チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります
第百九話 大神との出会い
あれ?俺ってどうなったんだ?辺りが真っ暗で何も見えないんだよな。
いきなり光が出たと思ったら消えた気がする。
予想的にここはあの浮遊大陸の中だとは思うんだけどどうやってここに来たのか分からないからな。
一番考えたくないのは俺が死んでここは地獄の門だとか言われたら泣いて助けを求めよう。
「うお!なんだ?」
いきなり辺りに火が灯る。びっくりした。地獄の門かと思っただろうが!
だが俺はそれよりも驚いたことがある。
「よくぞこの世界で最強になったな、赤江樹」
そこには俺の身長の三倍はある三メートルぐらいの白髪で髭を生やしたおじさんが椅子に座って俺を見ている。
何だか偉そうで腹が立ちますね。ここで一発偉そうだな!とか言いたいところだが、ここが地獄の門でこの人が地獄王とかだったら困るから止めよう。
そもそも俺身体動かないしな!
.......ん?動く。普通に動くぞ。おかしいな。俺もう動ける状態じゃなかったと思うんだけど。
「どうやら自分が動けるのが不思議のようだが、それはこの城に着いた時点で回復はしておいたからな」
マジか。さっき偉そうとか思ってごめんなさい。俺は心で謝りながらも一つ気になった事があった。
「それより何で俺の日本での名前知ってんの?イルイラ並みのスト.......」
俺はストーカーという前にこいつの正体が分かった気がする。
「もしかしてお前が俺を転生させた神?」
「いかにも」
神は淡々と答えた。
マジか。っていう事はここは地獄の門ではない。助かった。
それなら俺の名前を知っていてもおかしくはない。
「気付くのが少し遅くないかい?」
それは目の前にいる神ではなく背後から誰かの足音が聞こえた。
俺はその人物に驚きが隠せなかった。
「......エリック博士?」
「久しぶりだね。レイロード君。僕はおなじみのエリック博士」
するとエリック博士は姿が変わった。
「......は?イルイラ?」
エリック博士の容姿が変わり美少年がそこにはいた。
だがその容姿は美少年と言っていいほどで髪がこっちも白髪だった。
「ある時はエリック博士。そしてある時はイルイラだよ」
このテンションは間違いなくイルイラだ。
「え?なんでお前がエリック博士でこの世界にいるんだよ?」
「まあ。それは追々説明するけどまずはこの大神様と話してからにしなよ」
イルイラは隣にいる大神と言われている男を見た。
すると、大神と言われていた男は、
「俺は大神オメル。世界の創設神ともいわれているが適当に呼んでくれ。俺から話したいことはあるが先に君から聞きたい事はあるか?」
いい機会だ。どうしても気になった事があったのでそれを聞く。
「どうして俺とココがこの世界に転生させられたのかがずっと気になっていた」
「そうだな。それは俺から話そうと思っていた事と似ている。だから少し話をさせてくれ。俺はずっと退屈だった。そして俺は他の人たちを作り色んな世界を作った。だがそれだけで満足は出来なかった。そして俺はある時世界を見ている頃に思ったのだ。何処にも『平和な世界』が無いとな。そして俺はいつしか平和な世界を見てみたいと思うようになった」
凄いざっくりと話したけどその内容はもの凄い長そうだから聞かないであげよう。
「それで俺がこの世界に転生させたら平和な世界が作れると?」
「そうだ」
この人は何を言っているのだろうか。
前世の俺は一般高校生の男の子。そんな俺が転生させて平和な世界がつくれると思ったのならこの人の眼は節穴かお豆で出来ている。
「......俺一般高校生だったんですが」
「それは分かっている。だが貴様には夢があったろう。確かにお前でもなくても他の人達でもよかったとは思ってる。だが、候補の一人であるお前にイルイラに見てもらっていたのだが猛烈に進められてな」
俺は隣にいるイルイラを見るとてへぺろ!みたいな顔をしている。殴っていいだろうか?
