ラノベ独学の最強スキル3つを選んでみた。~チートって一体~

Kartian

普通の家庭

 今まで忘れていた。
 血に塗られた記憶。
 それは俺の奥底にあった俺の1部。
 受け入れなければならない真実。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 ある男の子が生まれた。
 一般の家に生まれた元気な子。
 けど普通とは違った。
 生まれた瞬間笑ったのだ。
 その表情まるで悪魔、その子の誕生に立ち会った妊婦はその形相に驚き、夢にまで出てきたという。

 その子は元気に育った。
 その言葉の通り、元気に。
 病気、感染症、流行り風邪もかかったことが無い。
 しかも、自分だけでなく一緒に住んでいた、家族全員がその子が生まれた瞬間から一切体調を悪くしなかった。

 その子が5歳になった年のこと、その年はその子の家の周りで連続失踪事件が相次いだ。
 失踪者の数、27人。

「大ちゃん、ご飯よ」

 その子の母親は、普通の家庭と同じようにその子を愛した。

「マンマー、幸せ?」

「何?大ちゃん」

「幸せ?」

「うん。幸せよ、大ちゃんがいるからね」

「きゃっきゃっ」

 普通に幸せな家族だった。

「僕が幸せ取って来てあげる!」

「いつも、ありがとう」

 普通の返事。
 普通のやりとり。

「ただいまー」

「おかえり!パパ!」

「お、ただいま」

 普通の家庭の夫。

「パパ、幸せ?」

「ああ、幸せだよ」

「やった!たくさん持ってくるね!」

 これもまた普通のやりとり。


 次の日、また聞いてきた。

「ママ!幸せ?」

「……」

「ママ?」

「幸せじゃないわよ!」

 普通じゃない会話。

「パパは?」

「ママ!なんてこと言うんだ!俺は幸せだよ?」

「それじゃ幸せあげないとね」


「ママ、幸せ?」

「し、幸せよ!だ、だからやめ」

「お父さんが居なくなったから僕幸せじゃないんだ。だから幸せちょうだい!」

 普通じゃないのはその子だった。

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