歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~
外伝 主の元へ急げ!姉と妹⑥
前回までのあらすじ
ようやく兄貴竜を倒すことができた!
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外伝のサブタイトルですが、モリオンも加わったことで今回から変更となります。
『アテナとヘリオドール』 → 『姉と妹』
となります。
以前のサブタイトルは変更しません。
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side -ヘリオドール-
□□□□ ~かわいい妹~ □□□□
ここから遠く離れた場所では、今まさに冒険者一同によって勝鬨が上げられようとしていた。
そんな戦場がまるでお祭りムードかのように盛り上がっている頃、アテナ達はいうと.....。
「.....ふわぁ~。.....よく寝たのじゃ」
体をぐっと伸ばして、体全体に起きた合図を促す。
シーンと静まり返り、物音なに一つない爽やかな朝の新鮮な空気が体全体に染み渡っていく心地好さ。
まだ頭がぼんやりとしていることからも、珍しく熟睡していたということがよく分かる。
(.....ぐ、ぐぬぬ!こ、この妾が熟睡するとは!
恐るべしはトカゲの尻尾枕ということじゃな!!)
これは素直に認めざるを得ない。
主の言う通り、トカゲの尻尾は安眠効果が抜群であることを.....。
主がよく「モリオンの尻尾は最高だぞ」と口にするので、妾はそれがどうにも我慢ならなかった。
尻尾であれば妾が一番だと自負しているので、どうしてもそこだけは譲れなかった。
それというのも、当然ながら姉さまには尻尾がない。
つまり、その部分だけは、必然とあの姉さまを差し置いて妾が主の一番になれるからだ。
「いや、ドールの尻尾も最高だぞ?」
「最高とは頂点を指すのじゃ。頂点がいくつもあったらおかしかろう」
「わかんないかなぁ?頂点の種類が違うんだよ。
ドールもモリオンも、それぞれの頂点に立っているんだからおかしくはないぞ」
それが納得いかぬと言うておるのじゃ!
主にとって最高の尻尾は妾だけで良い。
全ての種類を引っくるめた上で、なお妾の尻尾が最高だと主に分かって欲しい。言って欲しい。そうであって欲しい。
(どうして主はこの気持ちを分かってくれぬのじゃ?
あのよく分からぬ魅力で主の気を引く姉さまに唯一勝る点だからこそ拘りたいというのに.....)
「そこまで言うのなら、モリオンと一緒に寝てみろ。俺の言っていた意味がよく分かるからさ」
「我はお姉ちゃんと一緒に寝るのだ?」
「そうだな。モリオンの尻尾がどれだけ素晴らしいか、お姉ちゃんに教えてあげろ」
「分かったのだ!お姉ちゃんと一緒に寝るのだ!」
「.....」
やはり主は何も分かっていない。
妾はトカゲの尻尾がどれほど良いものなのかを知りたい訳ではないのだから.....。
しかし、トカゲが楽しそうに、嬉しそうにしている姿を見てしまうと、姉としては非常に断りづらい。
妾としてもトカゲはかわいい妹である以上、悲しむ姿はできることなら見たくはない。
「コーンちゃーん、いっしょにねよー( ´∀` )」
「今日はトカゲと寝る日だからダメなのじゃ」
だから、かわいい妹の為、姉さまの誘いを頑としてはねつける。(※第151歩目『今日のひとこま』参照)
妾は一人っ子だったせいか、姉妹というものに秘かに憧れていた。
そこに突然できた姉と妹。
当然姉さまのことは好きだが、妹という存在がかわいくて仕方がない。
