チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります
第二十一話 パーティ結成
エルフの女性とリリアは同時に驚いた声をあげて、呆けていた。
エルフの女性が最初に正気を取り戻して、
「お前正気か?私は今嫌われているエルフだぞ?それに私はいつか人族の国に復讐するつもりなんだぞ?そんな私をパーティに入れるなんて本気で言ってるのか?」
「そうよ!今この人人族に復讐するって言ったのよ!?」
エルフの人は嫌とかの前に俺が言っていることが信じられていないようだ。
リリアはこいつ何言ってんだという顔をしている。
「僕はいたって正気ですよ。この森の魔物が強いと聞いて僕は今後もリリアを守れない時が来るかもしれません。そんな時あなたの力が必要になると思います。エルフは嫌われているのかもしれませんが、僕は別に嫌いじゃないです。何もされてませんし。それにあなたは復讐しようと考えているのは本気かもしれません。けど、俺達みたいにエルフの事を嫌ってない人もいるってことを僕とパーティを組んで分かって貰いたいんです。それでも復讐しようと思うなら僕は別に止めませんし」
これは、本音だ。
正直俺はあの村に戻るつもりはない。これから戻っても何も出来ないまま俺達は全滅もあり得る。俺一人ならまだ、あの盗賊とも勝負は出来るかもしれない。けどリリア達がいて、他の仲間がいて魔物もいたら絶対に勝てない。
もしかしたら盗賊はもういないかもしれないし。
だから俺はこの森を違う方向に進んで脱出しないといけない。
親父達も生きて逃げていると思う。何でか分からないけど、死んでいるとは思えない。
.......いや、そう思いたいだけなのかもしれない。
しかし先程の話に少し付け加えるなら、俺はこの森で、自分の力を更に上げたい。魔物がいるなら実戦経験も積めるだろう。
ゴブリン戦で実戦がどれだけ自分の糧になるか分かった。だからこそ今後に必要な事なんだ。
それにこのエルフに復讐なんかさせたくない。多分ずっと森の中にいたから、悪い人族しか知らないのだと思う。そんな中途半端な情報で復讐をして欲しくはない。
正直に言って、復讐に関しては悪いとかそんな綺麗事をいう気はない。なんせ俺も俺の人生を滅茶苦茶にしてくれた盗賊には復讐してやろうと思っているからだ。
エルフの女性は迷っているようだ。
「別にエルフが住んでいる所で何か用事があるんなら断って貰って構いませんよ。正直に言うと、多分僕一人でもギリギリ森を抜けられると思いますし」
「私は別に自分の住んでいる所ですることもないんだが。.......ただ、お前の言う通り、私は森の中でしか生きてこなかったから、お前達みたいに良い人族がいることも分からず復讐などと言っていた。だからこれからはきちんと自分の目で向き合ってから、復讐するかどうか見極めようと思う。お前のパーティに入れさせて貰ってもいいだろうか?多分迷惑ばかりかけると思うが」
エルフの人はそう言いお辞儀した。
「顔を上げてください!僕が頼んでいるんですから」
まさか頭を下げられるとは思わなかった。
こういう時は握手だろう。
俺は手を差し出した。
「何だこの手は?」
......まさかこの世界で握手はないんだろうか。そうなら俺奇妙なことしてる変な人みたいじゃないか。
「握手ですよ。知りませんか?」
「ああ。そういう事か。急に手を出すから分からなかった」
良かった。握手はあったらしい。変な人にならずに済んだ。
それから、俺達は互いに握手し改めて名乗った。
「人族のレイロードです。これからよろしくお願いします」
「エルフのセシリアだ。よろしく頼む」
俺はふと何故か静かなリリアとタマを見た。
タマはこちらを見ながらニヤニヤして腹立つので、後で唐辛子入りの餌を与えてやることにする。
問題はリリアだ。何故かずーとこちらを睨み続けているのだ。
あの自主練を思い出すがあれ以上に恐ろしい。
俺は必死に何をしたか思い出す。