「けど、なんで俺に夢があったら転生するんだよ。意味が分からないんだけど」
俺に夢があったとして平和になるとは分からない筈だ。
「この世界では邪神が世界を乗っ取ろうとしているのを私は知っていた。だからこそ俺は一番になりたいと思っているお前ならこの世界でもしかしたら邪神を倒し『平和な世界』が作れると思っていたからお前を転生させたのだ」
思っていた?俺は不思議そうにしながらも気にしない事にした。
「それで何でココは転生させたんだ?」
「顔が好みだったからだ」
「頭大丈夫か?」
「正常だ」
大神は淡々と答える。いや、今の発言はやばいだろ。
「レイが驚いていますからちゃんと説明してあげないと」
イルイラがそう言うと大神はそうだなと呟き、
「あの通り魔に殺されたあの子は俺は顔が好みで性格も好みだった。そんな彼女が最後にお前に会いたがってたんだ。願いを叶えるのは当たり前だろう?」
「そんな当たり前があってたまるか」
こんな説明は聞きたくなかった。大神の威厳一切なくなったんですけど。
大神が咳払いし、
「次は俺の話だったな。お前は今回の戦いで満足したか?もっと強い相手と戦いたくはないか?」
そんな事を言ってきた。
「満足はしたよ。そりゃあもっと強い相手がいるなら戦いたいなとは思うけどこの世界で俺の戦いはここで終わりにするつもりだ」
師匠が言ってた通り俺もこの邪神との戦いで終わらせるつもりだ。
「本当に満足したのか?セルミ―という精霊の力を借りたりして勝ったのにか?」
ああ。そういう事か。
「俺は確かにあいつの力は借りた。だけどあいつは俺の努力を認めて契約したんだ。だから後悔もないし、今回の戦いで皆を守る事が出来た。だから俺は満足だ」
それにイルイラはぽかーんとしていた。
「......なんだよ。その顔は」
「いや。君はほんとに変わったなと思って。もちろんいい意味でね」
「は?変わった?俺何も変わってないぞ」
「まさかの無自覚!」
イルイラが驚きの表情に変わる。忙しい奴だな。
「流石に俺も今のは驚いた」
大神までそんな事を言ってきた。
「なんだよ。教えてくれよ」
そんな風に言われると気になる。
「僕も途中から変わっていったなとは思ったけどここまで変わるとはね。君はこの世界に来て成長しているよ」
少し照れ臭いんだけど。
「だから何なんだよ。気になるから教えてくれよ」
イルイラは溜め息をついて、
「君は最初他人の評価を気にしていたんだよ。それに加えて、全部一人でやろうとしていたんだよ。だからタマやセシリアにも力を貸すなって言ってたじゃないか。けどいつからかは分からないけど君は家族を守る為に色んな人の力を借りて家族の為に頑張っていた。けどそれはいい事だと僕は思うんだよね。絶対あの時のままだったら邪神に勝てなかっただろうし」
そういう事か。自分の過去を振り返ってみる。
確かに俺言ったな。タマに力を貸してもらったら皆からの評価が違うようになるとか。
けどいつしか自分の周りが知っていてくれるならそれでいいと思うようになったんだよな。
「イルイラに今言われて確かにちょっと変わったかもな」
「変わったよ。君は。今の方が僕は好きだけどね」
「俺にそっちの方は無いんで」
ほんとこいつはやばい。俺にそっちは一切ない。断じてない。そんな事に目覚めてしまったら俺は彼女達にどんな反応されるか恐ろしくて考えたくもない。
「ごっほん。話が逸れたな。しかしお前は先程この世界ではっといったな。では違う世界ではどうだ?」
大神が咳払いをして話を戻す。
「違う世界?」
何だそれは。確かに日本とこの世界では全然違うが他にも違う世界もあるって事か?
