魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第67陣開催と鉄砲とお料理と
当日を迎え、あの場所には織田軍の兵達と、俺やノブナガさん、ヒデヨシやネネが一箇所に集まっていた(何故かリキュウさんもいたりする)。
開催するとはいえど、織田軍の人たちに限られているという事もあって、当日は参加者全員が仲間だけというなんとも言えない大会となった。
「人は少ないですけど、やはり燃えますね」
「俺だってそうですよ、ノブナガさん。というかノブナガさん、結構楽しみにしていますか?」
「勿論ですよ。私がここで優勝して織田軍が強いことを示すのです」
「それをアピールする相手は、全員味方ですけどね」
かなり乗り気でいるノブナガさんに、俺は苦笑いをする。まあ今回の目的は、身内だけでも盛り上がれるイベントを開催したいのと、最後にいい思い出を作れればという俺の想いだった。
(明日にはここを去るわけだし、最後くらい楽しまないとな)
「大会なのでどこかで私達が当たると思いますけど、その時は」
「はい。俺も本気で行かせてもらいますからね」
俺の忘れられない長い一日が、今ここに幕を開ける。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ちなみに今回俺が今回の大会で考えた方式は、シンプルにトーナメント方式。人数は六人なので運が良ければ一回勝てば決勝に行けるシードがある。で、その抽選がどうなったかというと、
一回戦第一試合 豊臣秀吉対ノアル
一回戦第二試合 桜木翡翠対千利休
一回戦第三試合 織田信長対ネネ
俺の一回戦の相手は何とリキュウさん。しかも勝てば二回戦は恐らく(いや間違いなく)師匠と当たる。決勝戦ももしかしたらノブナガさんと戦うことになる。いや、それ以前に、
(リキュウさんに勝てたとしても、師匠に勝てるのか?)
師匠である彼女には一度も勝てたことがない。つまりノブナガさんと戦う前に俺が負ける可能性が高い。あわよくばヒデヨシと当たると可能性だってあるけど、
「勝者、ノアル!」
この為だけに用意した審判の声が聞こえる。どうやらもう決着がついたようだ。
「予想はしていたけどさぁ」
手加減くらいしてあげようよ師匠。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
俺が試合を観戦する間も無く、第一試合の決着がついてしまい、準備運動をする前に第二試合へと移行。俺とリキュウさんは会場の中心で対峙する。
「リキュウさん、本当に戦えるんですか?」
「あれぇ? 前にも言っていませんでしだっけぇ。私こう見えて強いんですよぉ〜」
そう言いながらリキュウさんが取り出したのは、
「えっ? ちょっ、それ」
何と火縄銃。確かに戦国時代に鉄砲は伝来したけど、まさかこんな所で見ることになるとは……。
「大丈夫です。当たっても死なないようになっていますからぁ」
「勝負、始め!」
「まだ……」
太刀を抜こうとした瞬間、何かが頬をかすめた。微かに頬に血がにじんでいるのを感じる。
「近接に対して遠距離はちょっとずるくないか?」
「何を言っているんですかぁ。私はいつもこうやって遠くから攻撃してきたんですよぉ」
そう言いながら二発目が飛んでくる。容赦ねえなおい、
「それなら」
少しだけ回復した魔力を使って、一瞬だけ時を止めて三発目の玉の軌道を読む。そしてそれをかわすなり、距離を詰める。
「これで」
流石に斬る訳にはいかないので、太刀の柄でリキュウの鳩尾を打とうとするが、何とそれをリキュウさんは避けた。
「その動きは読めていたので、対策積みなんですぅ」
上から何かを振り下ろすリキュウさん。撃てないなら打撃で俺を倒そうというのだろうか。
「後ろがガラ空きですよヒスイさん」
「それは俺のセリフですよ、リキュウさん」
「え?」
近距離まで詰めた先程までの俺は、魔法を使った幻影。本物の俺は……。
「ここですよっと」
俺は気絶で済むように、打撃を彼女に加えて終わらせる。
「なっ。そんな……」
鉄砲を使っているところは予想外だったけど、決着はあっという間だった。
リキュウさんはそのまま気を失って、その場に倒れ伏した。
「これまた早い決着! 勝者、ヒスイ!」
こうして俺の一回戦は簡単に終わったのだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
第三試合はやはりノブナガさんの決着で終わり、次は準決勝戦。と、その前に……。
「皆さん出来ましたよ」
「あの時の対決の決着と聞いて張り切ったのに、これじゃあ戦いじゃないですよノブナガ様」
ノブナガさんとヒデヨシが腕に振るって作った料理を食べる時間。ノブナガさんもこの案には賛成してくれて、是非皆に食べてもらいたいとのことらしい。
『いただきまーす』
二人が作った料理を皆で口にする。さてどんな味が……。
『ぶふぅ』
皆どちらの料理を食べるなり、吹き出してしまった。
「の、ノブナガさん、これは?」
「私の最高傑作の野菜と生クリームを混ぜ合わせたシチューです」
「え? し、シチュー?」
確かに白いけど、その白い物は決して生クリームではないんですけど。何このクリームの甘さと野菜達のミスマッチな混ぜ合わせ。
「皆さんどうぞ召し上がれ」
『ごちそうさまでした!』
これ一人で食べてたら、明日を迎えられなかっただろうなぁ。
あ、ちなみにヒデヨシの料理はというと、
