい」
「え?」
本当どうしてこうなるんだ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ミツヒデに決闘を申し込まれた翌日、俺は早速その話をノブナガさんに話した。
「ミツヒデって昔からそういう所があるんですよ。度々私も困らされているんですよ」
「でも流石に今回のは……」
「私も予想外でしたね。決闘まで申し込んでくるなんて」
「だったら何とかしてくださいよ。俺決闘とかするタイプではないんですよ」
「その割りには一人で戦ったりする事とかありますけど」
「それはそれですよ。何でよりにもよって、仲間と戦わないといけないんですか」
「お気持ちは分かりますけど、こればかりは私にも……」
ちなみに決闘は三日後の昼。あの闘技場で行われる事になっている。正直な話をすると、それまでに誤解を解いて解決させてしまえばいいのだが、ノブナガさん曰くミツヒデは何を言っても聞かないらしい。
「えーヒッシーとミツヒデが決闘するの? じゃあ私も混ぜてよ」
そしてここにもう一人、何を言っても聞かない人物がいた、
「混ぜてって、決闘はそういう物じゃないんだけど」
「だって楽しそうじゃん。私まだ納得いってないもん。ヒッシーとノブナガ様が結婚する事」
「だからどうしてお前も人の話を聞かないんだよ」
「あ、でもここでヒッシーに決闘を申し込むのは変だよね。仕方ないか」
「そうやって最初から諦めてくれれば……」
「私ノブナガ様に決闘を申し込む事にする。それで勝って、今度こそヒッシーと結婚する」
『だからどうしてそうなるんだ(ですか)!』
ヒデヨシの思わぬ矛先に、当のノブナガさんは勿論のこと、俺も同時にツッコミを入れてしまう。以前確かに結婚をヒデヨシに申し込まれたけど、キッパリ断ったはず(本人は諦めてないと言っていたけど)。
ただでさえノブナガさんとの結婚の話は真っ赤な嘘なのに、人はどうしてこうも勘違いをするのだろうか。
「うーん、でも普通に戦っても私に勝ち目がないから……」
しかも勝ち目が全くないと自覚しているのに。
「料理対決にしましょうノブナガ様」
何故いかにも俺が被害に合いそうな戦いを選ぶ。
「料理対決……いいですね。それ」
「どうしてそこでノブナガさんも乗り気なんですか!」
「だって面白いじゃないですか。私ヒデヨシさんの料理食べたことありませんし、是非ヒスイ様も御一緒に食べ比べて欲しいんです」
「そう言われましても……」
それってつまり、どっちかを選べって事だよな? そして選んだ方は……。
「あれ? これ俺何一つ得しないような……」
「勝負はヒッシーが決闘する同じ日でいいですか?」
「了解しました。それで受けて立ちましょう」
「だから俺の話を……」
頼むから誰か聞いてくれ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ノブナガさんと俺が結婚するという嘘から始まり、誤解が決闘を生み挙げ句の果てには料理対決という、どうみても俺の逃げ場がなくなってしまった。
口は災いの元というべきなのだろうか?
 確かに俺の言い方に問題があったのは認める。だけどその後に膨れ上がった話は、果たして俺が原因なのだろうか? ミツヒデとの決闘は今回の誤解から生まれた物だから多少は仕方がないかもしれないけど、ヒデヨシのは何というか……。
(勝った方のどちらかと結婚する、みたいなものだよ。あれって)
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