......あー。そういうことか。
「リリアも俺と一緒に来てくれるか?」
「......いいわよ」
あまり不機嫌は直らなかったが一応握手はしてくれた。
多分リリアは自分だ除け者なんてことを考えていたのかもしれない。そんな事するわけないのに。
「私はニャー?」
「お前は俺のペットだからついてこなくてどうするんだよ」
「ご主人様は素直じゃないニャー」
タマがまたニヤニヤしながら言ってくる。
こいつには唐辛子を更に多めにする事を決意する。
というか、ご主人様はほんとに辞めて欲しい。以前やめろと言ったら、これだけは絶対にダメと言われた。
俺達の森脱出がこれから始まると思いきや夜で危険なので今日はここで野宿だ。
「ニャーーーーーーーー!」
夜ご飯の間タマの叫び声が聞こえたのは当たり前の出来事だった。
~翌日~
俺達はこれからの方針について話す。
「まずここが何処の大陸で何処ら辺の場所なのか分かる人はいるか?」
それにセシリアが手を挙げた。
「ここはムー大陸の一番端っこの森だ。ここから、南に向かえば魔大陸に入ることは出来るがやめた方がいい」
「何故ですか?」
「魔大陸はここの魔物とは桁違いだ。私でもリリアを守りながら戦うのは難しいと思う」
ここでリリアが反論した。
「昨日から思ってたんだけど、なんで私守ってもらう前提なの?私だって戦えるわよ?」
正直に言ってリリアから絶対こういう言葉がくるだろうとは思っていた。
「リリアは実戦経験が足りなすぎるからまだ駄目だ。初めは絶対に後ろから出てきたらいけないぞ。俺もまだ、この森の魔物について詳しいわけでもないし。もし戦いたいなら、俺が慣れてきたら一緒に戦おう」
その言葉になんとかリリアは納得してくれた。
「だったらこのまま北に向かったら何があるんですか?」
俺はセシリアさんに尋ねると、
「そうすれば、ムー大陸を歩くことになるな。だがこっちは特にエルフを毛嫌いしている輩もいるだろう」
「ならこのまま北に向かいムー大陸に行きましょう。セシリアさんの問題については一応考えがあるので大丈夫だと思います」
それにセシリアさんも納得してくれた。
セシリアさんはこれから何をするかきちんと分かってるがリリアが不安なのでもう一度確認しておく。
「では、改めてこれからすることを伝えます。まずこの森を抜け、北に向かいムー大陸を歩きながら、どうにかしてお金を稼ぐ方法を考えます。理想は冒険者として働くのがいいけど冒険者になれない場合はそれでまた改めて考えるってことでいいですか?」
これに全員頷いた。
何故、俺がこんなリーダー的なことをしているかと言うと、俺は昨日セシリアさんにリーダーをお願いした。
だが、私にそういうことはできないと断れた。
リリアに聞くと、私は頭使うのは戦闘だけで十分よ。と言われた。
俺の意見はないんだろうか。タマには聞かない。あいつはちょっと抜けてるところがあるから恐ろしい。
なので俺がリーダーとなり今後は冒険者として働く事になった。理由は簡単だ。
誰も頭を使う職業を向いていないからだ。
この世界では街に着くと、露店等が大量にあり、バイトを募集している所もあれば、商業等のアルバイトも存在するらしい。
けどここにいるメンバーは頭を使う事を得意としない。なのでギルドに行けば誰でもなれるという、冒険者になる事に決めたのだ。
そして方針が決まり行く前に俺はセシリアさんに言っておくことがあった。
「セシリアさん。一つお願いがあるんですがいいですか?」
「なんだ?」
「俺の事は助けなくていいのでリリアと自分の身だけ守ってください」
これにセシリアは即反対した。
「何を言ってるんだ。お前は多少戦えるかもしれないが流石に森深くに行っても一人では無理だと思うぞ」
セシリアさんの言うことは正論だろう。だけど、
「俺は強くなりたいんです。だからこの森も自分で生きていくことぐらいしないといけないんです。僕の我儘ですがよろしくお願いできませんか?」
