チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第九十一話 剣聖死す

 俺はその記事を見てあの時邪神が言った言葉が嘘ではない事が分かった。

 「タマ、これはほんとか?」

 「ほんとニャ!今国では人が大勢集まってるニャ!」

 それで遅れたのか。これは本当に気を引き締めないといけない。

 「これは本当にきついな」

 師匠もそれを見てそう呟くしかないようだ。

 「本当は剣聖とレイで邪神を倒して他は俺達で何とかするつもりだった筈だった筈なのに、困ったね」

 ミレイアさんもこの事実には驚きを隠せないようだ。

 「これって相当やばいの?」

 マリーが俺達の表情を見ながらそういう。

 「これはやばいと思うぞ。なんせ邪神と互角の戦いをした剣聖が死んだんだ」

 俺は自分で言っておきながら少し不思議な気持ちになったが、誰も何も言わない事から俺の勘違いだと思うことにした。

 「それよりもこれを見てアランは大丈夫か?」

 これを見てアランが復讐を考えて先走ったりしないだろうか。俺は少しやばいと思った。

 「俺ちょっと行ってきます」

 そして俺は家を出ると、そこには相当の人数が街で溢れかえっていた。

 これじゃあほんとに歩くのも一苦労だ。俺は風魔法を足に放ちすぐにアランの家に行った。そこには記事を書く人達だろうか。もの凄い人数がアランの家の前にいた。俺はそれを通り過ぎてアランの家の中に入った。

 俺はもうこの家の人達とも知り合いで勝手に入ってもいいように言われているから大丈夫だろ。そこでメイドが一人いたので、

 「あの、アランいますか?」

 「え?え、レイさんですか?アランさんなら自分の部屋で休んでいますよ。だけど今はそっとしておいた方がいいですよ」

 どうやらこの家の人達も急な出来事に戸惑い何やら騒がしいようだった。まあアランが早まって変な事をしないようで何よりだが、これから起こすかもしれない。だからこそ俺はアランの部屋に向かった。

 「アラン。いるか?」

 「レイか?いいぞ入って」

 そう言われて入ると、アランは椅子に座って外にいる人達を見ている。

 ここで大丈夫か?なんてことは言わない。そんな事を言われるのはアランも嬉しくない筈だ。

 「お前が変な事しでかさないか見に来たんだ」

 「はっは。俺そんな奴に思われてたのかよ」

 アランは笑っているが何処か寂し気な笑みだった。

 「まさか親父が死ぬとは思わなかったよ。死体も無く跡形もなく消えたらしいぜ」

 「そうなのか」

 俺は何て言えばいいか分からなかった。

 「俺さ親父にまだ一回も剣での勝負で勝てた事無かったんだよな。親父に勝ったら剣聖の名前を呼ぶことを許すって言われてたんだけどこれってどうなるんだろうな」

 ここで俺はお前が剣聖でいいんじゃないかとはアランの表情を見て言えなかった。そんな俺の気持ちが通じたのか、アランは話題を変えてくれた。

 「そういえばお前魔王倒したんだろ?すげーな!」

 「あれは俺が倒したんじゃないぞ。邪神が勝手に乱入して倒したんだ」

 「やっぱそんな感じなのかよ!まあお前が魔王を倒せるわけないしな!」

 そう言って無理やり元気に振舞った笑みを浮かべていた。俺はそれが分かったけど敢えてそれに合わせてアランと色んな話をした。

 「それじゃあ、俺はそろそろ戻る」

 「そうか。じゃあな」

 アランはこちらに手を振ってまたしても外を眺めた。だからこそ俺はアランに行った。

 「俺は一ヵ月後邪神に挑む。お前も参加するなら一緒に戦おう」

 「考えとく」

 その後俺はアランの部屋を出ると、

 「......クソ親父が。俺まだ勝ててないのに先に死んでんじゃねぇよ」

 部屋の中で、アランの震える声が聞こえた。

 俺はその言葉をきいて、これからの修行を頑張る事を決意した。

 これが最後の勝負になるのだから。

 ~一カ月後~

 俺はこの一カ月やれることはやった筈だ。鍛錬だけじゃなく他の事もすべてやった。

 アランもあれから俺の家に来て俺も参加する。と言い、一緒に修行もした。

 そして明日俺達は邪神に挑むのだが、その前にやるべきことがある。

 「リリア頼む」

 リリアはそれに頷き、火の超級を放った。

 「なんだ!?敵襲だ!」

 「魔人か!?」

 「いえ!相手はたったの人族が七人です!」

 俺達はアドルフ王がいるであろう城に突撃するのだった。

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