歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~
第37歩目 はじめての智慧!雇用契約4日目
前回までのあらすじ
アテナは死んだふりをしていただけで死んでなかった!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
□□□□ ~私の歩だから!~ □□□□
「キキィ」
俺の反撃に怯んでいた魔物達がまた動き始めたようだ。
アテナが無事だったのはいいが、極めて不利な状況なのは変わらない。
「アユムさん。どうします?」
「ラピスー?どうしたのー?」
真剣な表情で尋ねてくるラズリさんに対して、全く状況を理解していないアテナ。
お前は危ないと思ったから、死んだふりしてたんじゃないのかよ!
「作戦は変わりません。俺が魔物を蹴散らしますので、ラズリさんはアテナを連れて逃げてください。俺も二人が安全だと判断したら逃げます」
現状これしか打開策はない。
かなりの数の魔物を倒したはずなのだが、未だ魔物が部屋をひしめいている。尋常ではない数だ。
「わかりました。アユムさんに女神様のご加護がありますように」
「えー?私ー?もう加護あげてるよねー?」
「アテナを頼みます。地上で会いましょう」
バカがなにか言っていたが、ラズリさんは優しい眼差しでスルーしてくれたようだ。
自分を女神かのように語る子は、例え本当に女神であっても、普通なら痛い目で見られても仕方がないだろう。
とその時、
「よっこらしょ♪」
───ぷるんっ
す、座るだけで揺れるとかさすがアテナだ。
「アテナさん!?」
「お前なんで座ってんだよ!?話を聞いてなかったのか!?今からラズリさんと一緒に逃げるんだよ!」
アテナのおっぱいに魅入っている場合じゃなかった!
「ラピスー!お腹減ったー!お菓子ちょうだーい!」
「え?いや、それは構いませんが.....アユムさん?」
「お菓子は地上で食えよ!今はとりあえず逃げろ!」
「やだよー!だってー疲れたんだもーん(´-ε -`)」
疲れたって.....お前は死んだふりしてただけだろ!
アテナはどっかりと座り、その場に根を下ろしたかのように全く動く気配がない。
きれいなワンピースが.....いや、もう泥だらけだから大丈夫か。
「アテナさん。これ以上はアユムさんに迷惑がかかります。急いで逃げましょう」
ラズリさんがアテナの説得にかかる。ラズリさんも真剣だ。
「んー?なんで逃げるのー?」
「「え?」」
俺とラズリさんが固まる。
こいつは真性のバカなのか?
今の状況はバカでもわかるだろ!
隅に追いやられ、四方八方を魔物に囲まれ逃げ道がない。
どれだけの数の魔物がいるのか全くわからない。
それぐらい魔物が部屋の奥までうごめいている。
かなり絶望的な状況だ。
それなのにアテナは平然としている。
「逃げる必要ないよー?なんで逃げるのー(。´・ω・)?」
「い、いえ。この状況だと逃げないと危ないですよね?」
「なにがー?全然危なくないよー?」
危険性をまるで感じていないアテナの様子にラズリさんは狼狽した
「ど、どうして危なくないんです?」
「歩がいるじゃーん!私の歩は魔物なんかに負けないよー?」
「誰がお前のだ誰が!それにさすがの俺でも.....」
「大丈夫ー!私の歩は絶対負けないよー!」
あくまでお前のだと言い張るのか.....
それにしてもこの全幅の信頼。
前々から思っていたが、どうしたらそんなに俺を信じられるのだろうか。
「歩頑張ってー!にへへー(*´∀`*)」
アテナは八重歯を覗かせながら、にぱー☆と微笑んだ。
「アユムさん?顔が赤いですよ?」
「な、なんでもありません!」
くそっ!すごくかわいいじゃないか!
「やるだけやってみます!ラズリさん、アテナを頼みます」
なんだかんだアテナの応援でやる気になった俺は、再び魔物と対峙する
「アユムさん.....無理はしないでくださいね」
「ラピスー心配ないよー!
私の歩はいじわるするけどー、嘘ついたことないもーん!
私とラピスを絶対守ってくれるよー!
だからーお菓子でも食べて待ってよーo(≧∇≦)o」
俺からは、もう既にアテナの表情は見えない。
でも背中越しに、いつものようににぱー☆と可愛らしい笑顔が向けられているのはなんとなく分かる。
ここまで信頼されているんだ。ご期待に添えるよう頑張りますか!
