魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第60陣ネネの想いと皆の想い
ヒデヨシが負った傷は俺以上に酷かった。まだ早い内に助かったからいいものの、一歩間違えれば死に至っていたかもしれない。そのレベルだった。
「ヒスイ、お姉様の怪我は治らないんですか?!」
それを知って、真っ先に言い寄ってきたのはやはりネネだった。彼女が再び俺の部屋に訪れたのはその日の夜。涙を流しながら彼女は訴えかけてきた。
「落ち着けネネ。別に死ぬわけじゃないんだから」
「でもお姉様のあの傷は私も見たことがありません。どうにか治す方法はないんですか?」
「落ち着けって。お前が焦っても何も始まらないだろ」
「そうですけど。でもっ!」
かなり動揺しているのかなかなか話を聞かない。俺だって今すぐにでも何とかしたい気持ちはあるけど、ヒデヨシのあの怪我を治せるのは、俺が知っている人間の中でたった一人しかいない。ただ、その人物はこの世界にはいない。
「お前が焦りたい気持ちは分かるし、俺も同じ気持ちだよ。だけど、俺でも何ともできないんだよ」
「どういう……事ですか?」
「いいかネネ、これから話すのはかなり大切な話だからしっかりと聞いてくれ」
本来ならノブナガさんに話す事だった物を先にネネに話す。
ヒデヨシの体にできたあの傷は『闇触』と呼ばれているもので、魔族が持つある魔法を受けた者の身体を徐々に闇で蝕んでいくもの。数が多ければ多いほど、死に至る可能性が高まり、万が一助かったとしてもその命は長くないと言われている。
「そんな……お姉様を助けられないのですか?」
「一応助けられる術はある。ただそれも、果たしてこの世界でできるものなのか分からない」
「それでもお姉様が助かるなら、どうか助けてください! その為なら私も協力しますから」
そう言いながら何と土下座をして頼んでくるネネ。今まで俺の事を散々悪く言ってきた彼女が、ここまでして頼んでくるなんて思ってもいなかった。
「分かったよネネ。お前がそこまで頼むなら、俺も尽くせる限りの手を尽くす。俺もノブナガさんも同じ想いだろうから、絶対にヒデヨシを助け出すぞ」
「はい!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「さて、どうするか」
ネネの前で大胆に発言したのはいいものの、実はこれっていう考えが俺にはなかった。闇触を治せる人物をただ一人知っているのだが、その人物はこの世界にはいない。いるのは俺がかつて魔法使いで冒険した世界で、桜の次に出会った人物。
上級治癒術師リアラ。
彼女もまた勇者を支えるものとして、はたまた世界で傷ついた人達を癒す為に異世界を旅した。彼女の腕前は相当なもので、後に上級治癒術師となった彼女は、勿論この闇触の治癒方法を知っていた。何度もその腕で彼女は沢山の人達を救っていたし、今も恐らく彼女は治癒術師として世界を歩き回っているに違いない。
そんな彼女から俺はいざという時のために、その治癒方法を教えてもらっていた。だがそれが果たしてヒデヨシを治すのに繋がるのかが不確かだ。
(でも時間もない)
一応そのやり方は覚えている。ただし、リアラのように上手くいかない方が可能性が高い。それでも俺はヒデヨシを救いたい気持ちの方が大きい。たとえわずかな確率の奇跡だとしても、俺はそれを信じたい。
(迷っている場合じゃない、救えるのは俺一人しかいないんだ)
それが俺ができる皆への報いなのだから。
「なるほど。それがヒデヨシさんを救う唯一の手立てなんですね」
「はい。だからどうか、協力してください!」
翌日、早速それをノブナガさんに説明。その魔法を使うためには場所と時間が必要になる。だからそれの協力をノブナガさんに頼んだ。
「元々私達にはヒスイ様を信じる以外の道はありません。だから私達も全力で協力いたしますし、ヒスイ様にヒデヨシさんを託します。それでいいですよね?」
「ありがとうございます!」
頼まれる側である俺が何故か頭を下げてしまう。ノブナガさんやネネは俺を信じてくれている。それなら俺はその想いに応えなければならない。
「今回だけは本当にお姉様をあなたに託します。だから絶対にお姉様を救ってください」
「分かってるよネネ。俺だって絶対にヒデヨシを救うってお前にも約束する」
「お願いします」
今回ヒデヨシを救うにあたって、俺は先日の休暇で使用したあの場所を使用することにした。そこなら安全も確保できるし、何より魔法陣を描くために十分なスペースがあった。
「リキュウさん、俺が言ったものを用意してくれましたか?」
「勿論ですよぉ。ヒデヨシさんはぁ私にとっても大切な仲間ですからぁ」
次にリキュウさんには、この世界で取れるできる限りの薬草類を用意してもらった(何故か彼女はそれに詳しかった)。世界が違うとはいえ少しでも効能があればと俺が予め頼んでおいたのだ。
「ノブナガさん達は?」
「城の警備を含めて、時間を見ながらこちらに来てくれるそうですよぉ」
