チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第十九話 激怒

 フラウスが笑顔で不気味なことを言ってきた。

 ただ。ちょっと待ってほしい。

 ......俺犯人アンリって言おうと思ってたんですけど。

 まあフラウスがそう言ってるわけだし結果オーライだ。

 「......どうして。あなたがこんなことを」

 リリアは信じられない顔をしていた。正直に言えば俺も同じ気持ちだ。

 「どうしてだって?あんたがいたからさ。リリア・ラウレッタお嬢様。あんたはラウレッタ家の娘さ。ラウレッタ家はこの村では知られてないかもしれないが結構有名な貴族だぞ。その血を引いている奴が魔法学校にいくなんて言い出す。本当にその一言だけで俺の計画がどれだけ狂わされたか。所詮あいつの血筋か」

 この世界では位の高いものだけが下の名前を付けられる。

 やはりリリアは貴族だったようだ。しかも結構有名な貴族らしい。

 「......どうしてこんなことをしようと思ったんだ?」

 俺は冷静に聞いた。

 「そうだな。一つ昔話をしてやろう。リリアの親父ケールに俺は執事として使えていた。ケールは貴族の息子だ。将来は息子が三人もいたが、長男であるケールが貴族ラウレッタ家を継ぐ筈だった。だがこいつは一つやってはいけないことをした。それはただの村人、平民であるお前の母親エリアと恋人になったのさ。貴族になるものは他の貴族と政略結婚しないといけないのにだ。そんな事をすれば二人の次男と三男に抜かれるのは間違いない。だがケールはエリアと付き合えば色々と迷惑をかけるに決まっている。だからケールはエリアと別れることに決めた。だが別れることが出来なかった」

 「リリアが生まれることが分かったからか?」

 俺は聞いた。

 フラウスは頷き続きを話した。

 「そうだ。リリアが生まれることが分かったケールはエリアと一緒にどうするか考えた。なんせケールの血を引くんだ。もしかしたら、これから貴族絡みの事で何かあるかもしれないからな。だから、エリアの実家にエリアとお前を連れて行くことに決めた。自分の護衛の二人を連れてな。そこで選ばれたのが、俺とアンリだったよ。初め選ばれたときは、腹が立って、こいつらにいつか復讐してやろうと思った。だがよく考えたら、リリアを貴族にしたら、どうなるかとな。リリアに仕えている俺はいい位に付けるかもしれない。だから俺はオッケーした。アンリはなんでかは知らないがな。それでリリアが無事生まれ俺達は村長の家に行った。初めはエリアも一緒に残る予定だったが、ある噂が流れていた為、ケールと一緒に帰ることになった。お金と俺達を置いてな」

 「ある噂?」

 「そうだ。それはケールと村人のエリアが付き合っているということだ。それでケールとエリアがいなくなれば頭のいい奴はリリアとケールの間に子供が出来てケールがエリアとその子供をを逃がしたと思うだろう?そんな事がばれたらリリアの身にも何か起こるかもしれないと思った。だからケールはエリアと一緒に帰ったのさ」

 俺はほぼ確信を持って言った。

 「その噂を流したのはお前だろう。フラウス」

 フラウスは不気味に笑いながら言った。

 「あぁ。その通りだよ。あいつが残ってたら俺がずっと考えた計画にも支障をきたすと思ってな。それに俺はケールが生きているとリリアが貴族になることは難しいと思った。だからあいつらは殺した」

 今こいつは聞き捨てならないことを言った気がする。今フラウスはリリアの父親と母親を殺したって言わなかったか?俺が確認しようと思ったらリリアが一歩前に出て、

 「......私のお母さんとお父さんをあなたが殺したの!?あなたが魔物に殺されたって言ったんじゃない!」

 リリアが森に入ったのはそういう事だったのか。

 「俺が殺したって言うより俺がそうするように仕向けたって言った方がいいな。俺はケール達が帰る馬車にこいつが言ってた魔物の食事の匂いが強烈に匂うものを馬車に密かに置いた。それで魔物に襲わせたんだ。俺の知り合いの盗賊にも確認させたから間違いなく死んでいる」

 俺は今までこれ程まで怒ったことはないと思う。こいつは下種だ。

 だが、まだこの怒りに任せて、こいつを襲ったらまだ聞きたいことが聞けない。

 俺は一度深呼吸して冷静に聞いた。

 「それで、お前が初めに考えてた計画とは何なんだ?」

 フラウスはもう全てを話してくれた。

 「初めはこの森にいる少数の魔物でいいからそれと盗賊を襲わせて、全村人を殺す。そして盗賊の手から俺がリリアだけを助けてケールの家に行く。そこで俺はリリアにケールの事を話して、リリアがやるべき事を貴族のように仕向ける。そしてリリアを貴族にして俺はリリアの側近として更に上の地位に就く予定だったんだよな」

 そこでフラウスは俺を睨みつけた。

 「だが、お前の親父が来たことによって少し事情が変わった。あいつが元冒険者ということを村長から聞いてな。これでは魔物の数も少ない。まだ多く必要になるが、これはそれほど俺の計画に支障はなかった。だが、お前が村長の家に家庭教師として来てから、俺の計画は全て狂った。リリアは学校に行きたいなど言いだす。猫神を召喚するなど、俺の計画を全て潰していった」

 フラウスは俺を親の仇を見るかのように睨んできた。

 だがそんな事を俺に言われても仕方ない。今は冷静だ。

 「それで、早くなったが計画を実行したのか?」

 「あぁ、そうだよ。お前のせいでな」

 フラウスは吐き捨てるように言った。

 俺が聞きたいことはそれだけじゃない。

 「村はどうなったんだ?」

 「知らねえよ。お前らをすぐ追いかけて来たからな。だが、盗賊には村長とアンリは先に殺すように言ったから死んだんじゃないか。あいつら二人が生きていると何かとめんどくさそうだからな。他も殺すように言ったが出来ているかは知らねえな。あいつらがどれだけ強いのか俺も知らねえからな」

 「もう聞きたくない!」

 リリアは耳を塞いで、その場にしゃがみこんでしまった。

 聴きたいことは聞けた。

 多分親父達は生きていると信じよう。

 俺はそれよりもやることがある。

 殺す覚悟はまだ俺には決まってない。

 だけどこいつだけは取り敢えず痛い目にあわせてやる。

 俺は剣を構えた。

 「お?やる気か?お前模擬戦では本気を出していなかったからな。本当の実力がどんなものか楽しみだ」

 フラウスも剣を構えようとした時、

 「「......え?」」

 俺とリリアの声が重なる。それもそうだ。いきなりフラウスが消えたんだ。

 だが何か焼けたような匂いがする。

 俺はタマなら何か分かるかと目線を向けると、

 「誰かがこの下種を魔法で消し炭も残さないほど燃やしたニャー」

 ......そんな魔法があるのかよ。俺には魔法が発動する瞬間が全く見えなかった。

 「下種な発言が聞こえたんでな。人族であったし消し炭にしてしまったが大丈夫だろう。お前達は大丈夫のようだな」

 俺は声が聞こえる方を見るとそこには美人で耳が尖っており、緑髪のエルフがいた。
 

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