歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第12歩目 はじめての悲しみ!


はじめてアテナに奉仕したあの日から1週間がすぎた
歩くだけでレベルアップする俺は、こんな感じになっていた

ここまでの歩数:約150130歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:547【↑406】

種族:人間
年齢:26
性別:♂

職業:凡人
称号:女神の付き人

体力:557(+547)【↑406】
魔力:547(+547)【↑406】
筋力:552(+547)【↑406】
耐久:552(+547)【↑406】
敏捷:607(+547)【↑406】

技能:言語理解/ステータス/鑑定Lv.2/浄化魔法Lv.2
   剣術Lv.2/体術Lv.2/索敵Lv.2/治癒魔法Lv.2
   感知Lv.2/偽造Lv.2/魔法耐性Lv.1
   初級火魔法Lv.1/初級水魔法Lv.1
   初級風魔法Lv.1/初級光魔法Lv.1
   状態異常耐性Lv.2

固有:ウォーキングLv.547 252/548
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いろいろ増えたり上がったりしているが、特筆すべきはレベルとスキルだろう

レベルに関しては、毎朝趣味として散歩という名のウォーキングをすることにしている

異世界の夜は特にすることがない。TVもなければネットもない
酒場があるが、アテナと一緒だと面倒事が増えそうで行っていない
となると夕食後は、日が暮れれば大体寝ることになる
あまりにも健康的な生活なので、朝起きるのが早い

起きても特にやることもないので、自然と趣味のウォーキングに勤しむことになった
大体1時間前後をウォーキングに費やすことにしている(約1万歩)

ちなみに俺がウォーキング中、アテナは惰眠を貪っている
こいつは、俺より寝るのが早いくせに起きるのは遅いときたもんだ

そして決まって俺を抱き枕代わりにしてくる
どんなに払いのけてもくっついてくるのでもう諦めた
相変わらず涎は垂らすのだが、寝顔が可愛いので良しとしている
それに、アテナから漂う甘い香りとおっぱいの感触が気持ちいい

(本当、顔と体だけは女神なんだよな......)


そしてウォーキングついでにギルドの依頼も受けることにしている
この世界のギルドは24時間開いている
たがらいつでも依頼を受けることができる

異世界で生活していくにもお金は重要だ
散歩ついでに森に寄っては薬草を採取したり魔物を蹴散らしている
そのおかげで、今現在俺の冒険者ランクはCにまで上がった

ウォーキングと依頼の両立でレベルとお金を日々増やしていた訳だ


スキルに関しては、生活に必要そうなものや、便利そうなものを優先した

まず真っ先に取ったのは浄化魔法Lv.2だ
人の衣類や体を綺麗にできる魔法だ
これのおかげでアテナの排尿後の処理をやらずに済むようになった

(体拭きはともかく排尿後の処理は童貞には難易度が高すぎる!)


ちなみに体拭きは毎日してあげている
これは俺と同じ理由だ
浄化魔法で体が綺麗になっても、お湯でさっぱりしたいらしい

アテナはお風呂が大好きなんだとか
体を拭かれている時は、とても気持ちよさそうな表情をしている
その表情からでもお風呂が好きなのはなんとなく分かる


各種初級魔法は生活に便利そうだから取得した

実際、火魔法や水魔法はお湯代の節約になっている
魔法は魔力量によって、その強さが変化する仕組みになっている
なのでもう少し頑張ればお風呂も可能なんじゃないかと思っている

(アテナの喜ぶ姿が目に浮かぶな......)


光魔法は夜のライト代わりにしようと思っている
ランプだけだと部屋は何気に暗い
地球の照明のありがたさを見に染みて感じる
照明ほどではないが、光魔法はいいライト代わりになるだろう

実はお金が貯まったら本を購入しようと思っている
というのも、アテナの知識は古いことが多すぎるのだ
銭貨にしてもそう、ギルドの営業時間についてもそう
だから少しでも知識を蓄える為、本を読んで勉強しようと思う

(てか、いい機会だからアテナも一緒に勉強させるか......)


そして一番お世話になっているのが風魔法だ
風魔法とは所謂、かまいたちと呼ばれるものになる

どうして風魔法にお世話になっているのか......