セシリアは溜め息をついて笑顔で、
「分かった。だが死にそうになったら助けるかもしれないからな。それだけは譲れない」
「分かりました。ありがとうございます」
まあ手助けしないと約束してくれたし多分相当ピンチじゃないと助けてくれないだろう。
それにこの森でピンチになるぐらいなら、俺はこれからもやっていけないだろうしな。
それから俺達は森を脱出するため北に向かった。
正直に言って俺の考えは甘かった。
この森の魔物は単体ではそこまで強くないが量が多い。いつピンチになってもおかしくなかった。
一応セシリアさんは約束通り手助けはしなかったが、これではいつ手助けされるか分からない。
それにここの魔物は厄介な魔物が三体いる。
一体目はガーゴイルという魔物でコウモリに似ている。あいつは空からいきなり降ってきて奇襲をかけてくる。目の前に集中していると襲ってくるから、空も警戒しないといけない。
二体目はボアだ。こいつはイノシシみたいな奴でおもいっきり俺に突進してくる。これはそんなに大変ではないんだが空からガーゴイル、目の前からボアが来たときは相当危なかった。
三体目はあまり出てこないが、ゴーレムだ。なんでこんな所にゴーレムがいるのかは不思議だが、何故かいるんだからしょうがない。こいつは物理攻撃が効かない。硬すぎるのだ。なので、魔法を使わないといけないがこれがまた相当威力を強めないと効かないから困る。一応魔力は大量にあるが威力を高めないといけないから大変だった。
この世界の魔物は魔石というものが魔物の中に埋め込まれていて死んだら魔石を残し消滅する。
この魔石は魔物の強さによって大きさも違ってくる。それにこの魔石があればギルドでお金と変換してもらえるらしい。
だからこそこの魔石をあまり傷つけないように戦った方が魔石のお金の変換率はいいらしい。初め俺は魔石諸共傷つけながら戦っていた。正直に言って魔石を気にする程の実力が無かったのだ。
セシリアさんは魔物について倒し方は一流だった。魔石は魔物によって大体場所は違うらしい。だが大抵の魔物の魔石の場所は把握しているらしい。
リリアを守りながら魔物を全て焼き払っていた。しかも魔石は一つも傷をつけずにだ。
それに魔法の威力が俺とリリアと次元が違いすぎて魔物が可哀そうに見えたこともあった。
今の所リリアは大人しいがいつ魔物を倒したいというか分からないからな。何とか大人しくさせないといけない。
タマは自分も何かしたいニャーと言ったので、元々リリアにやらせようと思っていた、俺と魔物との戦いの観察をしてもらった。
この戦いはここが駄目だとかを模擬戦の時のように言い合うのだ。それをタマにやらせたが、偉そうに話すのがちょっとムカつくぐらいだ。
その日の晩はまだ森を抜けられないので野宿をすることに決まった。
この世界にも魔物以外に動物もいるようで、セシリアさんが簡単に兎を捕まえ焼いていた。
リリアとタマは何も文句を言わずに食べていた。日本人で裕福な生活をしていた俺は目の前で焼いた生き物を食べるのに抵抗があったがお腹空いていたので食べた。
ほんとにこの世界を俺は舐めていた。俺にあんな事は出来ない。
ただ味が結構美味しかったのがビビった。しっかりとした肉だった。理由は魔物に襲われることが動物にもあるらしい。それによって逃げ回っているからしっかりとした肉になるそうだ。
そんな兎を捕まえたセシリアさん、マジ尊敬です。
俺は心の中でセシリアさんにお辞儀して手を合わせいた。
夜は俺とセシリアさんで夜の見張りをしていた。勿論何かあるわけでもない。ていうかそんな事をする余裕はない。
夜でも魔物はお構いなしに襲ってくるのだから。
セシリアさんは初め自分一人でやると言ったが、俺はもしセシリアさんがいなかったら自分がやるつもりだったのでやります。と言うと何とか納得してくれた。
ただお互い話すのが苦手で無言。
.......どうしよ。こういう時ほんと困るんだが。ボッチだった俺にそんな期待しないで!
