歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~
第128歩目 1年ぶりの再会!女神ニケ①
前回までのあらすじ
久しぶりの俺TUEEEEEで神の試練を楽々突破。
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11/5 世界観の世界編!に一部追記をしました。
追記箇所は、『アテナ愛獣』のな"ー・テディとなります。
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□□□□ ~心に余裕があれば!~ □□□□
意識が少しずつハッキリとしてくる。
目を開けば、真っ白で何もない面白みがない場所。
どうやら俺一人でも無事神界に辿り着けたようだ。
説明するまでもないと思うが、今回の神界行きは俺一人だ。
そもそも攻略の証は俺一人分しかないのだから。(フルールの分)
いつもは祈った後、アテナに導かれて神界に行くのだが、今回はアテナの同行はない。
なので、どうなるのかと思ったら.....。
「お待たせしました。舞日様。神界までのご案内をさせて頂きます」
「よ、よろしくお願いします」
本当にフラ○ダースの話にあるような天使ちゃんが迎えにきた。あっ。荘厳な音楽はなかったけどね?
正直、このまま本当に天に召されてしまうのではないかと不安に慄く.....
(訳がないんだよなぁ.....)
俺を案内する為、先行している天使ちゃんのワンピースからモロに見えるおパンツ。.....GJ!
出来ることなら、今後も案内人は天使ちゃんにお願いしたいところだ。
なにをたかがパンツごときで.....。中学生かっ!
と思われる方もいるだろうが、ちょっと待って欲しい。ちゃんと理由がある。
それは.....
『新鮮』
その一言に尽きる!
ぶっちゃけ、女性の花園なら毎日見ている訳なのですよ。アテナやドールなどなど。
特にアテナなんて下着を着用しないものだから、見たくなくとも見えてしまう。いや、別に見たくないとは言っていない。
それ故に、おパンツの存在が新鮮すぎて思わずドキドキとしてしまう。
つまり、俺が何を言いたいかと言うと.....。
おパンツを愛でるぐらいに心に余裕があるということだ。それぐらいニケさんに会えることが嬉しい。
「どうされましたか?」
「い、いえ.....(ピンクは個人的に好きだけど、この子は水色が似合うと思うなぁ)」
「.....?」
よっしゃ!
天使は格が低いせいか、読心はできないらしい。
こうして、俺は天使ちゃんのおパンツ鑑賞を楽しみながら、愛しい女神ニケさんの元へと召されていった。
□□□□ ~再会part.1~ □□□□
「お待ちしておりました、歩様」
「ふぁ!?」
目を開けると、一番最初に目に入ったのが三つ指ついて出迎えてくれているニケさんだった。
いや、正直仰天した。
礼儀正しいニケさんのことだから、アルテミス様やアレス様のように、最初から椅子にふんぞり返って俺を出迎えることはないだろうとは思っていた。
普通に出迎えるか、良くてお辞儀ぐらいだろうとは思っていたのだが.....。
まさかの三つ指!
確かにニケさんの見た目は古きよき日本の女性、所謂大和撫子のそれだから凄く絵になる。
ただ欲を言えば.....。
(お、惜しい!ワンピースよりも着物なら.....!
着物なら、まさに俺の理想の女性そのものでパーフェクトなのに!!)
などと、悔しさを噛み締めながら思っていたら、
「り、理想の女性だなんて.....///
あ、歩様がそれを望まれるなら、次回からはそのように致します!」
「.....す、すいません。変な理想を押し付けてしまって.....」
当たり前のように心を読まれてしまった。恥ずかしい.....。
天使ちゃんで油断していたのが大きい。全てはおパンツが悪い!
それにしても、頬をほんのりと染め、両手を頬に当てて恥ずかしがっている様はとてもかわいい。
まるで何も知らない少女のようなその姿は、頼れるお姉さんな印象とのギャップで物凄く萌える。
しかし、何故三つ指?
いや、凄くゾクゾクッときたから嬉しいんだけどさ?
「主人を出迎える正式な所作だと伺いましたので」
「主人!?」
告白するよりも、カレカノになるよりも、その過程全てをすっ飛ばして、いきなり主人になってしまった。
これは素直に喜んでもいいものなのだろうか。
(か、からかわれている?それともニケさん流の冗談?)
・・・。
いきなり仰天するような出来事が続いたが、ともかく愛しいニケさんと再会を果たすことが出来た。
実に1年ぶりの再会で感無量だ。
本当なら、今すぐにでもニケさんを抱き締めて、全身でニケさんを感じたいところだが躊躇われた。
年齢=彼女なしの弊害が.....、一歩踏み出す勇気が.....、今の俺には無かった。
「お久しぶりです、ニケさん。ずっと会いたかったです」
「お久しぶりです、歩様。私もひたすら歩様を想っておりました」
はぅ!?