姉として妹の手本にならなければという程よい緊張感と、姉として妹の面倒をしっかり見なければという程よい責任感が妙に心地好い。
「ぶー(´-ε -`)私もいっしょにねたーいー!」
「姉さまも一緒となると狭苦しいから嫌なのじゃ」
姉さまが妹である妾を溺愛する気持ちがなんとなく分かった気がする。
・・・。
そして、今まさにトカゲの尻尾に打ちのめされたという訳だ。
常に気配を察知する為に浅い眠りを繰り返している妾が、かくも熟睡してしまっていたのでは認めざるを得ないだろう。
「抱き枕としての尻尾はトカゲが一番じゃな」
「.....くー.....くー.....くー」
妾はいまだ静かな寝息を立てて眠るトカゲに賛辞を送った。
姉として妹に負けるのは何か釈然としない気持ちがあるものの、姉の背中を越えていった妹にどこか誇らしげな気持ちがあるのも事実だからだ。
(くふふ。今後も姉として、妹と一緒に寝てあげることにしようかの♪)
そう固く結論付けたところで、いつもの日課に移ることにする。
日課とは所謂マーキングだ。
主が起きる前に妾の匂いを主にマーキングすること。とは言え、すぐに姉さまにかき消されてしまうが.....。
そして一番重要なのが、主の匂いを体いっぱいに吸い込むことで、妾が主にマーキングされること。これこそが妾の一日の活力となる大事な日課だ。
しかし.....。
「主がおらぬではないか!?」
□□□□ ~主のピンチ!?~ □□□□
いつもの日課をこなそうとするも、ある違和感に気付いた。
ベッドで寝ている数が少ない。
「主はどこへ?」
確認できたのは姉さまとトカゲのみ。
主はトイレかとも思ったが、気配そのものがまるでない。
「.....?」
いや、それ以外にもおかしい点がいくつかある。
主どころか他の宿泊客の気配すら一切感じられない。まるで宿全体が無人となったような静けさだ。
「どういうことじゃ?なぜ誰もおらぬ?」
今までこんなことは一度もなかった。
それに主まで姿を消しているとなると.....ただならないことが起こっているのではと不安に駆られた。
「姉さま、トカゲ、起きよ。何か様子が変なのじゃ」
「.....(すやすや).....(^-ω-^)」
「.....くー.....くー.....くー」
二人の体を揺すって起こそうとするも起きる気配は全くなし。
「.....くっ!こんなときに悠長に寝ておるとはっ!!」
しかし、仕方がないと言えば仕方がないのかもしれない。
姉さまは普段ならまだ寝ている時間だし、トカゲも寒さに弱い影響で寝起きはあまり良くないほうだ。
───バタンッ!
とりあえず詳しい事情が知りたいので、ここの宿主に事情を伺うべく部屋を後にする。
他の宿泊客はともかく、宿主はさすがにいるだろうとの希望的観測のもとに。
しかし.....。
「ど、どういうことじゃ!?」
宿主はおろか、区全体がガランッとしていて、人ッ子一人見当たらない。
そこにはまるでゴーストタウンと化した区が目の前に広がっていた。
「.....」
さすがの妾もこれには呆然と立ち尽くす他なかった。
そして、こんな事態になるまで気付かずに熟睡していた己の未熟さにほとほと呆れるばかりだった。まぁ、それほどトカゲの尻尾枕で安心して眠っていたということだが.....。
「.....(すやすや).....(^-ω-^)」
「.....くー.....くー.....くー」
部屋に戻るも、いまだ姉さまとトカゲは熟睡中。
結構騒がしくしているものの、全く起きる様子がないあたり、二人は大物なのだろう。悪い意味で。
(主は無事であろうな?.....せめて主の動向だけは知りたいのじゃ!)
