歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第70歩目 はじめての奴隷契約!


前回までのあらすじ

いろいろな奴隷制度を知ることができた

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□□□□ ~奴隷契約~ □□□□

奴隷商館を後にした俺達は、本日がフルール滞在日最終日ということもあり、時間の許す限り遊び尽くした。

そしてその日の夜。
風呂を終え部屋で寛ぎながら、早速新しく入手したスキルを確認することにした。

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女神レベル3で習得できるEXスキル】

奴隷契約Lv.1(消費30000)
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さ、30000!?
なんだこれ!?.....いや、人の人生を自由にできることを考えれば少ないほうか?

「お、思った以上にポイント使うんだな」
「んー?そういったよねー(。´・ω・)?」
「それはそうだが・・・。
 お金もそうなんだが、今後のことも考えると女神ポイントもちゃんと貯めておかないとな」

今回の一件で、それが嫌というほど思い知らされた。
いざ必要って時に、足りませんでした!、では話にならない。

まさか契約費用があんなにも高いとは思ってもみなかった。
俺が望む自由奴隷の場合は通常の契約費用の約4倍もかかる。
買い物をする前の所持金でなんとかできる金額だったので、結局まねっこに頼らざるを得ない結果となった。

そもそもいい大人が貯蓄をしていない時点で問題だと思う。
宵越しの金は持たぬ生活などをしていたら、今後の異世界生活の展望すら語ることができない。

それはお金に限らず女神ポイントもだ。
今回は必要経費だから仕方ないが、スキルを獲得することでほぼすっからかんになる。

決めた!貯蓄する!
もう無駄遣いはしない!させない!許さない!

俺が貯蓄3原則を誓っていたら、アテナから意外な言葉が飛んできた。

「お金はそうだけどー、女神ポイントは当分そんなにつかわないと思うよー」
「なんで?まねっこに必要だし、中級魔法とかもあるんだろ?貯めておいて損はないはずだ」
「そうだけどー、中級とかは付き人のランクを上げないとー、今の歩だと絶対おぼえられないよー」
「付き人のランク?それはどうやったら上げられるんだ?」
「加護だねー。ダンジョンいっぱいクリアしてー、お姉ちゃん達から加護をもらうんだよー( ´∀` )
 今の歩だとー、もうまねっこや裏スキルでしかスキルを取得できないよー。
 付き人のランクで取得できるスキルの種類が決まってるんだー」

.....マジか。そういうことは早く言ってくれよ!こうなったら是が非でも王都に急がねば!

ここで新事実が発覚した。
どうやら付き人のランクによって、取得できるスキルの種類が決まっているらしい。
つまり今の俺では、もう新スキルを入手できる機会が極端に限られる。まねっこか裏スキルのみだ。

ただどちらも不便極まりない。
まねっこは誰かが使えて、しかもアテナが教わる必要がある。この『誰かが使える』という部分がネックだ。
裏スキルは取得条件が曖昧すぎて、いまだに使い勝手がよくわからない。使えないスキル筆頭だ。

こうなってくると否が応でも王都に急ぎたい。

俺は勇者ではない。単なる凡人だ。
歩くだけでレベルアップできるが、それでも恐らく勇者よりもステータスはかなり低いはずだ。
そんな俺が、唯一勇者に優っていた部分が付き人の特性である万能性だった。
しかし・・・今のままではそんな僅かな矜恃すら保つことができない。

ベンリー君からただの凡人に逆戻りだ。

.....凡人は嫌だ!凡人は嫌だ!凡人は嫌だ!

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「舞日さんって、なんの取り柄もないですよね」
「あういう人を普通の人って言うんですかね?」
「普通の人は一つぐらい取り柄はありますよ。それが舞日さんにはないんですから凡人では?」
「凡人wいいじゃないですか凡人w無害ですよ?恋人にいいのでは?」
「やめてくださいよ~。無害ってことはおもしろみがないんですよ?絶対つまらないですって」
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頭の中で繰り返される会社の休憩室での何気ない一幕。
彼女達に悪気はない.....と思うのだが、深く傷付いた忌まわしき思い出だ。

.....ただの凡人は嫌だ!せめて普通になりたい!ベンリー君でもいいから凡人だけは絶対嫌だ!

