チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第八十九話 全員で修行

 俺達は次の日から修行を開始することになった。

 まず朝一番に校長が来て、俺達は説教を食らった。勝手な事をしたせいだろう。

 だが魔王が死んだので、そこまでは怒られることは無かった。

 そして現在修行の恰好をして、俺とリリア、シアやマリー、セシリアがいる。

 俺達に教えるのは俺の師匠のオリドと、ミレイアさんだ。

 タマは昨日の件で恥ずかしかったらしいのでアネットと買い物をしに行っている。

 そして俺達は校長に頼み学校の練習場の一つを貸してもらいそこにいるのはいいんだが、

 「シア、ちょっと離れないと俺後ろから刺される気がするんだけど......」

 そう。シアが昨日の時点で吹っ切れたのかもの凄く俺に近いのだ。

 俺は嬉しい。もの凄く嬉しいんだが、他の彼女達の目線がやばい。

 もう後ろから刺されてもおかしくないとまで思ってしまう。

 「ちょっとシア。近いんじゃない?」

 リリアがもう我慢の限界なのか言ってきた。

 「え?そうですかね?普通だと思いますよ?」

 更に俺に近づく。

 「「「ああ!」」」

 三人の驚いた声が聞こえ更に俺への目線が凄い。

 ......これって俺が悪いの?

 「喧嘩を売ってることは分かったわ。修行の前にあんたをぶちのめさなきゃいけないようね」

 リリアが手をポキポキ鳴らしながら構える。

 何これ。怖すぎるんですけど。

 「やめんか!時間がほんとに無いんだぞ!」

 「痛い!」

 それを止めてくれたのがミレイアさんだった。

 ミレイアさんに拳骨されてリリアも落ち着いたようだ。

 「シアも今はやめて夜にしな」

 ミレイアに言われて、ゆっくりとほんとにスローモーションのように離れていった。

 その行動にリリアがまたしてもキレそうな所で師匠が手を叩いた。

 「そこまでだ。ミレイアの言う通り時間がない。今からもう始めるぞ。俺はマリーとレイを見る。ミレイアはリリアとセシリアだ。分かったな?」

 「いや。シアはどうするんですか?」

 俺は不思議に思った。

 「シアの場合は俺達がどうして教えたらいいか分からんからどうするかと昨日聞いたら必要ないと返ってきた」

 俺はその言葉に驚いてシアを見ると、シアは微笑んで、

 「私の場合巫女の力が使える時点で大抵の敵は倒せるので修行の意味が無いから私はレイの世話です」

 その言葉にピキという音が聞こえた気がしたが俺は知らない。分からない。聴こえない。

 「おい、レイ。お前はほんとにやばいんだぞ?まだ剣術完璧に出来てないだろ?」

 「そうですね。魔王の時に不完全でも使おうかなとは思ったけど流石にやめときました」

 「いい判断だ。不完全なものは余計に命を落とす事に繋がるんだ。だから不完全じゃなくて完璧にするぞ」

 「はい!」

 俺はその言葉に改めて気を引き締め修行を開始するつもりだった。

 その筈なんだけどな。

 俺とマリーとセシリアとリリアに別れた所までは良かった。

 そして剣の素振りから見てもらう事になったのだが。

 「レイ。頑張ってください!」

 シアが後ろから素振りなのに応援してくるのだ。

 素振りで何を頑張れば良いのか俺には分からないが俺はありがとうと返しながら練習しているのだが、

 「おいマリー!お前力みすぎだ。もうちょいリラックスしろ」

 俺の隣で、誰かを殺すかのような目つきでもの凄い速さで素振りをしているのだ。

 「力そんな入れてないつもりだけど。レイ、もしかしたら手が滑るかもしれないからそん時はごめん」

 「いやいや。怖いから止めてくれ!初めから謝れるとやられる気しかしないんだけど!」

 マリーがもの凄く怖い。

 そう思っていると背後から爆音が聞こえた。

 「お前ら!強く放ちすぎだ!そんなことしてたらすぐに魔力が切れるだろうが!」

 背後を見ると地面に二つの大穴が空いているのだ。

 「え?私そんな強く放ったつもりないけど」

 「私もだ。調整を間違えたのかもしれん」

 「お前ら今までそんな事一度も無かったじゃないか!」

 リリアとセシリア、ミレイアさんが何やら揉めている。

 俺はそこで悟った。

 これ警告だわ。これ以上デレデレしたらこれをぶつけるという警告だと俺は分かった。

 本気で集中出来ないんですけど。

 そんな俺を知らないでシアは俺を応援する。

 その瞬間、

 「あっ。手が滑った」

 「おい!シャレにならないぞ!」

 マリーの剣が俺に向けて下ろされる。

 ......今本気で斬りに来てなかったか?


 「あっ!私も方向を!」

 「私も何やら手が違う方向にいってしまう」

 「うおおおお!お前らマジでシャレにならないんだが!」

 リリアが火魔法の龍級をこちらに放ってきて、セシリアは俺にシルフの力を使った超級を放ってきた。

 これ駄目なやつだわ。いつか殺される。

 「だからお前ら今までそんな事したこと無かったろうが!」

 ミレイアさんから二人は説教を食らっていた。

 そんな俺を見て師匠が可哀そうな人を見るような眼を向けて、

 「少しだけお前が可哀そうに見えてきたわ」

 「ですよね!」

 それからは流石にシアも邪魔してはいけないと思ったのか静かに見て俺達の修行は順調に進んだ。

 そして今日もそろそろ練習が終わりそうな頃に、

 「レイ。お前は今からこの二人と戦ってもらう」

 師匠がそう言って出てきたのはリリアとセシリアだった。

 「はい?」

 「これから毎日この中の誰かと戦ってもらう事になるからな」

 「まさか先生と戦うなんていつぶりかしら」

 「私は初めてだな」

 二人はやる気満々だった。

 ......俺やる気ゼロなんですけど。

 そして俺はリリアとセシリアと戦う事になった。

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