そう思って部屋を見回すと.....。
『呼ばれたから、冒険者ギルドに行ってくる』
机にそう書かれた紙切れが一枚。
主の動向が知れて安堵するとともに、どこか落ち着かない気持ちも生じてきた。
こんな朝っぱらから主に何の用なのか.....。
そして、まるで無人と化したこの謎の状況.....。
「.....(すやすや).....(^-ω-^)」
「.....くー.....くー.....くー」
「.....」
今すぐにでも主の元へ馳せ参じたい気持ちでいっぱいなのだが、それができないこのもどかしさ。
不安が、焦燥が、苛立ちが募る。
「姉さま!トカゲ!早く起きるのじゃ!!」
「.....(すやすや).....(^-ω-^)」
「.....くー.....くー.....くー」
「~~~~~!」
つい口調が荒々しくなるも、一向に起きてこない駄目な姉と妹に更に苛立ちが募る。
このまま二人を残して妾だけでも主の元へ!とも考えたが、そんなことをすれば、きっと主に怒られる。
いや、怒られるだけで済むのならば全然いい。
最悪、信用を、愛情を失いかねない恐れがある。
主はなんだかんだ言って、姉さまとトカゲを気に掛けているのは間違いないからだ。
───バシバシ!
───バシバシ!
「姉さま!!トカゲ!!早く起きるのじゃ!!」
「.....(すやすや).....(^-ω-^)」
「.....くー.....くー.....くー」
更に語気を強め、思わずにへらっとなってしまいそうになる程のかわいい寝顔を叩くも一向に起きず。
姉さまは女神のワンピース効果で、トカゲは竜族ということで、二人とも妙にタフネスだから余計に困る。
───バシバシ!
───バシバシ!
「頼むのじゃ!!」
「.....(すやすや).....(^-ω-^)」
「.....くー.....くー.....くー」
「起きて欲しいのじゃ.....。主が心配なのじゃ.....」
己の不甲斐なさに、その場でガクッと膝を付いた。
無力。あまりにも無力。
なんとかしたいという気持ちとなんにもできないという気持ちの板挟みで心が張り裂けそうだ。
(このまま姉さま達が起きるのをおとなしく待つべきか?
それとも主の信用を、愛情を失う覚悟で、主の元へ馳せ参じるべきか?)
様々な想いが、感情が、妾の頭の中を駆け巡る。
主の奴隷として、いや、主を愛する一人の女性として、どのような行動に出るのがベストなのか。
・・・。
しばらく悩んでいると、突然それは起きた。
「ねー、コンちゃん。歩はどこー?(´・ω・`)」
「!?」
背後からの唐突な姉さまの言葉に、思わず体がビクッと反応してしまった。
例えるなら、ホラー映画を見ている時のそれと一緒だ。
「(´・ω・`)」
「.....」
そもそも、姉さまがいつ起きたのかが全く分からなかった。
いくら思い悩んでいたとは言え、妾が姉さまの起きる気配を察せないというのはあまりにもおかしい。
それに妾に主の居場所を尋ねてはいるものの、まるで姉さまには主の居場所が分かっているかのように窓の外を一心不乱に見つめている。
(い、いつ起きたのじゃ?それに姉さまのこの雰囲気は.....?)
妾は何か普段とは違う姉さまの雰囲気に戸惑ってしまった。
だからだろうか、姉さまの質問に答えることができずにただただ立ち尽くしてしまっていた。
すると.....。
「どこって聞いてるのー!!」
「!!?」
姉さまはいまだかつて聞いたことのない怒りにまみれた声を妾に浴びせてきた。
これまでも何度も怒った姉さまを見てきたことはあるが、ここまで怒りを露にしている姉さまを見たのは初めてだ。
「.....」
「.....」
体が自然にぶるぶると震える。
妾は愛されているので怒られまいと、高を括っていた姉からの本気の怒りによる恐怖心。
妾は愛されているので怒られまいと、高を括っていた姉からの本気の怒りによる悲哀心。
そして、主とは恋人ではないのに、それでも姉さまからは本気で主のことを心配していると感じ取れる敗北感。
そんな、なんとも言えない気持ちが体全体を包む。
「どこー?(´・ω・`)」
「ぼ、冒険者ギルド.....らしいのじゃ」
再び穏やかな雰囲気になった姉さまに、主の行き先をかろうじて伝えることができた。
いつの間にか妾の震えも自然と消えている。.....こ、今後は姉さまを侮るのは控えよう。
しかし、妾の答えを聞いた姉さまが首を横に振る。