「ああ、その通りだ。『魔法世界』という所だ。魔法世界で最強になってみないか?そこならばこの世界より強い奴は沢山いる。きっとお前も喜ぶと思うぞ」
何だかその言い方だと、俺が強者と戦う事が大好きな戦闘狂に聞こえるのは間違いではない筈だ。ただ、
「大神はこの世界で『平和な世界』を望んでたんじゃないのか?」
「あの世界は駄目だ。邪神を倒したら平和になると思ったが、次の勢力がぞろぞろとまた出てくる。あの世界はもう見切りをつけなければ......」
大神はそこまで言って俺の変化に気付いたようだ。
今とてつもなく腹が立っている。
「この世界は駄目なんかじゃない。確かに平和な世界は作れてないのかもしれない。だけど決して駄目な世界じゃない。取り消せ」
「.......確かに今のは失言だった。すまない。ただ次の世界は魔法主体の世界なんだ。どうだろうか?」
そこでイルイラが一歩前に出て、
「その魔法世界に関係してるっていうか、魔法世界では魔法の最先端をいってるんだけど、僕がエリック博士としてこの世界でいるのはこの世界が魔法に関して遅れすぎているからなんだ。だから僕はこの世界で少しでも魔法を発展させていこうってつもりでこの世界にいるんだ」
エリック博士に関してはもうどうでもいいが、俺はそこで考えてみる。確かにこの世界ではない所でまだ新たに最強になれるという。それに確かに今回はセルミ―の力も借りたりしてだ。だけど違う世界でそんな事は出来ない。
「分かった。行くよ。それに大神には死んだ俺をこの世界に転生させてくれた恩もあるし」
「そうか。良かった。そいえばお前は最強になったら何を望むのだ?」
そんな話もあったな。俺すっかり忘れてたよ。けどそれは今決めた。
「なあ。そんな難しい話じゃないんだけど三つほど頼めるか?」
「聞いてから判断しよう」
「一つ目なんだけど俺をこのままの体で転生させてくれないか?」
そうでないと今までの俺の努力が無駄になる。それにもう親は必要ない。親はもう日本とこの世界で十分なんだ。あんな辛い思いはしたくない。
「初めからそのつもりだ。前世でのお前はひ弱だった為、転生させたが今回は転移にするつもりだ。他には?」
何気に俺の前世を馬鹿にしたなこいつ。まあ、それは置いておこう。
「二つ目はこの世界の事を忘れないようにして欲しいんだ」
これは絶対にして欲しい。今までの皆との思い出が消えるなんて絶対に嫌だ。
「ほう。まあそれも全然構わんぞ」
こいつ案外軽いな。何だろう。何でも通る気がする。
「三つ目はこの世界を最後まで過ごしたい。今すぐ魔法世界に行くんじゃなくて無理か?」
「いや。それも最初から決めていたからな。いいぞ」
結局俺って一つしか叶えて貰ってない気がするが気にしないでおこう。
「じゃあ。話も終わったしそろそろ帰してくれないか?」
折角の祝勝ムードがいきなり中断されたんだ。早く帰って楽しみたい気持ちがある。
「ああ。それでは次に会うのはお前が死んだ後だ」
「確かにその通りだけど縁起でもない事を言うんじゃねえよ!」
何てこと言うんだ。こいつは。
「それとここにいた記憶は次にここに来るまで消してもらう」
「はい?」
俺はその瞬間城から姿を消したのだった。
~その頃の二人~
レイロードはいない中、そこでは二人の会話が続いていた。
「いいんですか?真実をレイに教えてあげなくても」
「......今はまだ話す時ではない気がする」
