変わってゆく僕

みどり。

第三話 無くなる居場所

その後お風呂に入って宿題やって、すぐに布団に潜りこんだ。今後、何が起こるかなんて、分からない。
でも、何かが起こるというという事は分かっている。目を閉じたら、数時間前と同じような手の震えが私を怯えさせた。
次の日の朝、目覚めは悪かった。鮮明に覚えている機能の記憶が、体中に走った。
それでも、学校には行く。物静かな私には一人しか友達がいないけれど、会うのが楽しみだった。
学校は好きだ。勉強をして、おいしい給食を食べて、休み時間には一人の友人と遊んで。
素敵な場所だと思っていた。そう思って過ごしてきた。
でも、そんな楽しい場所でさえも、苦しめられることになった。クラスメイトの女の子、気の強い一人の女の子に、食べ残しのパンを机の上に投げられた。
「誰か助けてくれる」そう思っていたけれど、誰もそんな事をしない。私のことを見るなり、クスクスと色々な人の笑い声がきこえてきた。
ただ恐かった。恥ずかしかった。
怯えながらも、担任の先生に相談してみた。信頼してた先生だから、相手の女の子に注意してくれると思った。
勇気を振り絞って言った。
「先生、舞ちゃんが私の机に残したパンを投げました。」
先生は言った。
「それがどうした。そんな事でもめるんじゃない。食べてあげればいいじゃないか。全く、心のない奴だな」
耳を疑った。でも、確かに言われた。
先生やクラスメイトや舞ちゃんにとっては小さな出来事だったのかもしれない。どうでもよかったのかもしれない。
でも、私にとっては忘れられない大きな出来事だった。苦しくて、恥ずかしくて、怒りがこみあげてくるような出来事だった。
これからの家での生活も、学校での生活も、恐くてたまらなかった。どこにも居たくなかった。
居なくなりたい。消えてしまいたかった。

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