俺が気合いを入れると同時に、魔物の猛攻が始まった。
□□□□ ~アテナの智慧?~ □□□□
アテナの応援でやる気に満ちている俺だが、状況はあまり変わらなかった。
相変わらずボス猿の的確な指示による連携で思うように戦えない。
ただ変わった点があるとすれば、ラズリさんへの急襲がなくなったことだろうか。
先程の俺の阿修羅の如く反撃で子分猿が何匹かやられている。
自分の勢力が弱まるのを嫌ったのか、はたまた勢力温存作戦なのか
とりあえず猿の急襲がなくなったことで、後ろへの懸念がなくなったことはありがたい。ありがたいのだが.....
「おいし~~~~~~~~~~~~~~o(≧∇≦)o
このクッキーのふんわりもちもち感!さいこー!
まるで赤ちゃんを食べてるみたーい!」
どんな感想だよ!?
赤ちゃんを食べたことあるのか!?
「ありがとうございます。紅茶のおかわりもありますよ」
「飲む飲むー!ラピスが仲間でよかったー!便利ー!」
便利とか失礼だろ!
てか、お前らくつろぎすぎ!
ラズリさんも最初は警戒していたのだが、脅威がないと分かった途端、アテナと一緒にくつろぎ始めた。
クッキーを作り始めた時なんて孤独感を感じたほどだ。
俺も食べたかった.....俺の分残ってるかな?
冗談はさておき、どうしたものか。
現状を打開できる策が全くない。
そんな途方に暮れていた俺に意外なところから助け舟がきた。
「歩~まだー?」
「くつろいでるくせに文句言うな!
文句があるならどうしたらいいか考えろ」
「しかたないなー。智慧を貸してあげるー!」
智慧って.....ボス猿よりも低そうなのに。
俺は期待しないでひたすら魔物を屠り続けた。
腕が若干痺れてきたような気もするが弱音は吐けない。
「アテナさん。それはなんですか?」
「スマホー。私の智慧袋なんだー!」
「見たことないものです。新しい魔道具ですかね?」
「そんなとこー」
会話からするとアテナは元俺のスマホでなにかを調べているらしい
「あったあったー!(ボリボリ)これだよー、歩~!
はやくはやくー!(バリッ)」
「アユムさん!(パリッ)急ぎましょう!」
お前らはバカか!?見たくても俺は見れないんだって!
「(ボリボリ)あっ。アユムさんは見れないですね」
「そっかー。(バリッ)ちょっと待っててー(ボリボリ)」
なにボリボリ言ってんの!?今度は煎餅か!?
「えっとねー。昔のえらい人が言ってたんだけどねー(バリッ)」
「偉い人って誰だよ!?」
「(ボリボリ)しらなーい。でもえらい人だよー。たぶんー」
とりあえず煎餅かなにか食べるのやめろ!気が散る!
「一人の敵を倒すには一振りの剣があればよくて、一群の敵を倒すにはさらにー槍があればいいらしいよー。歩もそうすればいいじゃーん!」
そうすればいいって、アテナはなにが言いたいんだ?
一人倒すには剣が一本あればいいのはわかる。
実際剣術Lv.3のおかげで今まで戦えているのだから。
一群ってのは複数のことを指すのだろう
一本の槍があれば複数と戦えるってことは、俺に槍術を取れと?
それは構わないが....槍はどこにあるんだよ?
ま~たアテナのテキトーな思い付きか?
なにが智慧の女神だよ!あてにならないな。
「どういう意味ですか?」
「俺に槍で戦えって意味らしいです。
でもアテナ、槍はどこにあるんだ?」
半ばバカにしたような口調で背中越しにいるアテナに問い掛けた。
「槍~?ちがうよー。このえらい人はこう言いたいんでしょー。
敵によって戦い方を変えればいいってー」
なるほど!そういう意味か!
確かに群がる魔物相手にちまちま剣を振り回していてもラチがあかない。
多対には多対のやり方をとるのが当たり前だ。
「そうなると.....魔法ですよね?」
「そうそうー。魔法でババンーッて倒せばいいんだよー」
「でもアユムさんはLv.1魔法しか使えないですよね?
高位魔法を使えるなら最初から使ってたでしょうし」
ラズリさんはなかなか鋭い。
アテナから女神ポイントで取得すれば使えなくもない。
ただいきなり使えるようになったら怪しまれるだろう。
俺はどうしようか悩んでいたら、そんなことを悩むのもバカらしいといった感じで切り出してきたのは当然こいつだった。
「歩なら使えるよー!」
「え?なんで使えるんですか?」
「私の歩だからだよー!私の歩はすごいんだからー!」
なんでもかんでもそれで済むはずが.....
