魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第80陣二人だけの秘密
あの後、ノブナガさんの治療を終えた俺は一度彼女の部屋を出た。
「ヒッシー、ノブナガ様のご容態は?」
「大した怪我じゃないから、大丈夫だよ。心配させて悪かったな」
「あーよかった。ノブナガ様まで私と同じ目にあうんじゃないかって、すごく心配で」
ホッとしながらヒデヨシはそう言う。一年前、彼女の力によって闇触の被害に一度合っている。その時の事はほとんど覚えてないというが、多少なりとも覚えているらしい。
「まあ闇触を未然に防ぐために治療をしておいた、とも言えるけどな」
「そっか。何はともあれノブナガ様が無事ならそれでいいや」
安堵の表情をもう一度浮かべながらヒデヨシは俺に言った。よほどノブナガさんを慕っているんだな、彼女も。
「あ、お疲れ翡翠。ノブナガさんは、その、大丈夫だった?」
ヒデヨシと歩いていると、途中で桜と合流。
「何だお前も心配してくれていたのか、桜」
「何だとは何よ。ノブナガさんは私を助けてくれた恩人でもあるんだから、心配しても当然でしょ?」
「そうだな。でも目の下に隈が出来るほど心配しなくてもいいだろ」
「こ、これは、別にそういう意味で出来たわけじゃないから。昨日の話とか……ごにょごにょ」
まるでツンデレかのごとく、そんな事を言う桜。最後の方はうまく聞き取れなかったけど。とりあえず大事にはならなくて、一安心した俺だった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
その日の夜、ノブナガさんが何やら話があるらしく、俺と桜とネネとヒデヨシの四人は部屋に集められた。
「今日は皆さんにご迷惑をおかけしました。ヒスイ様のお陰もあって、無事怪我は治りました」
「無事でよかったですノブナガ様」
「本当は大した怪我ではなかったんですけど、ヒスイ様が大袈裟にするから、心配させてしまいましたね。でもこの通りもう大丈夫ですから」
簡単な報告が終わると、ついさっきまで笑顔だったノブナガさんが真剣な目をして次の話へと進めた。
「それで何故皆さんに集まっていただいたのかというと、例のマルガーテに対しての対策を練ろうと思ったからです。今回は簡単な怪我で済みましたが、次はこれで済まないかもしれません」
「そうですね。奴はノブナガさんですら簡単に吹き飛ばしてしまうほどの力を持っています。なのでそれなりの対策は必要かもしれません」
ノブナガさんの考えには賛成だった。早くも敵が姿を現したからには、こちらの対策も必要になってくる。何せ俺を除くノブナガさんを含めて四人は、それに対峙できる力を持っていない。次もし戦ったら、怪我で済まなくなる。
「そこで私は考えたんです。この世界に住まう闇を振り払うため、私達だけでなく他の方にも力をお貸ししてもらおうと」
「他の方とは?」
「それは勿論、シンゲンさんやイエヤスさんといった各地の武将達ですよ」
「つまり共同の戦線を組むと?」
「はい。ただしそんな簡単に頷いてくれるとは思っていないので、そこは実力行使です」
「それ交渉する気あるんですか?」
思わず苦笑いする俺。交渉(物理)とはこういう事を言うのだろうか。
「ノブナガさんが言うことは分かったけど、私は戦う以前の問題なんだけど」
そう発言したのは桜。確かにそれは問題ではあるけど、ノブナガさんはそんなの分かっている。
「そこに関しては問題ないですよ。ヒスイ様が鍛えてくれますから」
ほら、こうやって対策済み……。
「って、俺が教えるんですか?」
「勿論ですよ。サクラさんに教えるのヒスイ様が一番合っていると私は思いますから」
「それは私も思うー。二人はお似合いさんだよ」
「つまり私はお姉様とお似合いという事ですね」
「何でそうなるのよ!」
いつも通りのやり取りをする二人を尻目に、俺は桜を見る。果たして彼女に俺が教えることができるのだろうか?
