チート・ご都合主義いらないけどハーレムいります

平涼

第十三話 家庭教師の初日

 「あんた、この性格の事他の人に言ったら許さないから」

 リリアは怒ったように言っているが顔は笑顔だから余計に怖い。

 「.......もしも言ったら?」

 リリアは笑顔で俺の耳元で、

 「殺すわ」

 と囁いた。

 俺は背中に悪寒がはしった。

 多分この子は本当に言ったら俺を殺すだろう。

 「分かった。言わないよ」

 リリアは、

 「そう、それならいいわ。じゃあこれからよろしくね。先生」

 あざといスタイルに戻った。

 それから、一緒に部屋を出て村長に報告した。

 「おお。やっとか。やはり君ならやってくれると思っていたよ。これからリリアの事よろしく頼むよ」

 お辞儀して俺にお礼を言うが正直こんな小悪魔のようなお嬢さんを教える実力は僕にはないと思いますとはもう言えない。

 それにこの子に百万もかけて家庭教師を呼ぶんだ。

 この子の事が大切なんだろう。

 俺はこの子を俺の出来る限り頑張って教えてあげようと思う。

 しかし、簡単にいく筈が無いのだ。

 ~算数の授業~

 数学の授業ではまず何も分からないということで、足し算、引き算から教えていた。

 授業は俺とリリアの二人だ。

 多分面接であんな試験にしたのも、自分の素を分かっている人の方がやりやすいからだろう。

 ただ、こいつは算数に興味がないらしい。それどころか、

 「ねえ。何で1+1=2なの?」

 とか聞いてくる。

 知らんがな。

 「とにかく、1+1=2だ。それが決まりなんだからしょうがないだろ」

 リリアは特に興味もなさそうな顔でふーんなんて言ってやがる。

 ......こいつ。自分から聞いておいて興味無さそうな態度しやがって。

 そんな俺の怒りなど露知らず、

 「ねえ。算数の勉強なんていいから魔法の勉強しない?どうせ算数なんてほとんど役に立たないだろうし」

 こいつは馬鹿が言うセリフを言ってやがる。それより、

 「お前、魔法は好きなのか?」

 リリアは、

 「魔法は好きよ。だから魔法の勉強しましょ」

 なんて我儘お姫様なのだろうか。

 だが、こういう奴の扱いは大体分かる。

 「なら、お前がちゃんと算数が出来るようになったら、誰にも真似できない俺だけの魔法の技を教えてやる」

 そう言うとリリアは目を輝かせて、

 「本当に!?本当に出来るようになったら教えてくれるの!?」

 「ああ。教えてやるよ。何ならここで少しやってもいいが、お前が算数のプリントをやらないからなー」

 なんて言うと、

 「分かった。今から速攻で終わらせる」

 「間違ったらやり直しだからな」

 一応言っておく。

 この子は多分集中力はあるんだと思う。ただ、やる気がないだけだ。

 後はやる気を出させれば良かったんだが。

 何というか。

 .......ちょろい。

 何て思ってしまう。まあこいつもまだ八歳だしこんなもんか。

 まあ、この調子なら多分一年もあれば、帰らしてもらえるだろう。

 ~魔法の授業~

 魔法の授業では、とてもスムーズに進んだ。

 リリアが魔法が好きなおかげもあるだろう。

 それにこの子はもう全ての初級を扱えるらしい。

 ほぼ、一般人と同じレベルだ。

 ちなみに、一般人は初級は全て出来、中級魔法を数個出来たら、一般人らしい。

 中級を全て出来るならギリギリ冒険者になれる。

 上級を全て出来たら、一人で冒険者にでやっていける。

 超級を全て出来る人は天才で殆どいないらしい。

 龍級は名前の通り龍を殺せる程の実力を持っているらしい。

 神聖級は、神をも殺せる力だが、殆どお伽話程度。

 これらの事をリリアに説明するが、算数の頃と違って真剣に聞いている。

 算数の頃もこんな感じで受けてくれたら嬉しいんだが。

 リリアは思い出したような顔をして、

 「そういえば、あんただけの技を教えてくれるんでしょ。ちゃんとやったんだから教えなさないよね」

 「ああ。今から一回お手本を見せるからな」

 そう言い俺は無詠唱魔法で初級の火魔法フレイムを出した。

 これにリリアは大層驚いた顔をして、

 「......あんた、今詠唱してなかったわよね?どういうこと?」