「ううんー。歩はそこにはいないとおもうー」
「ど、どうしてそう思うのじゃ?」
「わかんなーい。でもー、絶対いないよー」
始めは「思う」と言いつつ、最後は「絶対」と言い切った。
よく分からないが、主がたまに頼りにする女神様としての勘というやつだろうか。
「で、では、どこにいる.....」
そう言い掛けたその時、姉さまの様子が一変する。
「ふえええええ(´;ω;`)」
「ど、どうしたのじゃ!?」
先程までのどこか大人びていてしっかりとした雰囲気から、突如泣きじゃくる赤子のような様相を見せ出した姉さま。
そのあまりにも急な変化に、どう対応したらいいのかが全く分からない。
そんな困惑している妾に、姉さまが信じがたい言葉を放った。
「歩がしんじゃうよー(´;ω;`)」
「な、なんじゃと!?」
あまりにも衝撃的な内容に、頭の中が一瞬真っ白になる。
ただ冗談と受け取るにはあまりにも真に迫っており、また真実と受け取るにはあまりにも衝撃的すぎた。
「ねー!今すぐ歩のところにいこー!私がいないと歩がしんじゃうよー(´;ω;`)」
「う、うむ!」
姉さまが行ったところで何か変わるものだろうか?
そんな疑念は尽きないが、妾も一刻も早く主の元へと馳せ参じたいので、服を引っ張り泣いてせがむ姉さまに同意する。
そうなると、当然最後の問題はこやつとなる。
「.....くー.....くー.....くー」
いまだ呑気に寝ているトカゲだ。
姉さまの言葉を信じるのならば、もはや一刻の猶予もないのだろう。
だとしたら、トカゲを優しく起こしている猶予はない。
───ドカッ!
「さっさと起きんか!このバカ者がっ!!」
「ぎゃんっ!?」
すやすやと気持ち良さそうに寝ているトカゲをベッドから突き落として乱暴に起こす。
そもそも一番下の妹の分際で、姉達が既に起きているにも関わらず、いつまでも眠りこけているというその性根が気に食わない。妹たるもの、姉よりも早く起きて笑顔で姉を出迎えるべきである。
「な、なんなのだ!?」
「なんなのだ!?ではない。早う支度をせんか。出掛けるのじゃ」
「出掛けるのだ?.....んぅ?」
「どうしたのじゃ?」
早う早うと支度を急かしていると、トカゲが突如鼻を引くつかせ始めた。
確か主が言うには、トカゲは非常に鼻が良いと聞いている。
だとすると、妾には分からない何かを感じ取ったのかもしれない。
「.....(くんくん).....我と同じ臭いがするのだ」
「.....同じ匂い?どういう意味じゃ?」
妾達はみな毎日同じシャンプーやボディーソープを使っている訳なのだから、同じ匂いがするのは当然だろう。
などという、くだらない冗談はさておき、トカゲに真意を尋ねる。
「ドラゴンの臭いなのだ」
「なっ!?ドラゴンじゃと!?」
「それも.....」
「な、なんじゃ?」
トカゲが神妙な面持ちで押し黙る。いや、考え込んでいる?
ドラゴンの匂いがするというだけでも驚きなのに、まだ何かあるというのだろうか。
「昔、嗅いだことのある匂いなのだ」
「.....?意味が分からぬ。昔、嗅いだことがあるから何だと言うのじゃ?」
「強いのだ!強いドラゴンの臭いなのだ!」
「!?」
トカゲが言うには、父親と教育係、そして一部のドラゴンの臭いのみ、ハッキリと印象に残っているらしい。
そして、今この場にその強いドラゴンの臭いがするとのこと。
更にトカゲは驚くべき情報をもたらした。
「.....(くんくん).....んぅ?ドラゴンだけじゃないのだ?」
「ドラゴンだけじゃない?どういうことじゃ?」
「アユムの匂いも、なぜかそこからするのだ!」
「!!!」
その情報で全ての謎に合点がいった。
こんな朝っぱらから冒険者ギルドに呼び出された主。
人ッ子一人見当たらず、まるで区全体が無人と化してしまったこの謎の現象。
先程の姉さまの「歩がしんじゃうよー(´;ω;`)」の言葉の意味。
そして、いまトカゲよりもたらされたドラゴン出現の情報。
恐らく、主はドラゴンの対応に向かったに違いない。
そして姉さまが言うには、かなり分が悪いという可能性。
「歩が危ないよー(´;ω;`)」
「主がピンチなのじゃ!」
「アユムを助けるのだ!」
こうして、全会一致で意見が決まった妾達は急いで主の元へと駆け出していくのだった。
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後書き
次回、閑話『叶わなかった願い』!