実は何気に困っていたのが髭の処理だ
俺も男である以上、なんだかんだ言って毎日普通に生えてくる
ただこの世界だと、髭は剃らなかったり、抜いたりしているらしい
剃らないのは不衛生だし、抜くのは痛いだろうからしたくない

そこで考えたのが自分に風魔法使えばいいんじゃね?ってことだ

そして実際使ってみた

「切り裂け!ヴィント!」

───ヒュオオオオオ

「いた!?いて、いて、いて......いてぇな!!」

俺のあごをかまいたちが切り裂いていく
結果、髭は剃れてはいたが、あごが傷だらけになってしまった

『ぷー( ´∀` )自分に魔法使うとか、バカじゃないのー!』
「・・・」

アテナが爆笑していたので頬をつねっておいた

『ふえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん(´;ω;`)』

(まぁケガは治癒魔法で直せばいいか)

と思って、治癒魔法を取得したのだが......
この問題は魔法耐性を取得することで意外と簡単に解決してしまった

(治癒魔法を取得した意味、全くなかった!!)

当然アテナにまたバカにされたので八つ当たりをしておいた


またスキルに関しては、レベルが1上がるだけでも結構違いが出る

例えば、剣術と体術がそうだ

剣を振るうと、いい感じに振れた
足や腕の使い方、間合いの取り方なんかが本能的にわかる
試しに木を切ってみたが、スパッといけた
体感的に、剣術Lv.1の時よりも動作が軽快な気がする

体術にしても、腰の使い方が理解できたような感覚がある
木を殴ってみたら、拳2発で大木が軋み、蹴りを入れるとへし折れた
体感的に、体術Lv.1の時より1.5倍近い威力になってる


そんなこんなで充実した1週間を過ごしていた

□□□□

「やばいな。アテナ起きてるかも......」

今、俺はアテナが待つ宿屋へと急いでいた


今日も俺は朝のウォーキングついでに依頼をこなしていた

朝受ける依頼は【薬草採取】と決めている
そもそもCランクになったのにどうして薬草採取をしているのか......

他の依頼は受注しなくても素材さえ納めれば報酬はもらえる
受注しないデメリットとしてはクリア回数に反映されないだけだ

しかし薬草採取は受注しないと報酬がもらえない
だから毎朝きちんと依頼を受注するようにしている

そもそも薬草採取は質によって報酬が異なる
そして俺は鑑定Lv.2のおかげで質が分かるようになった
だから下手に魔物を討伐よりも稼げるようになってしまった

これが毎朝、【薬草採取】を依頼し続けている理由だ


そして今日も薬草採取をこなしていたのだが......
日々薬草を採取していくうちに、良質の薬草でないと我慢できない体になってしまっていたようだ
毎日受注しているので、町の近場の森は既に刈りつくしてしまっている

そうなると良質の薬草を求めて遠出をすることになったのだが......

当然、いつもより宿屋に戻る時間が遅くなってしまった

いつもは6~7時には宿屋に戻る様にしている
アテナがそのぐらいの時間に起きるからだ

しかしギルドに設置されている時計を見ると、時間は7時半
恐らくアテナが起きてる可能性が高い


「やばいな。アテナ起きてるかも......」

(アテナを1人にしておくと、なにしでかすか分からないからな。不安だ。不安すぎる......神様!ニケ様!どうかあの駄女神が余計なことをしていませんように!)

そんなことを考えながら、俺はアテナが待つ宿屋へと急いだ

□□□□

宿屋に着いた
しかし妙だ。カウンターに人の気配がない

(この時間ならいつもおばちゃんがいるはずなんだがな......)

俺は不思議に思いつつも、自分の部屋へと向かった

俺の部屋に近付くにつれ、だんだんと騒がしくなる
しかもよく見ると俺の部屋の前に人だかりが出来ていた
おばちゃんもそこにいた。ただ困った顔をしている

アテナがまた何かしでかしたに違いない

(......本当あの駄女神はなにか騒ぎを起こさないと気が済まないのか!)