これはあれだ。
漫画やアニメなどでよくあるアレ。
───ずきゅぅぅぅぅぅん!
それだ!
ニケさんがめっちゃかわいい件。
「会いたかった」からの~「ひたすら想っていた」の破壊力。
(お、俺は無事ここから生きて帰ることができるのだろうか?.....萌え死にしたりしないか?)
今のやり取りで、完全にニケさんに心を射抜かれてしまった。
だからこそ、早めにちゃんと言っておきたいことがある。
「そ、その.....。今までのことはずっと見ていたんですよね?」
「はい」
「自惚れなのかもしれないですが、不安や心配になるようなことをたくさんしてしまってすいません。
そ、それでも俺は.....。そ、その、ニ、ニケさんのことを.....。す、す、すすす.....」
うおおおおお!
恥ずかしくて言えねえええええ!?俺は中坊かあああああ!?
そんな感じで自責の念に駆られていたら、
「歩様。全て承(・知しております。ですので、ご安心ください」
「そ、そうですか?すいません。こういう経験があまりないもので.....。でも!必ず伝えますので!」
「楽しみにしております」
どうやら、俺の意を汲んでくれたらしい。
そして、静かな、それでも優しげな微笑みを俺に向けてくれた。.....さすがニケさんだ。デキる女は違う!
以前、ラズリさんに偉そうな事を言っていたにも関わらず、己が実践できないことは実に情けないことだが、今この場ではありがたくもある。
ニケさんを好きな気持ちは変わらないが、だからと言って面と向かって気持ちを伝えられるほど、俺の恋愛経験値はそこまで高くはない。
ニケさんに気持ちを伝える件は、もうしばらく待ってもらえるようなのでホッと一安心だ。
□□□□ ~再会part.2~ □□□□
何も久しぶりに再会したのはニケさんだけではない。
ここは俺が初めて訪れた場所。つまり、アテナの部屋だ。
ということは、
「キュ、キュ、キュ?」
「お前じゃない」
多分「ポキュのこと?」とか言っているんだと思うが、正確にはわからない。
そもそも、テディのことではない。.....と言うか、こいつは昨日以来だし!
俺の冷たい態度がショックだったのか、テディはがっくしと項垂れてしまった。
相変わらず器用に動くぬいぐるみだ。
(そう言えば、テディは(自称)女の子と言っていたっけか?
そうなると、この場合は優しくしたほうがいいのか?.....いや、でもぬいぐるみだしなぁ.....)
なんて意味のないことを考えていたら、
「久しぶりですな。元気に.....というのも変な挨拶になりますかな?
そもそも、我輩はニケ様と一緒に、毎日汝を観察しておりますし」
気になっていた人物が声を掛けてきた。
「人を観察対象にすんな!.....そう言うバットも元気そうで何よりだ。その姿.....安心したよ」
「ヘカテー様の魔術のおかげですな。感謝してもしきれません」
俺が気にしていたのは、以前俺が調子に乗って発動させてしまった絶技で半身が抉られてしまったバットの事だ。
どう見ても生活に支障が出そうな体に、アテナのわがままで無理矢理主人も変更されてしまったのだ。
これで気にならない方が嘘になる。
なんと言うかこう、申し訳なさでいっぱいというか.....。
しかし、今のバットはヘカテー様の魔術のおかげですっかりと元通りの姿へと戻っている。
罪悪感が少し和らいだ気分だ。
「汝は相変わらずですな。
我輩達は友という訳でもありますまいに.....。無用な情けは身の破滅に繋がりますぞ?」
「昨日ドールにも同じような事を言われたよ。甘いってさ。.....まぁ、これが俺だから仕方がない」
「いやはやなんとも.....。いや、だからこそニケ様が心を寄せられたのかもしれないですな」
「当然です。私の歩様なのですから」
おおぅ.....。
なんだかよくわからないが、ニケさんから絶大な信頼というか、愛というか、何かを感じる。
アテナのふざけた態度とは異なり、真に迫る感じなのでついつい圧倒されてしまう。
(こ、これはもしや!?