「そうやってずっと逃げているようなら流石に僕から言いますよ?」
少しイルイラは目を鋭くして言う。
「.......もしも俺が話せないようならその時は頼む」
二人は本当の真実をレイに黙っていたのだった。
~レイロード視点~
今俺はリリアに抱きつかれている状態なのだが、何か違和感がある。
何か忘れているような。
まあ。いっか。今は勝ったことを喜ぼう。
そして俺はこの世界で楽しく過ごそう。
俺はそう決めた。
~魔王視点~
こいつら魔人並みいやそれ以上に化け物だろう。
「何でお前らまだそんなボロボロで生きてるんだ?」
俺は目の前でボロボロになっている勇者とそのメンバーのエルフが一緒に横たわっている姿を見て恐怖するしかない。
「......まさか生きてるとはね」
「ほんとにな」
二人はそう言い合う。
「それでお前ら何があったんだ?」
俺は二人に聞いたら話した。
まずこのエルフはリッチーという死者と一緒にライオンと一緒に至近距離からの龍級で道ずれで死のうとしていたらしい。
だが最後の最後でリッチーは火の龍級ではなくエルフに水魔法の上級を最大火力で放った。
龍級は嵐だ。その嵐に巻き込まれながらここまで飛ばされてきたが何とか生きていたらしい。それだけでもう十分化け物だと思う。
だが、勇者はもっとやばかった。
邪神が神聖級魔法を放ってきたのを受け止めたらしい。
だが受け止める瞬間精霊ミレムが最後に一回だけ力を貸してあげると自分の目の前に来てくれたおかげでギリギリ生きていたらしい。
俺はそのいつでもくたびれそうな二人に回復魔法をかける。
「お?俺達を助けてくれるのか?」
「しょうがねえだろ。お前らには一度俺を殺さずに生かしてもらったんだかからこれでチャラだからな」
俺は二人が動けるほどに回復だけする。それ以上は知らん。
二人は肩を貸し合いながら立ち上がる。
「それでお前らは戻るのか?」
「「戻らない」」
二人は息ぴったりに答えた。何だかおかしい気がする。本当なら今すぐにでもあいつらに会いたいはずだ。だけどこの二人からはそんな雰囲気が一切ない。
俺はそこで悟った。もし俺が死ぬ寸前だったらマリーに何か言う。
こいつらも死ぬ寸前何か言ったのだろう。だから先程から目が泳いでいる。
「あいつらには私達はもう必要ないよ」
「そうだな。もう必要ない。これからはこっそり隠居生活をするよ」
二人は決して何かあったかは言わなかった。
「なら俺は戻るがお前らが生きてることは言わないでいんだな?」
「ああ。言わないでいいよ」
「俺もだ」
二人はそう言ったので、俺はそこで二人と別れた。
勇者オーウェル、ミレイアが生きていることは誰にも知られることは無かったのだった。
いきなり光が出たと思ったら消えた気がする。
予想的にここはあの浮遊大陸の中だとは思うんだけどどうやってここに来たのか分からないからな。
一番考えたくないのは俺が死んでここは地獄の門だとか言われたら泣いて助けを求めよう。
「うお!なんだ?」
いきなり辺りに火が灯る。びっくりした。地獄の門かと思っただろうが!
だが俺はそれよりも驚いたことがある。
「よくぞこの世界で最強になったな、赤江樹」
そこには俺の身長の三倍はある三メートルぐらいの白髪で髭を生やしたおじさんが椅子に座って俺を見ている。
何だか偉そうで腹が立ちますね。ここで一発偉そうだな!とか言いたいところだが、ここが地獄の門でこの人が地獄王とかだったら困るから止めよう。
そもそも俺身体動かないしな!
