チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第八十四話 魔王VSレイロード

 俺は何故か今最高の気分だ。何があった訳でもない。なのになんだろう。この高揚感は。

 今なら何だって出来る。俺は一気に地面を蹴った。

 魔王は俺の動きを捉え切れている。だけどここからが違う。

 俺は極限の集中状態だからだろうか。相手が次にする事に瞬時に対応できる。

 「スピードは変わらんが動きが急に変わったな」

 そう言いながら魔王は驚いている様子ではなく、少し楽しそうだ。俺も正直に言えば少し楽しくなってきている自分がいる。

 俺は左右から相手を攻撃する。だが魔王はそれに瞬時に対応する。

 どちらも動きは速くなる。

 もっと。もっと。もっとだ。俺は自分でも動きが速くなっていくのが分かる。

 「くっ!調子に乗るなよ!」

 魔王はそう言って反撃してくるが、俺はそれを横に避け、そのまま身体を回転させ更に攻撃を再開する。

 俺はそこで一点気が付いた。今俺の頭は冷静だった。

 ここで魔法を使えばいけると何故か誰に言われている訳でもないのに判断した。

 俺はすぐにライトニングを放つ。

 だが魔王はそれを避ける。だが俺はその避けた瞬間一瞬の驚きがあったことを見逃さない。

 魔王も突然の無詠唱の魔法ですぐに対処できるわけがない。俺はその瞬間に一気に剣を振った。

 だが、それはまたしても浅い傷だけだった。

 「......まさかこの短期間でここまで変わるとはな。俺も本気を出そう」

 俺はそれから魔王が何をするのか分からないがやらしてはいけない気がする。

 近くに行けば危険な気がして遠くから龍級の火魔法を全力で放った。

 「これも中々効いたぞ」

 そう言うと、魔王の身体の色が変わっていく。

 龍級が消える時には魔王の姿は以前と異なっていた。

 そしてオーラも。

 俺は無意識に冷や汗が出ていることに気付く。勝てるか負けるか、それが一瞬でも気を許したら決まる。

 俺はそう思い改めて気を引き締める。

 「この状態を見せるのはいつぶりだろうな」

 魔王の姿は身体全身が濃い紫色に変わっており、角が一本増えていた。

 たかが色が変わっただけでここまで変わるのかよ。

 これはまだ未完成だけどあれを使うことになるかもな。

 俺はそう思い、剣を構えた。

 魔王も今までの明るい雰囲気は消え、静かに構える。

 そして誰の合図が無い中俺達は同時に地面を蹴った。

 そして再び剣が重なりあうのだった。

 ~リリア視点~

 なんだか嫌な感じがするのよね。

 この、魔王城に入ってからずっと何かに見られているような気配もする。

 早めに先生に加勢して帰った方がよさそうね。

 私達は誰もが何かを察しているのか、急いで最上階を目指すのだった。

 そんなリリア達を見ている一匹のコウモリのような魔物には誰も気付かないのだった。

 ~■■■視点~

 「計画がずれたが大丈夫か?」

 「ああ。大丈夫だ。あと少し。あと少しで夢が叶うはずさ。覇王を超える存在に」

 そこにいる二人の黒幕が水面下で動いていた。

 ~レイロード視点~

 俺達は互角の戦いだった。今出来る限りの全てをかけて戦っているといえるかもしれない。

 だが俺は戦っている最中に俺は魔王の異変に気付いた。

 「お前傷回復してないぞ?」

 「この状態の反動みたいなものだ。超再生が使えない代わりに身体能力が格段に上がる」

 それが嘘でないのは戦っている俺が一番分かってる。

 こいつの身体能力が上がりすぎているんだ。

 俺がリミッター解除していなかったら絶対にやられてる。

 そう思わせる程だ。

 「先生大丈夫!?」

 そんなリリアの声が聞こえた。

 後ろを振り返るとシアは身体をボロボロにしながらも生きてて、マリーが少し傷がある以外は大丈夫だった。

 ......良かった。

 俺は魔王を見据えた。

 「まさかあいつらがやられるとはな」

 そう言って俺の後ろを見る。

 魔王は一瞬悲しそうな顔をしたがすぐに気を取り直したようだ。

 「シア。これを」

 俺は羽織ってたマントをシアに渡して魔王と対峙する。

 「さてもうそろそろ決着をつけるか」

 「俺もそろそろきつくなってきた」

 俺はゾーンに加え火魔法を纏った。

 今はこれが限界だ。

 「行くぞ!魔王!」

 「いつでも来い!」

 俺達は再び戦うのだった。


 ~マリー視点~

 何だろうか。この胸騒ぎは。

 私は何故か魔王に近付いた。

 今はレイが戦っているにも関わらずだ。邪魔になる。それは分かっているのに足は止まらない。

 「マリー!危ないわよ!」

 リリアにそう言われる。分かっているのに。

 「おいマリー!危険だから下がってろ」

 レイからもそんな声が聞こえる。けど私は近付いて一つ何故か思い浮かび、口に出してしまった。

 「.......お父さん」

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