「どうしたのヒッシー。食べないの?」
「すまんヒデヨシ!」
言葉に表せないほどの料理でした。
開催するとはいえど、織田軍の人たちに限られているという事もあって、当日は参加者全員が仲間だけというなんとも言えない大会となった。
「人は少ないですけど、やはり燃えますね」
「俺だってそうですよ、ノブナガさん。というかノブナガさん、結構楽しみにしていますか?」
「勿論ですよ。私がここで優勝して織田軍が強いことを示すのです」
「それをアピールする相手は、全員味方ですけどね」
かなり乗り気でいるノブナガさんに、俺は苦笑いをする。まあ今回の目的は、身内だけでも盛り上がれるイベントを開催したいのと、最後にいい思い出を作れればという俺の想いだった。
(明日にはここを去るわけだし、最後くらい楽しまないとな)
「大会なのでどこかで私達が当たると思いますけど、その時は」
「はい。俺も本気で行かせてもらいますからね」
俺の忘れられない長い一日が、今ここに幕を開ける。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ちなみに今回俺が今回の大会で考えた方式は、シンプルにトーナメント方式。人数は六人なので運が良ければ一回勝てば決勝に行けるシードがある。で、その抽選がどうなったかというと、
一回戦第一試合 豊臣秀吉対ノアル
一回戦第二試合 桜木翡翠対千利休
一回戦第三試合 織田信長対ネネ
俺の一回戦の相手は何とリキュウさん。しかも勝てば二回戦は恐らく(いや間違いなく)師匠と当たる。決勝戦ももしかしたらノブナガさんと戦うことになる。いや、それ以前に、
(リキュウさんに勝てたとしても、師匠に勝てるのか?)
師匠である彼女には一度も勝てたことがない。つまりノブナガさんと戦う前に俺が負ける可能性が高い。あわよくばヒデヨシと当たると可能性だってあるけど、
「勝者、ノアル!」
この為だけに用意した審判の声が聞こえる。どうやらもう決着がついたようだ。
「予想はしていたけどさぁ」
手加減くらいしてあげようよ師匠。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
俺が試合を観戦する間も無く、第一試合の決着がついてしまい、準備運動をする前に第二試合へと移行。俺とリキュウさんは会場の中心で対峙する。
「リキュウさん、本当に戦えるんですか?」
「あれぇ? 前にも言っていませんでしだっけぇ。私こう見えて強いんですよぉ〜」
そう言いながらリキュウさんが取り出したのは、
「えっ? ちょっ、それ」
何と火縄銃。確かに戦国時代に鉄砲は伝来したけど、まさかこんな所で見ることになるとは……。
「大丈夫です。当たっても死なないようになっていますからぁ」
「勝負、始め!」
「まだ……」
太刀を抜こうとした瞬間、何かが頬をかすめた。微かに頬に血がにじんでいるのを感じる。
「近接に対して遠距離はちょっとずるくないか?」
「何を言っているんですかぁ。私はいつもこうやって遠くから攻撃してきたんですよぉ」
そう言いながら二発目が飛んでくる。容赦ねえなおい、
「それなら」
少しだけ回復した魔力を使って、一瞬だけ時を止めて三発目の玉の軌道を読む。そしてそれをかわすなり、距離を詰める。
「これで」
流石に斬る訳にはいかないので、太刀の柄でリキュウの鳩尾を打とうとするが、何とそれをリキュウさんは避けた。
「その動きは読めていたので、対策積みなんですぅ」
上から何かを振り下ろすリキュウさん。撃てないなら打撃で俺を倒そうというのだろうか。
「後ろがガラ空きですよヒスイさん」
「それは俺のセリフですよ、リキュウさん」
「え?」
近距離まで詰めた先程までの俺は、魔法を使った幻影。本物の俺は……。
「ここですよっと」
俺は気絶で済むように、打撃を彼女に加えて終わらせる。
「なっ。そんな……」
鉄砲を使っているところは予想外だったけど、決着はあっという間だった。
リキュウさんはそのまま気を失って、その場に倒れ伏した。
「これまた早い決着! 勝者、ヒスイ!」
こうして俺の一回戦は簡単に終わったのだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
第三試合はやはりノブナガさんの決着で終わり、次は準決勝戦。と、その前に……。
「皆さん出来ましたよ」
「あの時の対決の決着と聞いて張り切ったのに、これじゃあ戦いじゃないですよノブナガ様」
ノブナガさんとヒデヨシが腕に振るって作った料理を食べる時間。ノブナガさんもこの案には賛成してくれて、是非皆に食べてもらいたいとのことらしい。
『いただきまーす』
二人が作った料理を皆で口にする。さてどんな味が……。
『ぶふぅ』
皆どちらの料理を食べるなり、吹き出してしまった。
「の、ノブナガさん、これは?」
「私の最高傑作の野菜と生クリームを混ぜ合わせたシチューです」
「え? し、シチュー?」
確かに白いけど、その白い物は決して生クリームではないんですけど。何このクリームの甘さと野菜達のミスマッチな混ぜ合わせ。
「皆さんどうぞ召し上がれ」
『ごちそうさまでした!』
これ一人で食べてたら、明日を迎えられなかっただろうなぁ。
あ、ちなみにヒデヨシの料理はというと、
「どうしたのヒッシー。食べないの?」
「すまんヒデヨシ!」
言葉に表せないほどの料理でした。
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