 「これは、無詠唱で魔法を使うんだ。やり方は次の算数も頑張るって約束するなら教えるよ」

 「分かったわ。やるから、教えて」

 リリアが即答したので、無詠唱のやり方を教えた。

 多分この子の年齢ならまだ無詠唱魔法は出来ると思う。それにこの歳で初級を全て使えるなら、魔法の才能もあるから大丈夫な筈。

 これで出来なかったらリリアは不機嫌になって当分の間勉強してくれない気がする。

 それからリリアは実際にやったが、最初は出来なかったが、段々コツを掴んだのか出来るようになった。

 「やった!出来たわ!」

 リリアは大喜びだ。

 こんなに喜んで貰えるなら教える側も嬉しいな。

 一つアドバイスしておくことにする。

 「最初の頃はそれが出来たら、一言呪文を唱えながらやった方がいいと思うぞ。その方がコツがすぐ掴めると思う」

 これは俺が後々気付いた。無詠唱の場合時間短縮になるがイメージが出来なければ意味が無い。特に戦闘中はイメージがしにくい事もある。

 なので一言フレイムと呟くだけでも無詠唱とは違いすぐにスムーズにイメージすることが出来る。

 だからこそ初めの頃はこれが有効的なのだ。

 「ありがとう。先生」

 リリアはあざとい性格の笑顔ではなく素の笑顔でで言った。

 いつもそんな感じでいれば可愛いと思うのにと言うにはプレイボーイじゃない俺にはハードルが高かった。

 初日の授業はこれで終わり、次は自分の練習に入る。

 いつも通りランニングをし、素振りをし、技のキレを磨く。

 模擬戦は親父がいないので出来ないが、まぁそれはしょうがない。

 剣の練習が終わったら、次に魔法の練習だ。村長に許可を頂いて本を借りて、上級の魔法の練習をする。

 上級魔法は範囲攻撃、もしくは自分の前に壁を作る感じの魔法という事だけは知っている。

 だけど上級魔法はその分燃費も悪い。

 最近はもう魔力量の量があまり増えなくなった事もあり大変なのだ。

 一応増えるが、前ほどではない。

 魔法の練習が終わるともう夜だった。今日から村長の家で夕食を食べるが、夕食は誰が作るのだろうか。

 まさかリリアが直接作るわけでもないだろうに。

 そう思いながら食堂に入るとそこに執事の服を着た男の人とメイドの二人が料理の支度をしていた。

 すると俺の後ろから村長が入ってきて説明してくれた。

 「ここでわしは、執事とメイドを二人ほど雇っているんだよ」

 そう説明してくれた。

 それから食事に入り改めて自己紹介に入った。

 「わしは村長のアスロ、男の方からフラウス、女の方がアンリーヌだ」

 すると、二人が順番に自己紹介した。

 「先程自己紹介された通りフラウスです。出来るのは剣術です」

 「私はアンリーヌです。長いのでアンリで大丈夫です。多少ですが魔術が出来ます」

 俺は何だか違和感があったが気にしないでおこう。多分俺の勘違いだ。

 これなら剣術はフラウスさんに教えて貰えるように頼もう。アンリさんにも魔術を教えて貰えるなら教えてほしいな。

 村長のアスロさんは、笑いながら、

 「いやー。それにしても受かってくれて良かったよ。君が受からなかったら世話になった君のお母さんにも申し訳ないからな」

 ......今聞き捨てならないことを言った気がする。

 「えーと。お世話になったというのは?」

 村長は不思議そうな顔をして、

 「聞いてないのか?レイ君のお母さんがリリアの為に何人も家庭教師候補を探して私に教えてくれたんじゃよ」

  ......あの母はそんなにも俺を家庭教師にさせたくなかったのかよ。

 「なんかすいません。家の母が余計なことをしたみたいで」

 村長はとんでもないとした顔で、

 「いやいや。受かりはせんかったが、探す手間が省けてこっちはおお助かりじゃよ」

 そう笑顔で言ってきた。

 ......ほんとすいません。多分母は俺を家庭教師にさせたくなかっただけです。そこまで考えてないと思います。

 俺は心の中で謝った。

 それからも、色んな雑談をしながら楽しく食事をした。

 これからの授業が困難になっていくことも分からず、俺は今日という日を満喫した。

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