英雄様の非日常《エクストラオーディナリー》 旧)異世界から帰ってきた英雄

大橋 祐

第34話 魔法

 かといって、現状では何の情報もない。
 地球規模で移動できる蒼月を探し出すなんて不可能なのだ。

「ヨミに聞こうかな」

(呼んだ?)

「うわっ」

 突然出てきた(脳内)ツクヨミに驚き、思わずはねてしまった。

(ちょっとー、呼んだんだからきてあげたんじゃん)

「ご、ごめん」

(ま、話は大体わかったわ。このツクヨミちゃんに任せなさい)

 脳内から何かが消えた。
 自分とは違う何かが。

「私には私が出来ることを」

 愛月は兄との思い出の場所に足を運ぶ。


 何処にもいなかった。
 よく遊んだ場所やショッピングモール。
 考えうる全ての場所に行った。
 だが、何処にもいなかった。

「何処にいるの」

 そして。
 ふと疑問に思った。

「地球でも魔法って使えるのかな?」

 異世界に行った時と同じ感覚でイメージする。
 
【生活魔法を習得しました】

 無機質な機械音声のような声が脳内で流れる。

【生活魔法・応用を習得しました】

「これなら」

「『探知サーチ』捜索範囲・日本」

 いない。

「捜索範囲・世界」

 数分その場で探す。

 が。

 蒼月は世界にはいなかった。
 愛月はパタリと地面に座り込む。
 もう、無理だ。
 世界にいないなら自分に出来ることなど何もない。


「はやく………帰ってきてよ」

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