.......ん?動く。普通に動くぞ。おかしいな。俺もう動ける状態じゃなかったと思うんだけど。
「どうやら自分が動けるのが不思議のようだが、それはこの城に着いた時点で回復はしておいたからな」
マジか。さっき偉そうとか思ってごめんなさい。俺は心で謝りながらも一つ気になった事があった。
「それより何で俺の日本での名前知ってんの?イルイラ並みのスト.......」
俺はストーカーという前にこいつの正体が分かった気がする。
「もしかしてお前が俺を転生させた神?」
「いかにも」
神は淡々と答えた。
マジか。っていう事はここは地獄の門ではない。助かった。
それなら俺の名前を知っていてもおかしくはない。
「気付くのが少し遅くないかい?」
それは目の前にいる神ではなく背後から誰かの足音が聞こえた。
俺はその人物に驚きが隠せなかった。
「......エリック博士?」
「久しぶりだね。レイロード君。僕はおなじみのエリック博士」
するとエリック博士は姿が変わった。
「......は?イルイラ?」
エリック博士の容姿が変わり美少年がそこにはいた。
だがその容姿は美少年と言っていいほどで髪がこっちも白髪だった。
「ある時はエリック博士。そしてある時はイルイラだよ」
このテンションは間違いなくイルイラだ。
「え?なんでお前がエリック博士でこの世界にいるんだよ?」
「まあ。それは追々説明するけどまずはこの大神様と話してからにしなよ」
イルイラは隣にいる大神と言われている男を見た。
すると、大神と言われていた男は、
「俺は大神オメル。世界の創設神ともいわれているが適当に呼んでくれ。俺から話したいことはあるが先に君から聞きたい事はあるか?」
いい機会だ。どうしても気になった事があったのでそれを聞く。
「どうして俺とココがこの世界に転生させられたのかがずっと気になっていた」
「そうだな。それは俺から話そうと思っていた事と似ている。だから少し話をさせてくれ。俺はずっと退屈だった。そして俺は他の人たちを作り色んな世界を作った。だがそれだけで満足は出来なかった。そして俺はある時世界を見ている頃に思ったのだ。何処にも『平和な世界』が無いとな。そして俺はいつしか平和な世界を見てみたいと思うようになった」
凄いざっくりと話したけどその内容はもの凄い長そうだから聞かないであげよう。
「それで俺がこの世界に転生させたら平和な世界が作れると?」
「そうだ」
この人は何を言っているのだろうか。
前世の俺は一般高校生の男の子。そんな俺が転生させて平和な世界がつくれると思ったのならこの人の眼は節穴かお豆で出来ている。
「......俺一般高校生だったんですが」
「それは分かっている。だが貴様には夢があったろう。確かにお前でもなくても他の人達でもよかったとは思ってる。だが、候補の一人であるお前にイルイラに見てもらっていたのだが猛烈に進められてな」
俺は隣にいるイルイラを見るとてへぺろ!みたいな顔をしている。殴っていいだろうか?
「けど、なんで俺に夢があったら転生するんだよ。意味が分からないんだけど」
俺に夢があったとして平和になるとは分からない筈だ。
「この世界では邪神が世界を乗っ取ろうとしているのを私は知っていた。だからこそ俺は一番になりたいと思っているお前ならこの世界でもしかしたら邪神を倒し『平和な世界』が作れると思っていたからお前を転生させたのだ」
思っていた?俺は不思議そうにしながらも気にしない事にした。
「それで何でココは転生させたんだ?」
「顔が好みだったからだ」
「頭大丈夫か?」
「正常だ」
大神は淡々と答える。いや、今の発言はやばいだろ。
「レイが驚いていますからちゃんと説明してあげないと」
イルイラがそう言うと大神はそうだなと呟き、
「あの通り魔に殺されたあの子は俺は顔が好みで性格も好みだった。そんな彼女が最後にお前に会いたがってたんだ。願いを叶えるのは当たり前だろう?」
「そんな当たり前があってたまるか」
こんな説明は聞きたくなかった。大神の威厳一切なくなったんですけど。
大神が咳払いし、
「次は俺の話だったな。お前は今回の戦いで満足したか?もっと強い相手と戦いたくはないか?」
そんな事を言ってきた。