みゃ、脈ありどころかホレられている!?.....いやいや。さすがにそれはないか)
一瞬勘違いしそうになったが、よく考えてみたら俺とニケさんの間にはまだ何も行われてはいない。
こんな状況でニケさんにホレられていると思うのは早計だろう。そもそもホレられる要因がないし。
この恋を絶対に逃したくない俺は自身を戒め、恋に慎重になっていたら、
「キュ、キュ、キュ!」
テディが俺の足にしがみついてきて、何かを懸命に訴えている。
「なに言ってるのかわからん」
「キュ、キュ、キュ~!」
翻訳こんにゃくが居ないと、俺はテディとコミュニケーションすら取れない。
どうせ大した用件ではないだろうから無視しよう。
それ以降はひたすらテディを無視して、ニケさんとの久しぶりの再会を楽しんでいたのだが、
「キュ、キュ、キュ~!!」
テディはしまいには俺の体をよじ登ってくる始末。.....お前はドールかっ!
仕方がないので、バットに通訳をお願いする。
同じ神獣同士、言葉ぐらいはわかるだろう。
そう思っていたのだが、
「いやいや。我輩にもわかりませんぞ?」
「鉄壁な忠誠心とやらはどうした!?」
どうやらバットにもわからないようだ、
神獣と言えど、一枚岩ではないらしい。
(いや、テディが特殊なのか?ぬいぐるみだし)
ともあれ、完全に詰んだ。
バットにもわからないなら、コミュニケーションの取りようがない。
だから、テディのことは忘却の彼方にでも流そうと思っていた時、意外なところから助け船がきた。
「えっとですね。テディは歩様に奪われた武器を返してもらいたいそうですよ?」
どうやらニケさんもテディの言葉がわかるようだ。
ニケさんもぬいぐるみと友達ということなのだろうか。
まぁ、それはいいとして聞き捨てならないのが、
「奪われたとは失礼な!あれは正当報酬だろ!」
「キュ、キュ、キュ~!」
そんな俺の反論に、恐らくだが「返せ~!」と言っているだろうテディが猛烈に俺の体を這い回る。
鬱陶しいことこの上ない。
この鬱陶しさ.....。主人であるアテナにそっくりだ。たった1日で飼い主に似たのだろうか。順応力高過ぎぃ!
「歩様、ご安心ください。返す必要は一切ありません」
「ですよね~」
「キュ、キュ、キュ!」
「しつこいっての!いい加減にしろ!」
なおも食い下がるテディ。
正直、イライラしてきた。
これでぬいぐるみらしく、かわいくお願いでもしてきたら検討の余地があったのに.....。
かくなる上は引っ剥がすかと思っていたら、
───ぞくっ!!!
「「「!?」」」
全身が金縛りにでもあったかのようにまるで動かなくなった。
それに背筋が凍るような寒さを感じているのに、それとは逆に汗が滝のように流れている。
これに似た感覚を俺は知っている。
それはアルテミス様が神らしくなった時の恐怖のそれだ。
今はそれよりも何倍も強くて濃い恐怖感が俺を、バットを、そしてテディを襲っている。
では、その恐怖の源はどこかというと.....。
「.....テディ?
私の歩様に心労をかけた罪、後程しっかりと体に刻み込みますからね?」
当然のことながら、アルテミス様同様、神の御位につかれているニケさんその人だ。
にっこりと微笑んではいるが、それは死への、冥界への誘いのように思えてならない。
それにしても.....。
さすがは女神様というべきか。
圧倒的な、絶対的な力の差を感じる。
そして、以前アルテミス様が「主神であろうとニケちゃんには敵わない」と言っていた意味がようやく理解できた。
例えるなら、俺は人間で、アルテミス様は月だとしよう。
ではニケさんは何かと言うと、控えめに言っても宇宙ぐらいだろうか。
アルテミス様の正確な強さはわからないが、それでもアルテミス様とニケさんの間には隔絶たる力量差があるのはこの俺でもわかる。
敵う敵わないの問題ではない。
比較すること自体が間違い。そういう目で見てはいけない感じだ。
大袈裟に言うなら、
野球なら、ミジンコと20年連続スーパースター選手。
五輪なら、ミジンコと5大会連続金メダル選手。
W杯なら、ミジンコと5大会連続MVP。
当然ながら、ミジンコはアルテミス様であり、普通ならあり得ない功績を叩き出しているのがニケさんになる。
それぐらいの力量差が二人の間にはあると、この今にも震えてしまいそうになる恐怖感だけで悟ることができた。
そして、
「キキキキキキキキ」
俺ですら恐怖を感じているのだから、当然、その絶対的な恐怖の対象とされたテディはたまったものじゃないだろう。
全身がガクガクと震え、もはや言葉にすらなっていない奇声をかろうじてあげるのみだ。
その双眸にはうっすらと涙らしきものが.....。
(ぬいぐるみでも泣くのか.....。いや、この絶対的な恐怖が奇跡を起こしたのかもしれないな.....)