「お前は強いんだな」
セシリアさんが話しかけてきてくれた。ほんと大人ですね。
俺はあまり自分から話しかけられないので話題を振ってくれてほんとに助かります。
「そんなことないですよ。俺はまだまだ弱いです。今回もセシリアさんがいなければリリアを守りながら戦えたかは分からなかったですからね」
「けど、普通この森は子供が戦えるような所ではないんだぞ?」
セシリアさんは戦えるって言ったけど今日俺ピンチだらけだったんですけどね!
それからは先程の話題から話が広がり、色々セシリアさんと雑談をしながら見張りを行った。
俺はセシリアさんにお願いした。
「リリアに魔法を教えてあげてくれませんか?」
これはずっと考えていたことだ。
「そういえばあの子は魔法を使うのか。そういえばお前は無詠唱で使うがあの子も使えるのか?」
「はい。僕が教えたんですけど、もう彼女に教えることが無くなったのでセシリアさんから教えて貰えたらなって。厳しいですかね?」
正直に言えばリリアには先生と言われているが俺にはもう彼女に魔法に関して教えることが無いのだ。
「いや。大丈夫だ。私も誰かに教えたことはないがやれるだけやってみよう」
翌日からリリアとセシリアさんでの魔法の勉強も始まった。
リリアもそれを受けることに反対はないようで逆に教えて貰いたかったらしい。
リリアからは先生も受けないのかと言われたが、俺は森の魔物の対処法を考えるだけで手いっぱいだからと誤魔化した。
俺も正直に言えばセシリアさんに魔法を習って強くなりたいが、それじゃあ駄目だ。
前にも言ったが俺はご都合主義が嫌いだ。
俺がここで魔法を習えば最強になるのは意外と簡単に達成出来るのかもしれない。
だけどそうして最強になってもエルフに魔法を教えて貰ったからなれたんだという事になる。
それからは俺も戦闘に慣れて、大分進み、もう少しで森を抜けるといったところで、少し先に俺達を見ているような目線を感じる。
よく見ると、全身が黒色で剣を持っていて何か黒いオーラのようなものが出ている人物がいる。
はっきり言って幽霊なんじゃないかと思えるぐらいだ。
「......どうして。こんな所にタキシムが」
セシリアさんはその幽霊のような存在を見てそう呟いた。
エルフの女性が最初に正気を取り戻して、
「お前正気か?私は今嫌われているエルフだぞ?それに私はいつか人族の国に復讐するつもりなんだぞ?そんな私をパーティに入れるなんて本気で言ってるのか?」
「そうよ!今この人人族に復讐するって言ったのよ!?」
エルフの人は嫌とかの前に俺が言っていることが信じられていないようだ。
リリアはこいつ何言ってんだという顔をしている。
「僕はいたって正気ですよ。この森の魔物が強いと聞いて僕は今後もリリアを守れない時が来るかもしれません。そんな時あなたの力が必要になると思います。エルフは嫌われているのかもしれませんが、僕は別に嫌いじゃないです。何もされてませんし。それにあなたは復讐しようと考えているのは本気かもしれません。けど、俺達みたいにエルフの事を嫌ってない人もいるってことを僕とパーティを組んで分かって貰いたいんです。それでも復讐しようと思うなら僕は別に止めませんし」
これは、本音だ。
正直俺はあの村に戻るつもりはない。これから戻っても何も出来ないまま俺達は全滅もあり得る。俺一人ならまだ、あの盗賊とも勝負は出来るかもしれない。けどリリア達がいて、他の仲間がいて魔物もいたら絶対に勝てない。
もしかしたら盗賊はもういないかもしれないし。
だから俺はこの森を違う方向に進んで脱出しないといけない。
親父達も生きて逃げていると思う。何でか分からないけど、死んでいるとは思えない。
.......いや、そう思いたいだけなのかもしれない。
しかし先程の話に少し付け加えるなら、俺はこの森で、自分の力を更に上げたい。魔物がいるなら実戦経験も積めるだろう。
ゴブリン戦で実戦がどれだけ自分の糧になるか分かった。だからこそ今後に必要な事なんだ。
それにこのエルフに復讐なんかさせたくない。多分ずっと森の中にいたから、悪い人族しか知らないのだと思う。そんな中途半端な情報で復讐をして欲しくはない。