「満足はしたよ。そりゃあもっと強い相手がいるなら戦いたいなとは思うけどこの世界で俺の戦いはここで終わりにするつもりだ」
師匠が言ってた通り俺もこの邪神との戦いで終わらせるつもりだ。
「本当に満足したのか?セルミ―という精霊の力を借りたりして勝ったのにか?」
ああ。そういう事か。
「俺は確かにあいつの力は借りた。だけどあいつは俺の努力を認めて契約したんだ。だから後悔もないし、今回の戦いで皆を守る事が出来た。だから俺は満足だ」
それにイルイラはぽかーんとしていた。
「......なんだよ。その顔は」
「いや。君はほんとに変わったなと思って。もちろんいい意味でね」
「は?変わった?俺何も変わってないぞ」
「まさかの無自覚!」
イルイラが驚きの表情に変わる。忙しい奴だな。
「流石に俺も今のは驚いた」
大神までそんな事を言ってきた。
「なんだよ。教えてくれよ」
そんな風に言われると気になる。
「僕も途中から変わっていったなとは思ったけどここまで変わるとはね。君はこの世界に来て成長しているよ」
少し照れ臭いんだけど。
「だから何なんだよ。気になるから教えてくれよ」
イルイラは溜め息をついて、
「君は最初他人の評価を気にしていたんだよ。それに加えて、全部一人でやろうとしていたんだよ。だからタマやセシリアにも力を貸すなって言ってたじゃないか。けどいつからかは分からないけど君は家族を守る為に色んな人の力を借りて家族の為に頑張っていた。けどそれはいい事だと僕は思うんだよね。絶対あの時のままだったら邪神に勝てなかっただろうし」
そういう事か。自分の過去を振り返ってみる。
確かに俺言ったな。タマに力を貸してもらったら皆からの評価が違うようになるとか。
けどいつしか自分の周りが知っていてくれるならそれでいいと思うようになったんだよな。
「イルイラに今言われて確かにちょっと変わったかもな」
「変わったよ。君は。今の方が僕は好きだけどね」
「俺にそっちの方は無いんで」
ほんとこいつはやばい。俺にそっちは一切ない。断じてない。そんな事に目覚めてしまったら俺は彼女達にどんな反応されるか恐ろしくて考えたくもない。
「ごっほん。話が逸れたな。しかしお前は先程この世界ではっといったな。では違う世界ではどうだ?」
大神が咳払いをして話を戻す。
「違う世界?」
何だそれは。確かに日本とこの世界では全然違うが他にも違う世界もあるって事か?
「ああ、その通りだ。『魔法世界』という所だ。魔法世界で最強になってみないか?そこならばこの世界より強い奴は沢山いる。きっとお前も喜ぶと思うぞ」
何だかその言い方だと、俺が強者と戦う事が大好きな戦闘狂に聞こえるのは間違いではない筈だ。ただ、
「大神はこの世界で『平和な世界』を望んでたんじゃないのか?」
「あの世界は駄目だ。邪神を倒したら平和になると思ったが、次の勢力がぞろぞろとまた出てくる。あの世界はもう見切りをつけなければ......」
大神はそこまで言って俺の変化に気付いたようだ。
今とてつもなく腹が立っている。
「この世界は駄目なんかじゃない。確かに平和な世界は作れてないのかもしれない。だけど決して駄目な世界じゃない。取り消せ」
「.......確かに今のは失言だった。すまない。ただ次の世界は魔法主体の世界なんだ。どうだろうか?」
そこでイルイラが一歩前に出て、
「その魔法世界に関係してるっていうか、魔法世界では魔法の最先端をいってるんだけど、僕がエリック博士としてこの世界でいるのはこの世界が魔法に関して遅れすぎているからなんだ。だから僕はこの世界で少しでも魔法を発展させていこうってつもりでこの世界にいるんだ」
エリック博士に関してはもうどうでもいいが、俺はそこで考えてみる。確かにこの世界ではない所でまだ新たに最強になれるという。それに確かに今回はセルミ―の力も借りたりしてだ。だけど違う世界でそんな事は出来ない。
「分かった。行くよ。それに大神には死んだ俺をこの世界に転生させてくれた恩もあるし」
「そうか。良かった。そいえばお前は最強になったら何を望むのだ?」
そんな話もあったな。俺すっかり忘れてたよ。けどそれは今決めた。
「なあ。そんな難しい話じゃないんだけど三つほど頼めるか?」
「聞いてから判断しよう」
「一つ目なんだけど俺をこのままの体で転生させてくれないか?」