「確かにアユムさんなら或は.....」
信じちゃうのかよ!?
バカな会話だが、なんだかテレくさい。
アテナの宗教並の盲信に、ラズリさんのお人よしな純真。
.....本当に守ってあげないと心配になる二人だ。
「それで?俺はどこまで使えるんだ?」
「Lv.3まで使えるよー。火だけだけどねー」
ふむ。火か。
今の魔物の群れが豚に、バブ○スライム、木のおばけ、こうもり、猿だ。
こうもり以外は火に弱いはず。
アテナにしてはナイスチョイスだ。
俺が考察していたら、突如驚きの声が上がった。
「Lv.3!?大魔道士クラスじゃないですか!?」
「よゆうーよゆうー。だってー、私の歩だもーん!」
「ア、アユムさんならありえますよね.....?」
なんか変な納得のされ方してないか?
俺ならなんでもありえるみたいな.....
そういうのは勇者の役割だろ。俺は凡人なんだが?
それにしてもLv.3魔法で大魔道士クラスになるらしい。
ラズリさんが驚くぐらいだから余程だろう。
確か魔法は、Lv.1が見習いで、Lv.2で一人前。
そしてLv.3で大魔道士となるみたいだ。
やはりレベルが1上がるだけでも、受ける恩恵がとてつもなく大きくなるようだ。
「歩は魔法だけじゃないよー?剣も体術もLv.3だしねー!」
「ええ!?そんな人聞いたことありませんよ!?」
アテナは自分のことのように、ラズリさんに自慢をしている。
きっと女神級おっぱいは揺れていることだろう。
見れないのが惜しい!
それにしても.....
勝手に人の能力バラすなよ。マナー違反だぞ?
それにラズリさんが言った内容も気になる。
「聞いたことないって.....勇者とかならありえますよね?」
「ありませんよ!勇者様にもよりますが、大体は剣だけ超一流とか、魔法だけ超一流とかがほとんどです!」
.....え?マジ?勇者って万能じゃないの?
いや、だからこそアテナが嬉しそうに自慢しているのか。
勇者よりも俺のほうが万能とかシャレにならん。
絶対秘密にしていかねば!
「アユムさんステキすぎます!ぜひ私と恋人になりましょう!
恋人が無理なら愛人でもいいです!」
「ごめんなさい」
「な~んでですか~!
恋人はともかく、愛人ならいいじゃないですか!」
「愛人とか.....自分を大切にしてください。
恋人は百歩譲っていいとしても、愛人だけは絶対ダメです」
ラズリさんはステキな人なんだから、自ら自分の価値を貶しめるようなことは言わないで欲しい。
「アユムさん.....ありがとうございます。嬉しいです」
「分かって頂けたならなによりです」
「ではよろしくお願いします」
「なにが!?」
「恋人なら譲って頂けるんですよね?ありがとうございます」
「しつこいな!あんたも!」
全然分かってなかったよ!この人は!
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後書き
次回、智慧の女神アテナ!
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今日のひとこま
「スマホって、元々歩さんのだったんですね」
「そうですよ。それがなにか?」
「アテナさんだけずるいです!」
「なにが!?」
「あれって、れっきとしたプレゼントですよね?」
「いやいや。おもちゃ代わりにあげたんですよ」
「しかも見たことがない魔道具でした」
「あ、あの聞いてます?」
「私は彼女なのにプレゼントをもらったことないです」
「彼女って契約期間中の、ですよね?」
「彼女にはプレゼントしないのに、アテナさんにはするんですね」
「お~い?ちゃんと話を聞いてます?」
「彼女なのに。彼女なのに。彼女なのに」
「あ、あの.....」
「彼女なのに。彼女なのに。彼女なのに」
「わかりました!なにかプレゼントします!」
「本当ですか!嬉しいです!」
「なにか欲しいものありますか?」
「なんでもいいんですか?」
「俺が用意できるやつでお願いしますよ?」
「アユムさんしか用意できないものです」
「.....え?ま、まさか」
「な、なにかアユムさんとお揃いのものが欲しいです///」
「.....へ?あ、あぁ、いいですよ」
「どうしました?」
「な、なんでもないです」
てっきり俺が欲しいとか言い出すかと思った。
疑ってごめん。ラズリさん
「あっ。でもアユムさんでも❤」
やっぱりラズリさんはラズリさんだな。
アテナは死んだふりをしていただけで死んでなかった!