「別に翡翠に教えてもらえるなら、大丈夫だけど。本当にあんたが教えられるの?」
「少しは信用してくれよ」
しかも彼女は俺を信用していない。まあ、確かに人に教えるのは得意じゃないけどさ(一年前にボクっ娘の忍者に教えたけど)。
「とにかくお願いしますよ、ヒスイ師匠」
「ちょっ、師匠なんて呼び方しないでくださいよ」
「頼むわよヒスショー」
「何そのどこかで聞いた事があるような訳し方」
結局俺は断りきれず、桜に太刀の使い方を教えることに。
(なんか色々と不安だなぁ)
師匠だなんて大層なものじゃないのに、何で桜を除く他の人は俺を信用しているのだろうか。
「その他の事はまた伝えるので、今日は解散です。夜も遅いので、ゆっくりお休みください」
最後にノブナガさんはそう締めて、皆が部屋を出て行く。俺も出ようとした時に、ノブナガさんに呼び止められた
。
「何か伝え忘れた事でもありましたか?」
「いえ、そうじゃないんです。ただちょっと……」
「ちょっと?」
そこまで言ったところで、ノブナガさんはバタンと倒れてしまった。
「の、ノブナガさん!?」
俺は慌てて駆け寄り、抱き起こす。
「今ヒデヨシ達を」
「呼ばないでください」
「え? でも呼ばないと」
「ちょっと目眩がしただけですから。この事は皆には黙っていてください……」
「でも」
「これでお互い誰も知られてない秘密ができましたので、おあいこです」
「秘密って、まさか……」
 「はい。これはずっと前から……起きていることなんです。もしかしたら私も長くないのかもしれません……」
「そんな事言わないでください。絶対俺が何とかしますから」
「そう言ってくれるだけで……嬉しいです」
この世界に戻ってきて二日目の夜は、とんだ事件の発生により、眠れない夜となってしまった。
「ヒッシー、ノブナガ様のご容態は?」
「大した怪我じゃないから、大丈夫だよ。心配させて悪かったな」
「あーよかった。ノブナガ様まで私と同じ目にあうんじゃないかって、すごく心配で」
ホッとしながらヒデヨシはそう言う。一年前、彼女の力によって闇触の被害に一度合っている。その時の事はほとんど覚えてないというが、多少なりとも覚えているらしい。
「まあ闇触を未然に防ぐために治療をしておいた、とも言えるけどな」
「そっか。何はともあれノブナガ様が無事ならそれでいいや」
安堵の表情をもう一度浮かべながらヒデヨシは俺に言った。よほどノブナガさんを慕っているんだな、彼女も。
「あ、お疲れ翡翠。ノブナガさんは、その、大丈夫だった?」
ヒデヨシと歩いていると、途中で桜と合流。
「何だお前も心配してくれていたのか、桜」
「何だとは何よ。ノブナガさんは私を助けてくれた恩人でもあるんだから、心配しても当然でしょ?」
「そうだな。でも目の下に隈が出来るほど心配しなくてもいいだろ」
「こ、これは、別にそういう意味で出来たわけじゃないから。昨日の話とか……ごにょごにょ」
まるでツンデレかのごとく、そんな事を言う桜。最後の方はうまく聞き取れなかったけど。とりあえず大事にはならなくて、一安心した俺だった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
その日の夜、ノブナガさんが何やら話があるらしく、俺と桜とネネとヒデヨシの四人は部屋に集められた。
「今日は皆さんにご迷惑をおかけしました。ヒスイ様のお陰もあって、無事怪我は治りました」
「無事でよかったですノブナガ様」
「本当は大した怪我ではなかったんですけど、ヒスイ様が大袈裟にするから、心配させてしまいましたね。でもこの通りもう大丈夫ですから」
簡単な報告が終わると、ついさっきまで笑顔だったノブナガさんが真剣な目をして次の話へと進めた。
「それで何故皆さんに集まっていただいたのかというと、例のマルガーテに対しての対策を練ろうと思ったからです。今回は簡単な怪我で済みましたが、次はこれで済まないかもしれません」
「そうですね。奴はノブナガさんですら簡単に吹き飛ばしてしまうほどの力を持っています。なのでそれなりの対策は必要かもしれません」
ノブナガさんの考えには賛成だった。早くも敵が姿を現したからには、こちらの対策も必要になってくる。何せ俺を除くノブナガさんを含めて四人は、それに対峙できる力を持っていない。次もし戦ったら、怪我で済まなくなる。
「そこで私は考えたんです。この世界に住まう闇を振り払うため、私達だけでなく他の方にも力をお貸ししてもらおうと」
「他の方とは?」
「それは勿論、シンゲンさんやイエヤスさんといった各地の武将達ですよ」
「つまり共同の戦線を組むと?」
「はい。ただしそんな簡単に頷いてくれるとは思っていないので、そこは実力行使です」
「それ交渉する気あるんですか?」
思わず苦笑いする俺。交渉(物理)とはこういう事を言うのだろうか。
「ノブナガさんが言うことは分かったけど、私は戦う以前の問題なんだけど」
そう発言したのは桜。確かにそれは問題ではあるけど、ノブナガさんはそんなの分かっている。
「そこに関しては問題ないですよ。ヒスイ様が鍛えてくれますから」
ほら、こうやって対策済み……。
「って、俺が教えるんですか?」
「勿論ですよ。サクラさんに教えるのヒスイ様が一番合っていると私は思いますから」
「それは私も思うー。二人はお似合いさんだよ」
「つまり私はお姉様とお似合いという事ですね」
「何でそうなるのよ!」
いつも通りのやり取りをする二人を尻目に、俺は桜を見る。果たして彼女に俺が教えることができるのだろうか?
「別に翡翠に教えてもらえるなら、大丈夫だけど。本当にあんたが教えられるの?」
「少しは信用してくれよ」
しかも彼女は俺を信用していない。まあ、確かに人に教えるのは得意じゃないけどさ(一年前にボクっ娘の忍者に教えたけど)。
「とにかくお願いしますよ、ヒスイ師匠」
「ちょっ、師匠なんて呼び方しないでくださいよ」
「頼むわよヒスショー」
「何そのどこかで聞いた事があるような訳し方」
結局俺は断りきれず、桜に太刀の使い方を教えることに。
(なんか色々と不安だなぁ)
師匠だなんて大層なものじゃないのに、何で桜を除く他の人は俺を信用しているのだろうか。
「その他の事はまた伝えるので、今日は解散です。夜も遅いので、ゆっくりお休みください」
最後にノブナガさんはそう締めて、皆が部屋を出て行く。俺も出ようとした時に、ノブナガさんに呼び止められた
。
「何か伝え忘れた事でもありましたか?」
「いえ、そうじゃないんです。ただちょっと……」
「ちょっと?」
そこまで言ったところで、ノブナガさんはバタンと倒れてしまった。
「の、ノブナガさん!?」
俺は慌てて駆け寄り、抱き起こす。
「今ヒデヨシ達を」
「呼ばないでください」
「え? でも呼ばないと」
「ちょっと目眩がしただけですから。この事は皆には黙っていてください……」
「でも」
「これでお互い誰も知られてない秘密ができましたので、おあいこです」
「秘密って、まさか……」
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