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この5.5章も残すところわずかとなってきました。
予定では『閑話』・『本編』・『本編』で終了となります。
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今日のひとこま
~続・張さんはどんな人?~
「奥さんの張さんもキャベツさんみたいに強いんですか?」
「いやいや。戦闘に関してはAランクの冒険者よりも弱いかもね」
「えぇ!?ゆ、勇者なんですよね?」
「勇者さ。しかも、加護の中では最強と謳われる加護を持っているよ」
「.....最強の加護?俺は『時間停止』の加護持ちを知っていますが.....」
「『時間停止』?.....あぁ、リョウだろ?」
「時尾さんを知っているんですか!?」
「知っているも何も、彼とその奥さんは元正統勇者だしね。更に言うのなら、元十傑でもある」
「えぇ!?.....いや、加護の特性を考えれば納得ではあります」
「確かに『時間停止』も最強の加護の一つではあるだろうね。ただ、そのせいで色々と大変だったようだ」
「それは聞いています。色々と嫌がらせがあったとかなんとか.....」
「それは申し訳なく思っているよ。僕も友人として力になれなかったことを後悔している」
十傑であろうとも、やはり妬みや嫉みの対象から外れることはないようだ。
いや、むしろ正統勇者であり、十傑でもあり、最強の加護を有しているからこそか。
「でも、張さんも最強の加護を持っているんですよね?大丈夫なんですか?」
「張は滅多に研究室から出てこないからね。
それに僕と研究以外には一切の関心を示さないから、誹謗中傷なんて気にもしないんだろうさ」
「は、はぁ.....。よくそれで口説き落とせましたね?」
「はっははははは!なに、簡単なことさ。僕も研究室に籠ればいいだけのことなんだから」
本当に女性に対する熱量は凄まじいものがあるな.....。
「HAHAHA。.....そ、それで張さんの加護はどういったものなんですか?」
「『創造』だね。あらゆるものを無から造り出す最強の加護さ」
「ちょっ!?マジであんのか!?.....あれ?なんで『創造』を持っているのに弱いんですか?」
「だから言っただろう?張は僕と研究以外には一切の関心を示さないからだよ」
「えー.....。もったいないじゃないですか」
「むしろ良かったと思うべきでは?」
「.....良かった?なぜですか?」
「だってそうだろう?張がその気になれば、この世界なんてあっという間に破壊できるんだよ?
例えば『創造』で核爆弾を造るとかも、張からすれば造作もないことなんだからさ」
「いやいや。そんなことをすれば、張さんだって死んじゃうじゃないですか」
「甘いよ。加護とは神の力なんだよ?つまり、地球で存在し得なかったものも造れる訳さ。
『創造』ならば、核爆弾程度防げちゃうスーツとかも造ろうと思えば造れるはずさ」
「さ、最強じゃないですか!?」
「さっきからそう言っているだろ.....。だから、張に『創造』が渡ったのは行幸なのさ。
張は研究事にしか力を使わないからね。しかも、研究の為に利用するだけで無から造り出すことをしないんだ」
はぇ~。
なんかもったいない気もするが、確かにキャベツさんの言う通りなのかもしれない。
それにしても、加護は意外と考えられて配られている!?さすがはニケさんだな!!
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