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□□□□ ~私の歩だから!~ □□□□
「キキィ」
俺の反撃に怯んでいた魔物達がまた動き始めたようだ。
アテナが無事だったのはいいが、極めて不利な状況なのは変わらない。
「アユムさん。どうします?」
「ラピスー?どうしたのー?」
真剣な表情で尋ねてくるラズリさんに対して、全く状況を理解していないアテナ。
お前は危ないと思ったから、死んだふりしてたんじゃないのかよ!
「作戦は変わりません。俺が魔物を蹴散らしますので、ラズリさんはアテナを連れて逃げてください。俺も二人が安全だと判断したら逃げます」
現状これしか打開策はない。
かなりの数の魔物を倒したはずなのだが、未だ魔物が部屋をひしめいている。尋常ではない数だ。
「わかりました。アユムさんに女神様のご加護がありますように」
「えー?私ー?もう加護あげてるよねー?」
「アテナを頼みます。地上で会いましょう」
バカがなにか言っていたが、ラズリさんは優しい眼差しでスルーしてくれたようだ。
自分を女神かのように語る子は、例え本当に女神であっても、普通なら痛い目で見られても仕方がないだろう。
とその時、
「よっこらしょ♪」
───ぷるんっ
す、座るだけで揺れるとかさすがアテナだ。
「アテナさん!?」
「お前なんで座ってんだよ!?話を聞いてなかったのか!?今からラズリさんと一緒に逃げるんだよ!」
アテナのおっぱいに魅入っている場合じゃなかった!
「ラピスー!お腹減ったー!お菓子ちょうだーい!」
「え?いや、それは構いませんが.....アユムさん?」
「お菓子は地上で食えよ!今はとりあえず逃げろ!」
「やだよー!だってー疲れたんだもーん(´-ε -`)」
疲れたって.....お前は死んだふりしてただけだろ!
アテナはどっかりと座り、その場に根を下ろしたかのように全く動く気配がない。
きれいなワンピースが.....いや、もう泥だらけだから大丈夫か。
「アテナさん。これ以上はアユムさんに迷惑がかかります。急いで逃げましょう」
ラズリさんがアテナの説得にかかる。ラズリさんも真剣だ。
「んー?なんで逃げるのー?」
「「え?」」
俺とラズリさんが固まる。
こいつは真性のバカなのか?
今の状況はバカでもわかるだろ!
隅に追いやられ、四方八方を魔物に囲まれ逃げ道がない。
どれだけの数の魔物がいるのか全くわからない。
それぐらい魔物が部屋の奥までうごめいている。
かなり絶望的な状況だ。
それなのにアテナは平然としている。
「逃げる必要ないよー?なんで逃げるのー(。´・ω・)?」
「い、いえ。この状況だと逃げないと危ないですよね?」
「なにがー?全然危なくないよー?」
危険性をまるで感じていないアテナの様子にラズリさんは狼狽した
「ど、どうして危なくないんです?」
「歩がいるじゃーん!私の歩は魔物なんかに負けないよー?」
「誰がお前のだ誰が!それにさすがの俺でも.....」
「大丈夫ー!私の歩は絶対負けないよー!」
あくまでお前のだと言い張るのか.....
それにしてもこの全幅の信頼。
前々から思っていたが、どうしたらそんなに俺を信じられるのだろうか。
「歩頑張ってー!にへへー(*´∀`*)」
アテナは八重歯を覗かせながら、にぱー☆と微笑んだ。
「アユムさん?顔が赤いですよ?」
「な、なんでもありません!」
くそっ!すごくかわいいじゃないか!
「やるだけやってみます!ラズリさん、アテナを頼みます」
なんだかんだアテナの応援でやる気になった俺は、再び魔物と対峙する
「アユムさん.....無理はしないでくださいね」
「ラピスー心配ないよー!
私の歩はいじわるするけどー、嘘ついたことないもーん!
私とラピスを絶対守ってくれるよー!
だからーお菓子でも食べて待ってよーo(≧∇≦)o」
俺からは、もう既にアテナの表情は見えない。
でも背中越しに、いつものようににぱー☆と可愛らしい笑顔が向けられているのはなんとなく分かる。
ここまで信頼されているんだ。ご期待に添えるよう頑張りますか!