正直に言って、復讐に関しては悪いとかそんな綺麗事をいう気はない。なんせ俺も俺の人生を滅茶苦茶にしてくれた盗賊には復讐してやろうと思っているからだ。
エルフの女性は迷っているようだ。
「別にエルフが住んでいる所で何か用事があるんなら断って貰って構いませんよ。正直に言うと、多分僕一人でもギリギリ森を抜けられると思いますし」
「私は別に自分の住んでいる所ですることもないんだが。.......ただ、お前の言う通り、私は森の中でしか生きてこなかったから、お前達みたいに良い人族がいることも分からず復讐などと言っていた。だからこれからはきちんと自分の目で向き合ってから、復讐するかどうか見極めようと思う。お前のパーティに入れさせて貰ってもいいだろうか?多分迷惑ばかりかけると思うが」
エルフの人はそう言いお辞儀した。
「顔を上げてください!僕が頼んでいるんですから」
まさか頭を下げられるとは思わなかった。
こういう時は握手だろう。
俺は手を差し出した。
「何だこの手は?」
......まさかこの世界で握手はないんだろうか。そうなら俺奇妙なことしてる変な人みたいじゃないか。
「握手ですよ。知りませんか?」
「ああ。そういう事か。急に手を出すから分からなかった」
良かった。握手はあったらしい。変な人にならずに済んだ。
それから、俺達は互いに握手し改めて名乗った。
「人族のレイロードです。これからよろしくお願いします」
「エルフのセシリアだ。よろしく頼む」
俺はふと何故か静かなリリアとタマを見た。
タマはこちらを見ながらニヤニヤして腹立つので、後で唐辛子入りの餌を与えてやることにする。
問題はリリアだ。何故かずーとこちらを睨み続けているのだ。
あの自主練を思い出すがあれ以上に恐ろしい。
俺は必死に何をしたか思い出す。
......あー。そういうことか。
「リリアも俺と一緒に来てくれるか?」
「......いいわよ」
あまり不機嫌は直らなかったが一応握手はしてくれた。
多分リリアは自分だ除け者なんてことを考えていたのかもしれない。そんな事するわけないのに。
「私はニャー?」
「お前は俺のペットだからついてこなくてどうするんだよ」
「ご主人様は素直じゃないニャー」
タマがまたニヤニヤしながら言ってくる。
こいつには唐辛子を更に多めにする事を決意する。
というか、ご主人様はほんとに辞めて欲しい。以前やめろと言ったら、これだけは絶対にダメと言われた。
俺達の森脱出がこれから始まると思いきや夜で危険なので今日はここで野宿だ。
「ニャーーーーーーーー!」
夜ご飯の間タマの叫び声が聞こえたのは当たり前の出来事だった。
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俺達はこれからの方針について話す。
「まずここが何処の大陸で何処ら辺の場所なのか分かる人はいるか?」
それにセシリアが手を挙げた。
「ここはムー大陸の一番端っこの森だ。ここから、南に向かえば魔大陸に入ることは出来るがやめた方がいい」
「何故ですか?」
「魔大陸はここの魔物とは桁違いだ。私でもリリアを守りながら戦うのは難しいと思う」
ここでリリアが反論した。
「昨日から思ってたんだけど、なんで私守ってもらう前提なの?私だって戦えるわよ?」
正直に言ってリリアから絶対こういう言葉がくるだろうとは思っていた。
「リリアは実戦経験が足りなすぎるからまだ駄目だ。初めは絶対に後ろから出てきたらいけないぞ。俺もまだ、この森の魔物について詳しいわけでもないし。もし戦いたいなら、俺が慣れてきたら一緒に戦おう」
その言葉になんとかリリアは納得してくれた。
「だったらこのまま北に向かったら何があるんですか?」
俺はセシリアさんに尋ねると、
「そうすれば、ムー大陸を歩くことになるな。だがこっちは特にエルフを毛嫌いしている輩もいるだろう」
「ならこのまま北に向かいムー大陸に行きましょう。セシリアさんの問題については一応考えがあるので大丈夫だと思います」
それにセシリアさんも納得してくれた。
セシリアさんはこれから何をするかきちんと分かってるがリリアが不安なのでもう一度確認しておく。