だから俺は、

王都に着いたらダンジョン攻略に本気出す!

そう固く決意した。脱凡人!

・・・。

とりあえず今は関係ないことなので、早速女神ポインを消費して奴隷契約を取得する。

女神ポイント:168840【↓30000】

アテナがスキルを取得したことで、スマホに項目が追加された。

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【スキル共有で取得できるスキル】

ゴッドぱんち  (消費50000)・・・相手がにげる
ゴッドきっく  (消費50000)・・・逃げ足が速くなる
ゴッドちゃーむ (消費50000)・・・相手はメロメロ
ゴッドすぺる  (消費50000)・・・詠唱省略
ゴッドあい   (消費50000)・・・いっぱい見える
ゴッドまねっこ (消費50000)・・・スキルコピー
ゴッドしんだふり(消費50000)・・・しねる
生活魔法Lv.1(消費150)
奴隷契約Lv.1(消費30000)
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.....いい加減ゴッドシリーズは非表示にできないかな?邪魔で仕方がない。

現状今の女神ポイントではLv.2までしか取得できない。
今回は妖狐を所有するだけなので、多分Lv.1でも事足りるだろうが・・・。

俺の予想では、レベルによって奴隷解放すらも可能になると睨んでいる。
レベルが1あがるだけでもかなりぶっ飛んだ内容になることは今までの経験からわかっている。
だから解放もきっとあるはずだ。そして妖狐がそれを望むなら奴隷から解放してあげたい。

「アテナ。奴隷契約のスキルで、レベルによって何ができるようになるかわかるか?」
「んー?ちょっとまってねー!しらべるー( ´∀` )」

相も変わらず何が楽しいのか全くわからないが、俺の膝上に座り楽しげに足をぷらぷらしている。
妖狐も妖狐でいいのだが、やはりアテナが一番癒される。

.....おっと。こういう比較はやめたほうがいいんだったな。

───ぽふっ。ぽんぽん

「にへへー(*´∀`*)どうしたのー?」
「いや?なんかかわいいな~って思っただけだ」
「ほんとー!?うれしいーo(≧∇≦)o」

ぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んできた。かわいい。

ちゃんとしてれば可愛い子なんだよな~。胸大きいし

「.....むぅ。お主ら、本当に恋人ではないのか?.....距離がおかしいのじゃ!」
「断じて恋人じゃない。娘みたいなもんだな。でもこうも言うだろ?娘は最高の恋人だって。それだな」
「恋人だと言うておるではないか!?」

.....あれ?上手いこと言ったつもりなんだが・・・墓穴掘ったか!?

妖狐がぎゃ~ぎゃ~うるさく喚く中、アテナの調べが終わるのを待つ。そして・・・

「わかったよー!えっとねー」

待望の時がついにきた。
妖狐を黙らせて耳を傾ける。

「Lv.1は相手の許可が必要なのとー、魔法抵抗力が低い場合にスキルが発動するみたいだねー( ´∀` )」

.....許可?許可なんて出すやついるのか?誰が好き好んで奴隷になるというのか。

しかし実際は、妖狐を始め多くの奴隷が存在する。
なにか抜け道的なものがあるということだろう。

「妖狐も許可を出したんだよな?」
「当然であろう。許可せねば、許可を出すまで痛め付けられるからの。
 それが原因で死んでいった同胞も多いと聞く。
 捕まってしまった時点で、死ぬか奴隷になるか、己の運命を選らばなければならぬのじゃ」

なるほど。強要での許可も含まれるのか。
それにしても.....聞けば聞くほど胸糞悪くシステムだ。

俺は奴隷というシステムに心底気分が悪くなりながらも、アテナに更なる説明を促した。

「Lv.2は相手の許可は必要だけどー、発動するための制限はないみたいだねー。
 Lv.3は相手の許可はいらなくなるけどー、魔法抵抗力が低い場合にスキルが発動するみたいだねー。
 それと奴隷解放のスキルもできるようになるよー!」