俺が気合いを入れると同時に、魔物の猛攻が始まった。
□□□□ ~アテナの智慧?~ □□□□
アテナの応援でやる気に満ちている俺だが、状況はあまり変わらなかった。
相変わらずボス猿の的確な指示による連携で思うように戦えない。
ただ変わった点があるとすれば、ラズリさんへの急襲がなくなったことだろうか。
先程の俺の阿修羅の如く反撃で子分猿が何匹かやられている。
自分の勢力が弱まるのを嫌ったのか、はたまた勢力温存作戦なのか
とりあえず猿の急襲がなくなったことで、後ろへの懸念がなくなったことはありがたい。ありがたいのだが.....
「おいし~~~~~~~~~~~~~~o(≧∇≦)o
このクッキーのふんわりもちもち感!さいこー!
まるで赤ちゃんを食べてるみたーい!」
どんな感想だよ!?
赤ちゃんを食べたことあるのか!?
「ありがとうございます。紅茶のおかわりもありますよ」
「飲む飲むー!ラピスが仲間でよかったー!便利ー!」
便利とか失礼だろ!
てか、お前らくつろぎすぎ!
ラズリさんも最初は警戒していたのだが、脅威がないと分かった途端、アテナと一緒にくつろぎ始めた。
クッキーを作り始めた時なんて孤独感を感じたほどだ。
俺も食べたかった.....俺の分残ってるかな?
冗談はさておき、どうしたものか。
現状を打開できる策が全くない。
そんな途方に暮れていた俺に意外なところから助け舟がきた。
「歩~まだー?」
「くつろいでるくせに文句言うな!
文句があるならどうしたらいいか考えろ」
「しかたないなー。智慧を貸してあげるー!」
智慧って.....ボス猿よりも低そうなのに。
俺は期待しないでひたすら魔物を屠り続けた。
腕が若干痺れてきたような気もするが弱音は吐けない。
「アテナさん。それはなんですか?」
「スマホー。私の智慧袋なんだー!」
「見たことないものです。新しい魔道具ですかね?」
「そんなとこー」
会話からするとアテナは元俺のスマホでなにかを調べているらしい
「あったあったー!(ボリボリ)これだよー、歩~!
はやくはやくー!(バリッ)」
「アユムさん!(パリッ)急ぎましょう!」
お前らはバカか!?見たくても俺は見れないんだって!
「(ボリボリ)あっ。アユムさんは見れないですね」
「そっかー。(バリッ)ちょっと待っててー(ボリボリ)」
なにボリボリ言ってんの!?今度は煎餅か!?
「えっとねー。昔のえらい人が言ってたんだけどねー(バリッ)」
「偉い人って誰だよ!?」
「(ボリボリ)しらなーい。でもえらい人だよー。たぶんー」
とりあえず煎餅かなにか食べるのやめろ!気が散る!
「一人の敵を倒すには一振りの剣があればよくて、一群の敵を倒すにはさらにー槍があればいいらしいよー。歩もそうすればいいじゃーん!」
そうすればいいって、アテナはなにが言いたいんだ?
一人倒すには剣が一本あればいいのはわかる。
実際剣術Lv.3のおかげで今まで戦えているのだから。
一群ってのは複数のことを指すのだろう
一本の槍があれば複数と戦えるってことは、俺に槍術を取れと?
それは構わないが....槍はどこにあるんだよ?
ま~たアテナのテキトーな思い付きか?
なにが智慧の女神だよ!あてにならないな。
「どういう意味ですか?」
「俺に槍で戦えって意味らしいです。
でもアテナ、槍はどこにあるんだ?」
半ばバカにしたような口調で背中越しにいるアテナに問い掛けた。
「槍~?ちがうよー。このえらい人はこう言いたいんでしょー。
敵によって戦い方を変えればいいってー」
なるほど!そういう意味か!
確かに群がる魔物相手にちまちま剣を振り回していてもラチがあかない。
多対には多対のやり方をとるのが当たり前だ。
「そうなると.....魔法ですよね?」
「そうそうー。魔法でババンーッて倒せばいいんだよー」
「でもアユムさんはLv.1魔法しか使えないですよね?
高位魔法を使えるなら最初から使ってたでしょうし」
ラズリさんはなかなか鋭い。
アテナから女神ポイントで取得すれば使えなくもない。
ただいきなり使えるようになったら怪しまれるだろう。
俺はどうしようか悩んでいたら、そんなことを悩むのもバカらしいといった感じで切り出してきたのは当然こいつだった。
「歩なら使えるよー!」
「え?なんで使えるんですか?」
「私の歩だからだよー!私の歩はすごいんだからー!」
なんでもかんでもそれで済むはずが.....
