踠き

気付いた時既に遅し。私は鉈で体を切られていた。鈍い痛みで我に返り、痛みと関係なく殺人鬼は強引に私を担ぎ上げ、「ある場所」へと運ぶ。

クローデット・モレル
「サイエンスガール」と名乗りネット上で活動していたが、たまたま外出した先で森に迷い込み、終わらぬ悪夢へ引き摺り込まれた。

森一つ一つ生える植物が違う。私はその植物を探すのが大好き‪だった。今日も久々に森に向かう。今日も新たな植物を見つける為に。その日まで、何もかも充実していた。違和感など感じてはいなかった。
森の開けた道を歩いていた時、

風向きが変わった。

おかしくも思いながら私は奥へと進む。ここでは私は気付かなかった。気付く術が無かった。ここで戻っていれば、この悪夢には会わなかったのかもしれない。

担ぎ上げられた私は最後の力を振り絞って踠く。その力も虚しく、私は

フックに吊るされた。

大きな針が私を突き刺す。痛みを超え痺れを催した。
呼吸も困難な中、宙ずりにされた私は意識を保つのが精一杯だった。

遠くにドワイトが見える。助けに来てくれるのだろう。
無茶しなくてもいいのに...隣の子は誰だろう…。

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