さすがにテディが憐れになったので、救いの手を差しのべようと思う。
「ニ、ニケさん?落ち着いてください。迷惑ってほどでもないので。それに武器も返そうと思います」
「よろしいのですか?テディに気を遣う必要はないんですよ?少しお仕置きをすればいいだけなのですから」
「大丈夫です。そもそも使う予定はないですし。.....そ、それとお仕置きもしなくていいですからね?」
「歩様がそう仰られるのなら.....。テディ。歩様の寛大なるご慈悲に感謝しなさい」
ニケさんの言葉が発せられるやいなや、テディは素早い身のこなしで「へへ~」とばかりに、水○黄門の印籠シーンばりの見事な平伏をし始めた。それも嬉し泣きを盛大にしながら.....。
きっと、武器を返してもらえる嬉しさよりもニケさんのお仕置きを回避できたことのほうが遥かに嬉しいに違いない。
それぐらいは俺でもわかるほどの絶対的な恐怖だった。
「それにしても、さすがは歩様ですね!そのお優しいお心。このニケ、感心することしきりです!」
「あ、ありがとうございます。一応念を押しますが、お仕置きはダメですからね?」
「畏まりました」
ニケさんはそう言うと、しずしずとお辞儀をしてきた。.....う、美しい。
完璧な所作とはこうまでも美しいものなのだろうか。それともニケさんだからか?
とりあえず恐怖から解放されたテディにおらおら棒を返す。
受け取ったテディの喜びようは言うまでもないだろう。ぬいぐるみらしく?走り回っている。
しかし、だんだん調子に乗ってきたのか、
「キュ、キュ、キュ!」
恐らくだが「見て見て~」とでも言っているのだろう、おらおら棒を肩でとんとんっしながらのヤンキー座りまでする始末。.....(自称)女の子なんだからやめろ!
・・・。
とにもかくにもこれで一件落着と思いきや、更なる衝撃が俺を襲った。
それは、
「な"ー!な"ー!」
「おぉ!?」
まさかまさかの再会に驚いた。
「お、お前.....」
「な"ー!な"ー!」
変な鳴き声で俺にすり寄ってくる猫。
この猫は、俺がまだ日本にいた時にウォーキングの最中に見掛けた捨て猫だ。
実はこいつのことも気にはなっていた。
とは言うものの、俺はアテナの付き人になってしまったので見捨てた形になってしまっていたのだが.....。
「よくわからないが、無事で安心したよ」
「な"ー!な"ー!」
感無量にこの猫を抱き上げる。
すると.....
「.....お前。また太ったな?運動しろって言ったよな?しまいには病気になるぞ?」
「な"ー?」
以前よりも更に太ったことがわかる体重。
この猫も相変わらずらしい。
神界でも日本にいたとき同様、ぐ~たらしているのだろう。
それはいい。それはいいのだが.....。
「なんでお前がここにいるんだ?もしかして.....、神獣だったりするのか!?」
「な"ー!な"ー!」
問題は、何故この猫がここにいるのかだ。
可能性として考えられるのは、やはり神獣であることだろう。.....でも、このデブ猫が神獣?
そんな俺の疑問に答えてくれたのはニケさんだった。
「いえ。な"ーは正真正銘ただの猫です」
「な"ー?」
「その猫の名前です。アテナ様がお決めになられました」
「でしょうね.....。このセンスのない命名はまさにアテナのそれですし」
もうちょっと捻れよ!
鳴き声のまんまじゃねえか!
「と言うことは、ここで飼っているんですか?」
「はい。以前は私が世話をしていたのですが、今はバットも手伝ってくれています」
「え?なに?バットは飼育係なの?」
「飼育係ということでもないですぞ?
ただ、ニケ様のお役に立てることこそ我が本懐。喜んでお手伝いさせて頂いているだけのこと」
蝙蝠男が猫の世話.....。
別に悪くもないがシュールすぎる。
そして、な"ーが神界に居る理由もわかった。
要は女神に、アテナに見初められた猫という訳だ。
そういう意味では超幸運な猫と言っていいだろう。.....元は捨て猫だけど。
そこまで理解できて、ふと思った。
「.....あれ?もしかして、毎日キャットフードを与えていたのは.....」
「アテナ様ですね。正確には初日以降は私なのですが.....」
わかる。
アテナはそういう女神だ。
あいつは世話をするというよりも愛でる専門だ。
ドールとの接し方を見ていて、嫌という程それを思い知らされた。
さて、アテナがダメな子なのは今更なのでいいとして、一つの疑問が残る。
『どうして、わざわざ毎日キャットフードをあげていた?』
これに尽きる。
あのわがままアテナのことだ。
気に入ったのなら、即飼うことにするはず。
なのに、そうはせずキャットフードを与え続けていた。
できない理由があった?
