魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第79陣大切な未来を守る為に
「あなたは確か、ノブナガですね。魔法も使えないあなたが闇を統べる私に勝てますかね」
「そんなのは分かりません。ですが、私も同じように一人ではありませんから」
マルガーテに対して強気のノブナガさん。やっぱりこの人はすごいな。普通の人なら逃げ出してしまうのに。
「という事だマルガーテ。俺は簡単には負けない」
「なるほど、ノア無しで私に戦おうとしているだけありますね。でもあなたは魔法を頻繁に使って大丈夫なのでしょうか?」
「お前、まさか知っているのか?」
「当たり前じゃないですか。それはあなたの唯一の力であり、最大の弱点です。敵の弱点は予め知っておくのが普通なんですよ。彼女がそうであったように」
「お前なんかに、師匠の何が分かる」
あの人は自分の命が短い事を知っていながらも、俺に魔法の使い方を教えてくれた。その優しさは絶対に忘れない。
「ヒスイ様の師匠は確か先程……」
「そうです。彼の師匠は禁断の魔法を無駄に使いすぎて、無様に死んでいきました。私を倒すこともできずにね」
「っ!」
マルガーテの言葉に、俺の怒りが止まらなくなる。無駄? 無様? ふざけるな。
「師匠を馬鹿にするな!」
今すぐにでも殴りかかりたい。だが身体が全く動かない。何でこんな時に限って動かないんだよ。
「怒ってますか? だけど残念ですね。あなたの今の力では私に歯が立ちません。もし挑むというなら、もっと鍛えてからの方がよいですよ」
「くそぉ」
何でこんな奴なんかに、俺が……。
「だぁ!」
その俺の怒りに代わってノブナガさんが、マルガーテに再び切り掛かるが、ヒラリとかわされる。
「これ以上ヒスイ様を馬鹿にするなら、私が許しませんよマルガーテ!」
「この私に刃を向けられる者がいるとは珍しい。だけどあなたも私には勝てません」
無詠唱でマルガーテから魔法が放たれ、それがノブナガさんに直撃する。
「きゃぁ」
「ノブナガさん!」
「ここであなたを倒すのもいいですけど、また今度にしましょう。それでは」
ノブナガさんを魔法で飛ばしたマルガーテは、そのまま去っていく。
「待て、待つんだマルガーテ!」
呼び止めようとするが、マルガーテは無視してそのまま何処かへ消えてしまった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
マルガーテの襲撃の翌日、俺はノブナガさんの部屋で怪我を負ったノブナガさんの治療をしていた。
「大した怪我じゃないから、心配しないでくださいよ」
「駄目ですよ、マルガーテの魔法を受けたんですから、もし身体に異変でも起きたら大変なんでしっかり治療させてもらいます」
「もう心配性なんですからヒスイ様は」
一年前ヒデヨシの治療に使った要領で、治療を続ける俺にノブナガさんは溜息を吐きながら言う。心配性なのかもしれないが攻撃を受けた相手は魔族のトップの娘、いつ何が身体に起きるかわからない。
「こうなったのは俺の責任ですから、今日はゆっくり休んでください」
「そうは言われましても……。それにヒスイ様、私はあなたに聞きたいことがあるんです」
「聞きたい事?」
何となくは分かっている。何せ昨日のマルガーテの話を聞いているなら当然聞きたいことが山ほどあるはずだ。
「ヒスイ様、もしかして命が短いんですか?」
「……」
だから一番に聞きたいことも分かっていた。だけど俺はそれについて答えられない。
「答えてくださいヒスイ様」
「それについては……俺からはうまく答えられません」
「どういう意味ですか? あなたに魔法を教えた師匠が亡くなった原因が、その魔法だというならそれを教えてもらったあなただって」
「すいませんノブナガさん。俺にはその答えが本当なのかは分かりません」
「嘘ですよ、分かっているはずじゃないですか。一年前も倒れているんですよ」
「これは言えません。俺には何も……」
「ヒスイ様!」
言えるわけがない。これ以上魔法を使うと、命を落とすなんて言えない。でも使わないという選択肢はない。俺は約束したのだから。この魔法を使って無事に生き抜いてみせるって。
「お願いですノブナガさん。俺を信じてください」
「信じたいですよ、でも……誰かを失うのはもう嫌なんです」
「大丈夫ですよ、これだけは約束します。俺は絶対に死にません」
「本当……ですか?」
「はい。出発前に師匠にも約束してきましたから。だから俺を信じてほしいんです」
「ヒスイ様……」
不安なのは分かるし、正直俺も不安だ。だけどそうする以外の答えは見つからない。いつその時が来るかは分からないけど、マルガーテは絶対に俺の手で倒してみせる。
この世界を、皆の命を守るために。
「絶対……約束ですよ」
「はい。一年前の約束を守れたように、今回も絶対に守ってみせます」
「いざとなったら私が、いや私達が付いていますから。だから困った時は私達を頼ってください」
「はい」
俺とノブナガさんはこの日誓った。何が起きたとしても、この約束だけは絶対に破らないと。
(破るものか絶対に)