「では、改めてこれからすることを伝えます。まずこの森を抜け、北に向かいムー大陸を歩きながら、どうにかしてお金を稼ぐ方法を考えます。理想は冒険者として働くのがいいけど冒険者になれない場合はそれでまた改めて考えるってことでいいですか?」
これに全員頷いた。
何故、俺がこんなリーダー的なことをしているかと言うと、俺は昨日セシリアさんにリーダーをお願いした。
だが、私にそういうことはできないと断れた。
リリアに聞くと、私は頭使うのは戦闘だけで十分よ。と言われた。
俺の意見はないんだろうか。タマには聞かない。あいつはちょっと抜けてるところがあるから恐ろしい。
なので俺がリーダーとなり今後は冒険者として働く事になった。理由は簡単だ。
誰も頭を使う職業を向いていないからだ。
この世界では街に着くと、露店等が大量にあり、バイトを募集している所もあれば、商業等のアルバイトも存在するらしい。
けどここにいるメンバーは頭を使う事を得意としない。なのでギルドに行けば誰でもなれるという、冒険者になる事に決めたのだ。
そして方針が決まり行く前に俺はセシリアさんに言っておくことがあった。
「セシリアさん。一つお願いがあるんですがいいですか?」
「なんだ?」
「俺の事は助けなくていいのでリリアと自分の身だけ守ってください」
これにセシリアは即反対した。
「何を言ってるんだ。お前は多少戦えるかもしれないが流石に森深くに行っても一人では無理だと思うぞ」
セシリアさんの言うことは正論だろう。だけど、
「俺は強くなりたいんです。だからこの森も自分で生きていくことぐらいしないといけないんです。僕の我儘ですがよろしくお願いできませんか?」
セシリアは溜め息をついて笑顔で、
「分かった。だが死にそうになったら助けるかもしれないからな。それだけは譲れない」
「分かりました。ありがとうございます」
まあ手助けしないと約束してくれたし多分相当ピンチじゃないと助けてくれないだろう。
それにこの森でピンチになるぐらいなら、俺はこれからもやっていけないだろうしな。
それから俺達は森を脱出するため北に向かった。
正直に言って俺の考えは甘かった。
この森の魔物は単体ではそこまで強くないが量が多い。いつピンチになってもおかしくなかった。
一応セシリアさんは約束通り手助けはしなかったが、これではいつ手助けされるか分からない。
それにここの魔物は厄介な魔物が三体いる。
一体目はガーゴイルという魔物でコウモリに似ている。あいつは空からいきなり降ってきて奇襲をかけてくる。目の前に集中していると襲ってくるから、空も警戒しないといけない。
二体目はボアだ。こいつはイノシシみたいな奴でおもいっきり俺に突進してくる。これはそんなに大変ではないんだが空からガーゴイル、目の前からボアが来たときは相当危なかった。
三体目はあまり出てこないが、ゴーレムだ。なんでこんな所にゴーレムがいるのかは不思議だが、何故かいるんだからしょうがない。こいつは物理攻撃が効かない。硬すぎるのだ。なので、魔法を使わないといけないがこれがまた相当威力を強めないと効かないから困る。一応魔力は大量にあるが威力を高めないといけないから大変だった。
この世界の魔物は魔石というものが魔物の中に埋め込まれていて死んだら魔石を残し消滅する。
この魔石は魔物の強さによって大きさも違ってくる。それにこの魔石があればギルドでお金と変換してもらえるらしい。
だからこそこの魔石をあまり傷つけないように戦った方が魔石のお金の変換率はいいらしい。初め俺は魔石諸共傷つけながら戦っていた。正直に言って魔石を気にする程の実力が無かったのだ。
セシリアさんは魔物について倒し方は一流だった。魔石は魔物によって大体場所は違うらしい。だが大抵の魔物の魔石の場所は把握しているらしい。
リリアを守りながら魔物を全て焼き払っていた。しかも魔石は一つも傷をつけずにだ。
それに魔法の威力が俺とリリアと次元が違いすぎて魔物が可哀そうに見えたこともあった。
今の所リリアは大人しいがいつ魔物を倒したいというか分からないからな。何とか大人しくさせないといけない。