「確かにアユムさんなら或は.....」
信じちゃうのかよ!?
バカな会話だが、なんだかテレくさい。
アテナの宗教並の盲信に、ラズリさんのお人よしな純真。
.....本当に守ってあげないと心配になる二人だ。
「それで?俺はどこまで使えるんだ?」
「Lv.3まで使えるよー。火だけだけどねー」
ふむ。火か。
今の魔物の群れが豚に、バブ○スライム、木のおばけ、こうもり、猿だ。
こうもり以外は火に弱いはず。
アテナにしてはナイスチョイスだ。
俺が考察していたら、突如驚きの声が上がった。
「Lv.3!?大魔道士クラスじゃないですか!?」
「よゆうーよゆうー。だってー、私の歩だもーん!」
「ア、アユムさんならありえますよね.....?」
なんか変な納得のされ方してないか?
俺ならなんでもありえるみたいな.....
そういうのは勇者の役割だろ。俺は凡人なんだが?
それにしてもLv.3魔法で大魔道士クラスになるらしい。
ラズリさんが驚くぐらいだから余程だろう。
確か魔法は、Lv.1が見習いで、Lv.2で一人前。
そしてLv.3で大魔道士となるみたいだ。
やはりレベルが1上がるだけでも、受ける恩恵がとてつもなく大きくなるようだ。
「歩は魔法だけじゃないよー?剣も体術もLv.3だしねー!」
「ええ!?そんな人聞いたことありませんよ!?」
アテナは自分のことのように、ラズリさんに自慢をしている。
きっと女神級おっぱいは揺れていることだろう。
見れないのが惜しい!
それにしても.....
勝手に人の能力バラすなよ。マナー違反だぞ?
それにラズリさんが言った内容も気になる。
「聞いたことないって.....勇者とかならありえますよね?」
「ありませんよ!勇者様にもよりますが、大体は剣だけ超一流とか、魔法だけ超一流とかがほとんどです!」
.....え?マジ?勇者って万能じゃないの?
いや、だからこそアテナが嬉しそうに自慢しているのか。
勇者よりも俺のほうが万能とかシャレにならん。
絶対秘密にしていかねば!
「アユムさんステキすぎます!ぜひ私と恋人になりましょう!
恋人が無理なら愛人でもいいです!」
「ごめんなさい」
「な~んでですか~!
恋人はともかく、愛人ならいいじゃないですか!」
「愛人とか.....自分を大切にしてください。
恋人は百歩譲っていいとしても、愛人だけは絶対ダメです」
ラズリさんはステキな人なんだから、自ら自分の価値を貶しめるようなことは言わないで欲しい。
「アユムさん.....ありがとうございます。嬉しいです」
「分かって頂けたならなによりです」
「ではよろしくお願いします」
「なにが!?」
「恋人なら譲って頂けるんですよね?ありがとうございます」
「しつこいな!あんたも!」
全然分かってなかったよ!この人は!
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後書き
次回、智慧の女神アテナ!
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今日のひとこま
「スマホって、元々歩さんのだったんですね」
「そうですよ。それがなにか?」
「アテナさんだけずるいです!」
「なにが!?」
「あれって、れっきとしたプレゼントですよね?」
「いやいや。おもちゃ代わりにあげたんですよ」
「しかも見たことがない魔道具でした」
「あ、あの聞いてます?」
「私は彼女なのにプレゼントをもらったことないです」
「彼女って契約期間中の、ですよね?」
「彼女にはプレゼントしないのに、アテナさんにはするんですね」
「お~い?ちゃんと話を聞いてます?」
「彼女なのに。彼女なのに。彼女なのに」
「あ、あの.....」
「彼女なのに。彼女なのに。彼女なのに」
「わかりました!なにかプレゼントします!」
「本当ですか!嬉しいです!」
「なにか欲しいものありますか?」
「なんでもいいんですか?」
「俺が用意できるやつでお願いしますよ?」
「アユムさんしか用意できないものです」
「.....え?ま、まさか」
「な、なにかアユムさんとお揃いのものが欲しいです///」
「.....へ?あ、あぁ、いいですよ」
「どうしました?」
「な、なんでもないです」
てっきり俺が欲しいとか言い出すかと思った。
疑ってごめん。ラズリさん
「あっ。でもアユムさんでも❤」
やっぱりラズリさんはラズリさんだな。
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