そうでないと今までの俺の努力が無駄になる。それにもう親は必要ない。親はもう日本とこの世界で十分なんだ。あんな辛い思いはしたくない。
「初めからそのつもりだ。前世でのお前はひ弱だった為、転生させたが今回は転移にするつもりだ。他には?」
何気に俺の前世を馬鹿にしたなこいつ。まあ、それは置いておこう。
「二つ目はこの世界の事を忘れないようにして欲しいんだ」
これは絶対にして欲しい。今までの皆との思い出が消えるなんて絶対に嫌だ。
「ほう。まあそれも全然構わんぞ」
こいつ案外軽いな。何だろう。何でも通る気がする。
「三つ目はこの世界を最後まで過ごしたい。今すぐ魔法世界に行くんじゃなくて無理か?」
「いや。それも最初から決めていたからな。いいぞ」
結局俺って一つしか叶えて貰ってない気がするが気にしないでおこう。
「じゃあ。話も終わったしそろそろ帰してくれないか?」
折角の祝勝ムードがいきなり中断されたんだ。早く帰って楽しみたい気持ちがある。
「ああ。それでは次に会うのはお前が死んだ後だ」
「確かにその通りだけど縁起でもない事を言うんじゃねえよ!」
何てこと言うんだ。こいつは。
「それとここにいた記憶は次にここに来るまで消してもらう」
「はい?」
俺はその瞬間城から姿を消したのだった。
~その頃の二人~
レイロードはいない中、そこでは二人の会話が続いていた。
「いいんですか?真実をレイに教えてあげなくても」
「......今はまだ話す時ではない気がする」
「そうやってずっと逃げているようなら流石に僕から言いますよ?」
少しイルイラは目を鋭くして言う。
「.......もしも俺が話せないようならその時は頼む」
二人は本当の真実をレイに黙っていたのだった。
~レイロード視点~
今俺はリリアに抱きつかれている状態なのだが、何か違和感がある。
何か忘れているような。
まあ。いっか。今は勝ったことを喜ぼう。
そして俺はこの世界で楽しく過ごそう。
俺はそう決めた。
~魔王視点~
こいつら魔人並みいやそれ以上に化け物だろう。
「何でお前らまだそんなボロボロで生きてるんだ?」
俺は目の前でボロボロになっている勇者とそのメンバーのエルフが一緒に横たわっている姿を見て恐怖するしかない。
「......まさか生きてるとはね」
「ほんとにな」
二人はそう言い合う。
「それでお前ら何があったんだ?」
俺は二人に聞いたら話した。
まずこのエルフはリッチーという死者と一緒にライオンと一緒に至近距離からの龍級で道ずれで死のうとしていたらしい。
だが最後の最後でリッチーは火の龍級ではなくエルフに水魔法の上級を最大火力で放った。
龍級は嵐だ。その嵐に巻き込まれながらここまで飛ばされてきたが何とか生きていたらしい。それだけでもう十分化け物だと思う。
だが、勇者はもっとやばかった。
邪神が神聖級魔法を放ってきたのを受け止めたらしい。
だが受け止める瞬間精霊ミレムが最後に一回だけ力を貸してあげると自分の目の前に来てくれたおかげでギリギリ生きていたらしい。
俺はそのいつでもくたびれそうな二人に回復魔法をかける。
「お?俺達を助けてくれるのか?」
「しょうがねえだろ。お前らには一度俺を殺さずに生かしてもらったんだかからこれでチャラだからな」
俺は二人が動けるほどに回復だけする。それ以上は知らん。
二人は肩を貸し合いながら立ち上がる。
「それでお前らは戻るのか?」
「「戻らない」」
二人は息ぴったりに答えた。何だかおかしい気がする。本当なら今すぐにでもあいつらに会いたいはずだ。だけどこの二人からはそんな雰囲気が一切ない。
俺はそこで悟った。もし俺が死ぬ寸前だったらマリーに何か言う。
こいつらも死ぬ寸前何か言ったのだろう。だから先程から目が泳いでいる。
「あいつらには私達はもう必要ないよ」
「そうだな。もう必要ない。これからはこっそり隠居生活をするよ」
二人は決して何かあったかは言わなかった。
「なら俺は戻るがお前らが生きてることは言わないでいんだな?」
「ああ。言わないでいいよ」
「俺もだ」
二人はそう言ったので、俺はそこで二人と別れた。
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