「そうですか。いざとなって誰もいないと困るし助かります」
会話をしながら一通りの準備を終える。あとは俺の腕次第。
(少しだけ頑張ってくれよヒデヨシ)
そしてリアラ、俺に力を貸してくれ。
「ヒスイ、お姉様の怪我は治らないんですか?!」
それを知って、真っ先に言い寄ってきたのはやはりネネだった。彼女が再び俺の部屋に訪れたのはその日の夜。涙を流しながら彼女は訴えかけてきた。
「落ち着けネネ。別に死ぬわけじゃないんだから」
「でもお姉様のあの傷は私も見たことがありません。どうにか治す方法はないんですか?」
「落ち着けって。お前が焦っても何も始まらないだろ」
「そうですけど。でもっ!」
かなり動揺しているのかなかなか話を聞かない。俺だって今すぐにでも何とかしたい気持ちはあるけど、ヒデヨシのあの怪我を治せるのは、俺が知っている人間の中でたった一人しかいない。ただ、その人物はこの世界にはいない。
「お前が焦りたい気持ちは分かるし、俺も同じ気持ちだよ。だけど、俺でも何ともできないんだよ」
「どういう……事ですか?」
「いいかネネ、これから話すのはかなり大切な話だからしっかりと聞いてくれ」
本来ならノブナガさんに話す事だった物を先にネネに話す。
ヒデヨシの体にできたあの傷は『闇触』と呼ばれているもので、魔族が持つある魔法を受けた者の身体を徐々に闇で蝕んでいくもの。数が多ければ多いほど、死に至る可能性が高まり、万が一助かったとしてもその命は長くないと言われている。
「そんな……お姉様を助けられないのですか?」
「一応助けられる術はある。ただそれも、果たしてこの世界でできるものなのか分からない」
「それでもお姉様が助かるなら、どうか助けてください! その為なら私も協力しますから」
そう言いながら何と土下座をして頼んでくるネネ。今まで俺の事を散々悪く言ってきた彼女が、ここまでして頼んでくるなんて思ってもいなかった。
「分かったよネネ。お前がそこまで頼むなら、俺も尽くせる限りの手を尽くす。俺もノブナガさんも同じ想いだろうから、絶対にヒデヨシを助け出すぞ」
「はい!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「さて、どうするか」
ネネの前で大胆に発言したのはいいものの、実はこれっていう考えが俺にはなかった。闇触を治せる人物をただ一人知っているのだが、その人物はこの世界にはいない。いるのは俺がかつて魔法使いで冒険した世界で、桜の次に出会った人物。
上級治癒術師リアラ。
彼女もまた勇者を支えるものとして、はたまた世界で傷ついた人達を癒す為に異世界を旅した。彼女の腕前は相当なもので、後に上級治癒術師となった彼女は、勿論この闇触の治癒方法を知っていた。何度もその腕で彼女は沢山の人達を救っていたし、今も恐らく彼女は治癒術師として世界を歩き回っているに違いない。
そんな彼女から俺はいざという時のために、その治癒方法を教えてもらっていた。だがそれが果たしてヒデヨシを治すのに繋がるのかが不確かだ。
(でも時間もない)
一応そのやり方は覚えている。ただし、リアラのように上手くいかない方が可能性が高い。それでも俺はヒデヨシを救いたい気持ちの方が大きい。たとえわずかな確率の奇跡だとしても、俺はそれを信じたい。
(迷っている場合じゃない、救えるのは俺一人しかいないんだ)
それが俺ができる皆への報いなのだから。
「なるほど。それがヒデヨシさんを救う唯一の手立てなんですね」
「はい。だからどうか、協力してください!」
翌日、早速それをノブナガさんに説明。その魔法を使うためには場所と時間が必要になる。だからそれの協力をノブナガさんに頼んだ。
「元々私達にはヒスイ様を信じる以外の道はありません。だから私達も全力で協力いたしますし、ヒスイ様にヒデヨシさんを託します。それでいいですよね?」
「ありがとうございます!」
頼まれる側である俺が何故か頭を下げてしまう。ノブナガさんやネネは俺を信じてくれている。それなら俺はその想いに応えなければならない。
「今回だけは本当にお姉様をあなたに託します。だから絶対にお姉様を救ってください」
「分かってるよネネ。俺だって絶対にヒデヨシを救うってお前にも約束する」
「お願いします」
今回ヒデヨシを救うにあたって、俺は先日の休暇で使用したあの場所を使用することにした。そこなら安全も確保できるし、何より魔法陣を描くために十分なスペースがあった。
「リキュウさん、俺が言ったものを用意してくれましたか?」
「勿論ですよぉ。ヒデヨシさんはぁ私にとっても大切な仲間ですからぁ」
次にリキュウさんには、この世界で取れるできる限りの薬草類を用意してもらった(何故か彼女はそれに詳しかった)。世界が違うとはいえ少しでも効能があればと俺が予め頼んでおいたのだ。
「ノブナガさん達は?」
「城の警備を含めて、時間を見ながらこちらに来てくれるそうですよぉ」
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