.....やっぱり解放もあったか。あるとはなんとなく予想していたが・・・。

それよりも問題なのは無許可で奴隷にできてしまうことだ。
魔法抵抗力ってのが曖昧すぎるが、きっとLv.2よりも制限がないのは確かだ。
この世界にLv.3スキル持ちが何人いるのかはわからないが、そいつらが非人道的なことをしていないのか心配になる。

・・・。

これだから奴隷問題に関わるとロクなことがない。
知らぬが仏とはよく言ったものだ。

そんな俺の焦燥なんてお構いなしにアテナの説明は続く。

「Lv.4は相手の許可も制限もなくスキルを発動できるみたいだねー。
 ただ一部の魔法抵抗力が高い相手にはレジストされるみたいー。
 最後のLv.5は誰にでもスキルを発動できるよー。それこそ神様だって奴隷にできるみたいだねー( ´∀` )」

.....いやいやいや!神様が奴隷にされたらやばいだろ!てか、その前に神様なんだから奴隷になるなよ!

いつも思うがLv.5はなにかがおかしい。
国を掃除したり、国を作ったり、そしてついには神様すら奴隷にしちゃったり・・・。

頭のおかしい世界には、頭のおかしいスキルがお似合いなんだろうか。
いや、頭のおかしい世界だからこそ、頭のおかしいスキルがあると考えるべきか。

考えるだけ無駄か。
結局『鶏が先か、卵が先か』でしかなかった。


女神ポイント:78840【↓90000(※奴隷契約Lv.1で30000P、奴隷契約Lv.2で60000P)】


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後書き

次回、妖狐の決断!

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今日のひとこま

~夜のお誘い~

「そう言えば、先ほどまで姉さまと何をこそこそ話しておったのじゃ?」
「なにって.....妖狐のことだけど?」
「妾のこと?妾のことなのに、なぜ妾に隠れてこそこそ話す必要があるのじゃ?おかしいであろう!」
「そんなに怒るなよ。どの制度で所有しようかって相談してたんだ」

どうやって説明したらいいかわからないんだよな~。
妖狐はもう俺が所有するんだし、本当のことを話してもいいかも?隠し通すのにも限界があるだろうし。

「そんなもの完全奴隷でよかろう。他は金の無駄じゃ」
「それが嫌なんだよ。妖狐が操り人形みたいになったら嫌だし」
「し、しかしの?妾は奴隷なのじゃ。奴隷にそこまで金をかけるのはどうかと思うのじゃ・・・」
「.....あ~。それはなんとかなりそうなんだ。だから気にするな」

「・・・」
「どうした?」
「.....やはりダメじゃな。お主は妾に酷いことをせぬと誓ってくれた。妾はそれで十分なのじゃ。
 それに妾が完全奴隷であっても、お主ならきっと誓い通り、酷いことはせぬであろう。
 だから他の奴隷制度にするだけ無駄なことじゃ。金を無駄にするでない。貯蓄するのであろう?」

普段は高慢ちきだけど、やっぱり妖狐は優しい子だ。

「尻尾触ってもいいか?」
「む?べ、別に構わんが・・・」

───もふもふ

「ありがとう、妖狐」
「.....ふむ?普段よりも優しい手つきなのじゃ。なにかあったのか?」
「もふもふしただけでわかるとかお前すごいな!」
「ふふん♪妾を侮るでない!お主は嘘だけではなく、感情が態度に出やすいのじゃ」

ふぁ!?マジか・・・。知らなかった。妖狐は俺のことをよく見てるんだな。

「それで?どうしたのじゃ?」
「妖狐の所有のこともそうなんだけど、話したいことがあるから深夜に散歩でも行かないか?」
「散歩はいいとしても・・・なんで深夜なのじゃ?今でもよかろう」
「.....アテナがいるとまともに話にならないからな。二人っきりで話したい」
「ふ、二人っきり!?.....ふ、ふん!そ、そんなに妾と二人っきりで話したいというなら、
 し、仕方ないのじゃ。つ、付き合ってやろう!か、感謝するがよい!」

よし、誘い出し完了だな。妖狐に本当のことを話してみるか!

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