チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第五十三話 レイロードのけじめ

 俺が家に戻ると、全員集まっていた。

 「皆、心配かけてごめん」

 俺は皆にもう一度謝った。

 「しょうがねえさ」

 「元気を取り戻してくれて良かったです」

 アランとシアの言葉に他の人も頷く。

 だが、これは俺のケジメだ。

 それから自分勝手ながらお願いした。

 「俺から校長とアランにお願いがあるんだ」

 「お願いですか?」

 校長は俺からお願いが来るとは思っていなかったのか、不思議そうな顔をする。

 アランは何も言ってこない事から、少し感づいているのかもしれない。

 「校長には、俺を弟子にして欲しいです」

 「......はい?」

 校長は、突然の事に唖然としている。

 「俺は、まだまだ未熟です。だから俺に稽古をつけてもらっていいですか?」

 「それは別に構いませんが、私には学校の方もあるので、そんなに頻繁にというわけにはいきませんが」

 校長には、何とか了承してもらえた。

 「ありがとうございます。それで大丈夫です。アランには、俺の剣術のアドバイスをして欲しい」

 「いいぞ。俺も頻繁に見てやれるわけじゃないけどな」

 即答だった。

 本当は、アランに使う剣術だったが、今はそれどころではない。

 魔王に勝つ為にはこれじゃ駄目だ。

 もっと強くならないといけない。

 俺は一応確認の為、校長に聞いた。

 「俺と修行するにあたって、何年ぐらいで全て教えることが出来そうですか?」

 校長は少し悩み、

 「私が今ざっと考えただけで六年あれば、全て教えることが出来ると思います」

 やはりそのぐらいか。まあ、学校の方もあるし仕方ない。

 「分かりました。それでお願いします。アランも頼む」

 俺は、二人に頭を下げ、誠意を込めて、感謝の言葉を言った。

 それから皆帰ることになった。

 だけど、俺のケジメがついてない。

 「マリーとシアは残ってもらってもいいか?」

 その言葉にマリーは顔を赤くしながらも頷き、何故かシアは悲しそうな顔をしながらも頷いた。

 「じゃ、じゃあ私とココとロロは何か美味しい物でも食べに行きましょうか」

 「私も行くニャー」

 アネットが、気を遣ってココとロロを連れて出て行ってくれて、タマも一緒に行ったことで、俺達だけになった。

 皆で俺の部屋に行き、座っている。

 これから、俺が話すのだが、緊張して未だ何も話せていない。

 なんせこれから俺達の関係が変わってしまうだろう。

 その事を話すのだ。いっそのこと話さなくてもいいんじゃないかっという気持ちになる。

 「まだなの?」

 そんなマリーの声で、俺は正常に戻る。

 そうだ。もう覚悟は決めないといけない。

 「さっきの答えなんだけど、俺もマリーの事が好きだ」

 その答えにマリーは笑顔になる。

 だが、俺の話はまだ終わっていない。

 「だけど、よく聞いてくれ。俺には、もう既に彼女が二人いる。それに俺はシアの事も好きなんだ」

 「え?」

 それにマリーではなく、シアが驚いていた。

 俺は、怖くてマリーの表情を見ることが出来ない。

 なんせクズ発言をしているんだ。殴られてもおかしくない。

 「あの、私の事好きなんですか?」

 マリーよりもシアが聞いてきた。

 俺は、恥ずかしくて頷く事しか出来なかった。

 俺が頷いたことで、シアの顔が真っ赤になった。

 「.......私はてっきりマリーと付き合うから、私とはもう会えないとか言われるのかと」

 シアは、俯きながらそう言った。

 俺は、どんな極悪人と思われているのだろうか。

 俺はそんな人ではない。そう言う前にマリーが口を挟んだ。

 「何言っているのよ。二人で話し合ったじゃない。付き合うなら、二人でって」

 そんな事を言う。

 俺は初耳だ。

 だが、それよりもマリーの表情だ。

 俺の話を聞いて、怒っているわけでも驚いている訳でもなかった。

 「マリー。お前怒っていないのか?」

 「あなたが真剣な表情で言うから、何事かと思ったらそんな事とっくにタマに聞かされた」

 俺は、今唖然とした表情をしていると思う。

 シアの方を向くとシアも頷いている。

 俺は、何とか頭を働かさて聞いた。

 「えーとなんて聞いたんだ?」

 「タマに秘密にするように言われてるから教えられない」

 それめっちゃ気になるやつじゃないか。

 だけど、タマが裏で俺の為に色々やってくれた事に驚きだ。

 あいつは傍観主義かと思っていた。

 あいつには、最近感謝しっぱなしだな。

 改めてそう思いあいつの言うことを何か聞いてやらないとな、そう思った。

 「それよりも、シアもちゃんと気持ち言いなさいよ。私だけ言うなんて不公平じゃん」

 それにシアが顔を真っ赤にして俯きながらも答えた。

 「......私も好きですけど、私には秘密があるんです。だけど、まだそれを言う覚悟が決まってなくて.......」

 シアがそんな事を言ってくるが、俺にはそんな事は気にしない。

 「シア。誰にも秘密の一つや二つはあるんだよ。だからそれ無理に話そうとしなくてもいいんだ」

 「誰かに狙われるかもしれないのにですか?」

 「いいよ。そんな輩は全員俺が倒せるように強くなるから」

 誰にも秘密の言いたくない事はある。

 俺だって、皆に転生者だってことを話してないしな。

 俺の答えにシアは覚悟を決めた顔をしていた。

 「私もレイの事が好きです。私と付き合ってくれますか?」

 「喜んで」

 俺はそう答えるのだった。

 今日俺に新たな彼女が二人出来た。

 リリアとセシリアにも言わないとな。

 そうして、今日は終わりにしようと思い立ち上がると、マリーに肩を掴まれ、ベットに押し倒されてしまう。

 .......これ立場逆じゃね?と突っ込みたいのを我慢して聞く。

 「何やってんの?」

 シアも唖然として見ている。

 「他の彼女とはどこまでやったの?」

 「キスまでだけど.....」

 何か嫌な予感がするのは俺だけだろうか。

 最近、嫌な予感だけは本当に当たる。

 「なら、初めてはもらうわ」

 そんなことを言ってくる。

 「ずずるいですよ」

 シアも顔を真っ赤にしながら、こっちに来た。

 待ってほしい。

 「ちょっと待ってくれ。まだ心の準備が」

 「今しなさい」

 無茶をいう。

 「じゃあ始めるわ」

 マリーの顔とシアの顔が、獲物を狙らっているような顔でとても怖い。

 「ぎゃああああああ」

 俺の叫び声と共に俺は大人の仲間入りをするのだった。

 俺が目を覚ますと、もう夜だった。

 左にはマリー、右にはシアがすやすやと寝ている。

 まさか、俺の初めてがあんな形になるとは思わなかったが、何故か大人になった気分だ。

 俺は二人を起こさないように立ち上がり、外の風景を見る。

 真っ暗で何も見えないが、何故か景色が色鮮やかに見えるようだ。

 「お兄ちゃん。夜ご飯できたよ」

 俺が、大人になった気分で、外を裸で見ていると、ココが現れた。

 「あ」

 俺は思わずそう呟いてしまう。

 「キャアアアアアアアア。変態ーーーーー!」


 ココが、俺の姿を見て、叫びながら下に降りていく。

 「待って!誤解だから!」

 俺も急いで服を着て、下に降りていくのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品