それとも、なにかしらの理由があった?
ただ、できない理由というのは少し考えにくい。
現にこうして、な"ーを飼っている訳なのだから。
そうすると、なにかしらの理由があったと考えるべきだろう。
では、その理由とは一体.....。
一度気になると、どうしても答えを知りたくなる性分だ。
そこでひたすら考えた。ニケさんの美しい笑顔を眺めながら。
・・・。
そうすることしばらくして、
───ピコリン♪
某漫画のように突如ある考えが浮かんだ。真実はいつも一つ!
「ニケさん。以前、俺が付き人に選ばれた理由はアテナの気まぐれだと言っていましたよね?」
「その通りですが.....。それがどうされましたか?」
「それって実はアテナの照れ隠しだったりします?」
「.....?それはどういう意味でしょうか?」
そこで俺は、自前の推理を意気揚々と自信満々に披露することにした。
「付き人候補は数人いたんですよね?」
「はい。仰る通りです」
「そして、その候補者選びは難航していた」
「!.....た、確かにその通りです!よくおわかりになりましたね!?」
やはり思った通りだ。
これでますます、俺の推理に信憑性が増してきた。
ニケさんにカッコイイところを見せられそうで大満足。
「そこで、決め手にかいたアテナは一つの試験を用意することにした」
「し、試験.....ですか?」
この時の俺は、怪訝そうにしているニケさんに気付くことができなかった。
既に有の頂天に至っていたのだから。
後の俺は、この時の鼻高々に語っている俺をぶん殴ってやりたいと思った程だ。
「このな"ーを使って、候補者の中から、心優しき性格でアテナの世話をできる器量人を探すことにした」
「え?えっと.....」
「大丈夫です。わかっていますから。アテナに口止めされているんですよね?あいつはそういうやつですから」
「.....」
「そして、様々な障害を全て乗り越えたのが俺という訳ですね?
つまり、気まぐれで選ばれたのではなく、正式に選ばれた候補者が俺ということです」
どうです?ニケさん!
この理路整然とした推理。
平成のホームズ、平成の明智小五郎とはまさに俺の事だろう。
俺は既に調子に乗っていた。
ニケさんにカッコイイところを見せられて大満足していた。
だからだろうか、
「そ、そうですね.....。さ、さすがは歩様です」
「.....?」
ニケさんの態度が納得いくものではなかった。.....どうしたんだろう?
・・・。
結局、納得できなかった俺は、この後真実を知らされることになる。
本当にアテナの気まぐれで、更に言うなら、な"ーのおまけで付いてきただけという理由で選ばれたということを.....。
それでも、微妙ながらも誉めてくれたニケさんの優しさが心に染みる。
(あのクソ駄女神!ニケさんの前で赤っ恥かいたじゃねえか!絶対許さん!!)
こうして、ニケさんとの久々の再会は赤っ恥スタートから始まることとなった。
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後書き
次回、規定にうるさい女神!
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今日のひとこま
~雑誌から学ぶ女子力~
「ニケ様。雑誌なるものを取り寄せました」
「ご苦労さまです、バット」
「この雑誌とやらをどうされるんですか?」
「デメテル様が仰るには、女としての極意がここに書かれているとか」
「ほぅ。それは興味深いですな。我輩もご一緒してよろしいですか?」
「構いませんよ。.....さてさて、人間が考える女の極意とはなんでしょうか」
「ありがたき幸せ」
「『三つ指をついた出迎えで女らしさをUP!』?.....この仕草になんの意味があるのでしょうか?」
「おぉ。それならば我輩も知っておりますぞ!」
「本当ですか!?どういうことです!?」
「100年ぐらい前でも当たり前のように行われていた所作であります。
それにしても、100年経った今でも行われているとは.....。感慨深いものですなぁ.....」
「なるほど。それで、この仕草にはどんな意味があるのですか?」
「ニケ様。これは仕草という軽いものではありません。所作と呼ばれる一種の儀礼ですぞ」
「所作.....。儀礼.....。つまりは重要度の高いものということですね」
「仰る通りです。『待っていました』の意味を込める動作の最上級と考えてよろしいかと愚考します」
「!!!」
「人間などよりも、まさにニケ様が行われるにふさわしいものかと」
「まもなく歩様が参られます!至急マスターしないといけません!バット手伝いなさい!!」
「仰せのままに」
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