タマは自分も何かしたいニャーと言ったので、元々リリアにやらせようと思っていた、俺と魔物との戦いの観察をしてもらった。
この戦いはここが駄目だとかを模擬戦の時のように言い合うのだ。それをタマにやらせたが、偉そうに話すのがちょっとムカつくぐらいだ。
その日の晩はまだ森を抜けられないので野宿をすることに決まった。
この世界にも魔物以外に動物もいるようで、セシリアさんが簡単に兎を捕まえ焼いていた。
リリアとタマは何も文句を言わずに食べていた。日本人で裕福な生活をしていた俺は目の前で焼いた生き物を食べるのに抵抗があったがお腹空いていたので食べた。
ほんとにこの世界を俺は舐めていた。俺にあんな事は出来ない。
ただ味が結構美味しかったのがビビった。しっかりとした肉だった。理由は魔物に襲われることが動物にもあるらしい。それによって逃げ回っているからしっかりとした肉になるそうだ。
そんな兎を捕まえたセシリアさん、マジ尊敬です。
俺は心の中でセシリアさんにお辞儀して手を合わせいた。
夜は俺とセシリアさんで夜の見張りをしていた。勿論何かあるわけでもない。ていうかそんな事をする余裕はない。
夜でも魔物はお構いなしに襲ってくるのだから。
セシリアさんは初め自分一人でやると言ったが、俺はもしセシリアさんがいなかったら自分がやるつもりだったのでやります。と言うと何とか納得してくれた。
ただお互い話すのが苦手で無言。
.......どうしよ。こういう時ほんと困るんだが。ボッチだった俺にそんな期待しないで!
「お前は強いんだな」
セシリアさんが話しかけてきてくれた。ほんと大人ですね。
俺はあまり自分から話しかけられないので話題を振ってくれてほんとに助かります。
「そんなことないですよ。俺はまだまだ弱いです。今回もセシリアさんがいなければリリアを守りながら戦えたかは分からなかったですからね」
「けど、普通この森は子供が戦えるような所ではないんだぞ?」
セシリアさんは戦えるって言ったけど今日俺ピンチだらけだったんですけどね!
それからは先程の話題から話が広がり、色々セシリアさんと雑談をしながら見張りを行った。
俺はセシリアさんにお願いした。
「リリアに魔法を教えてあげてくれませんか?」
これはずっと考えていたことだ。
「そういえばあの子は魔法を使うのか。そういえばお前は無詠唱で使うがあの子も使えるのか?」
「はい。僕が教えたんですけど、もう彼女に教えることが無くなったのでセシリアさんから教えて貰えたらなって。厳しいですかね?」
正直に言えばリリアには先生と言われているが俺にはもう彼女に魔法に関して教えることが無いのだ。
「いや。大丈夫だ。私も誰かに教えたことはないがやれるだけやってみよう」
翌日からリリアとセシリアさんでの魔法の勉強も始まった。
リリアもそれを受けることに反対はないようで逆に教えて貰いたかったらしい。
リリアからは先生も受けないのかと言われたが、俺は森の魔物の対処法を考えるだけで手いっぱいだからと誤魔化した。
俺も正直に言えばセシリアさんに魔法を習って強くなりたいが、それじゃあ駄目だ。
前にも言ったが俺はご都合主義が嫌いだ。
俺がここで魔法を習えば最強になるのは意外と簡単に達成出来るのかもしれない。
だけどそうして最強になってもエルフに魔法を教えて貰ったからなれたんだという事になる。
それからは俺も戦闘に慣れて、大分進み、もう少しで森を抜けるといったところで、少し先に俺達を見ているような目線を感じる。
よく見ると、全身が黒色で剣を持っていて何か黒いオーラのようなものが出ている人物がいる。
はっきり言って幽霊なんじゃないかと思えるぐらいだ。
「......どうして。こんな所にタキシムが」
セシリアさんはその幽霊のような存在を見てそう呟いた。
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4.8万
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2.3万
コメント
ノベルバユーザー343351
まだ小さい子供が魔物と普通に戦う……?(. .`)