だがその裏で、もう既に闇が動きだしていることを俺は知る由もなかった。
「そんなのは分かりません。ですが、私も同じように一人ではありませんから」
マルガーテに対して強気のノブナガさん。やっぱりこの人はすごいな。普通の人なら逃げ出してしまうのに。
「という事だマルガーテ。俺は簡単には負けない」
「なるほど、ノア無しで私に戦おうとしているだけありますね。でもあなたは魔法を頻繁に使って大丈夫なのでしょうか?」
「お前、まさか知っているのか?」
「当たり前じゃないですか。それはあなたの唯一の力であり、最大の弱点です。敵の弱点は予め知っておくのが普通なんですよ。彼女がそうであったように」
「お前なんかに、師匠の何が分かる」
あの人は自分の命が短い事を知っていながらも、俺に魔法の使い方を教えてくれた。その優しさは絶対に忘れない。
「ヒスイ様の師匠は確か先程……」
「そうです。彼の師匠は禁断の魔法を無駄に使いすぎて、無様に死んでいきました。私を倒すこともできずにね」
「っ!」
マルガーテの言葉に、俺の怒りが止まらなくなる。無駄? 無様? ふざけるな。
「師匠を馬鹿にするな!」
今すぐにでも殴りかかりたい。だが身体が全く動かない。何でこんな時に限って動かないんだよ。
「怒ってますか? だけど残念ですね。あなたの今の力では私に歯が立ちません。もし挑むというなら、もっと鍛えてからの方がよいですよ」
「くそぉ」
何でこんな奴なんかに、俺が……。
「だぁ!」
その俺の怒りに代わってノブナガさんが、マルガーテに再び切り掛かるが、ヒラリとかわされる。
「これ以上ヒスイ様を馬鹿にするなら、私が許しませんよマルガーテ!」
「この私に刃を向けられる者がいるとは珍しい。だけどあなたも私には勝てません」
無詠唱でマルガーテから魔法が放たれ、それがノブナガさんに直撃する。
「きゃぁ」
「ノブナガさん!」
「ここであなたを倒すのもいいですけど、また今度にしましょう。それでは」
ノブナガさんを魔法で飛ばしたマルガーテは、そのまま去っていく。
「待て、待つんだマルガーテ!」
呼び止めようとするが、マルガーテは無視してそのまま何処かへ消えてしまった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
マルガーテの襲撃の翌日、俺はノブナガさんの部屋で怪我を負ったノブナガさんの治療をしていた。
「大した怪我じゃないから、心配しないでくださいよ」
「駄目ですよ、マルガーテの魔法を受けたんですから、もし身体に異変でも起きたら大変なんでしっかり治療させてもらいます」
「もう心配性なんですからヒスイ様は」
一年前ヒデヨシの治療に使った要領で、治療を続ける俺にノブナガさんは溜息を吐きながら言う。心配性なのかもしれないが攻撃を受けた相手は魔族のトップの娘、いつ何が身体に起きるかわからない。
「こうなったのは俺の責任ですから、今日はゆっくり休んでください」
「そうは言われましても……。それにヒスイ様、私はあなたに聞きたいことがあるんです」
「聞きたい事?」
何となくは分かっている。何せ昨日のマルガーテの話を聞いているなら当然聞きたいことが山ほどあるはずだ。
「ヒスイ様、もしかして命が短いんですか?」
「……」
だから一番に聞きたいことも分かっていた。だけど俺はそれについて答えられない。
「答えてくださいヒスイ様」
「それについては……俺からはうまく答えられません」
「どういう意味ですか? あなたに魔法を教えた師匠が亡くなった原因が、その魔法だというならそれを教えてもらったあなただって」
「すいませんノブナガさん。俺にはその答えが本当なのかは分かりません」
「嘘ですよ、分かっているはずじゃないですか。一年前も倒れているんですよ」
「これは言えません。俺には何も……」
「ヒスイ様!」
言えるわけがない。これ以上魔法を使うと、命を落とすなんて言えない。でも使わないという選択肢はない。俺は約束したのだから。この魔法を使って無事に生き抜いてみせるって。
「お願いですノブナガさん。俺を信じてください」
「信じたいですよ、でも……誰かを失うのはもう嫌なんです」
「大丈夫ですよ、これだけは約束します。俺は絶対に死にません」
「本当……ですか?」
「はい。出発前に師匠にも約束してきましたから。だから俺を信じてほしいんです」
「ヒスイ様……」
不安なのは分かるし、正直俺も不安だ。だけどそうする以外の答えは見つからない。いつその時が来るかは分からないけど、マルガーテは絶対に俺の手で倒してみせる。
この世界を、皆の命を守るために。
「絶対……約束ですよ」
「はい。一年前の約束を守れたように、今回も絶対に守ってみせます」
「いざとなったら私が、いや私達が付いていますから。だから困った時は私達を頼ってください」
「はい」
俺とノブナガさんはこの日誓った。何が起きたとしても、この約束だけは絶対に破らないと。
(破るものか絶対に)
だがその裏で、もう既に闇が動きだしていることを俺は知る由もなかった。
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