そう思いながら部屋の前に近付くと、

〔あっ。彼氏さん、やっと戻ってきたのかい。彼女さんが......〕

俺の存在に気がついたおばちゃんが話しかけきた

「彼氏じゃないですし、アテナは彼女じゃないですから......」

やれやれ、おばちゃんには困ったものだ
何度言っても信じてくれない

(俺はニケさん一筋だ!こんな駄女神いらん!)

うんざりした気持ちで部屋の中を伺った

『うわああああああああああん(´;ω;`)歩ううううううう!歩どごおおおおおおお!歩どごおおおおおおお!』

「おおぅ......」

正直、予想外の展開で驚いた

確かにこれまでアテナから離れたことは一度もなかった
例え少しの間、俺が側にいなくても大丈夫だと思っていた
むしろ俺が側にいないと、何かしら問題を引き起こすんじゃないかとさえ心配していたほどだ

しかし蓋を開けてみれば......

「アテナ。遅くなって悪い」
『うわあああああああああん(´;ω;`)......ぐすっ。あ、歩?』
「おぅ!歩さんだ!」
『あ、あ、歩ううううううう!どごいっでだのおおおおおお!』

アテナが顔をぐしゃぐしゃにして、俺の胸に飛び込んできた

そして、

『ばかばかばかっー!ばかばかばかあぁー!歩のばかっー!ばかっー!ばかあぁー!なんで私に内緒でいなくなるのー!」

感情を爆発させるかのように、胸板をぽかぽかと叩いてきた

『私、起きたら歩がいなくって本当に不安だったんだよー!すごく……すっごく不安だったんだよー!!」
「そうなのか…...」

俺の心が、ほっこりと温かくなった
この一週間で、随分とアテナに頼りにされていたらしい

こいつはバカな駄女神だけど、それゆえに嘘がない
不安だったということは、それだけ本当に不安だったのだろう

(こいつのこと、もうちょっと大切にしてやるべきかもな。普通に顔は可愛いし、胸も大きいし)

俺はそんな風に思い、アテナを抱きしめようとした

しかし、

『本当に心配だったんだよー!もしも歩がいなくなっちゃったら、私は誰に養ってもらえばいいのかってー!」

「・・・」

俺はアテナのほっぺたをつねった

「ふえーーーーーーーーーーーーーーーーん(´;ω;`)」

前言撤回!

そうだよ。そうだよな。これがアテナだよな!
俺の純粋な気持ちを返せ!


『ふえぇ、痛いよー!痛いけど、でもよかった……にへへー』

駄女神は目尻の涙を人差し指でぬぐいながらもいつものにぱー☆
顔は涙や鼻水でぐしゃぐしゃだが、いつもの可愛らしい笑顔がそこにあった

「・・・」

もう本当に、手のひらを返してしまいそうになる


『ねぇー歩~?もう黙っていなくなったりしないー?』
「安心しろ。もう黙っていなくなったりしないから」
『本当に本当ー?』
「本当に本当」
『本当に本当に本当ー?』
「本当に本当に本当」
『本当に本当に本当に本当ー?』
「しつけえな!とりあえず顔を拭け!きたねえな!」

そう言って、俺はポケットからハンカチを取り出そうとしたら......

───ブーッ!!

と、ひと際下品な鼻かみ音が聞こえてきた

「・・・」
『ねぇー!ねぇー!綺麗になったー?にへへー』

アテナがいつものように、にぱー☆と見上げてきた

いつもならほっこりする笑顔なのだが、今はそんな気分になれない
だって、アテナの顔の高さと同じ位置にある俺の服には、

ちっとも嬉しくない美少女アテナの涙と鼻水の跡......

(こんなお約束展開いらねええええええ!!)

俺は当然のようにアテナの頬をつねった

『ふえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!』

駄女神は、結局、駄女神だった


......それでもなるべくアテナの側にはいてやるか


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『アテナ』 レベル:2 危険度:極小

種族:女神
年齢:ーーー
性別:♀

女神ポイント:20

【一言】いなくなるなら扶養先決めてよねー!.....あっ。冗談だからねー!?本当だよー!?
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アユムの所持金:180000ルクア
冒険者のランク:C(クリア回数:1回)

このお話の歩数:約10055歩
ここまでの歩数:約160185歩
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『アユム・マイニチ』 レベル:565【↑18】

種族:人間
年齢:26
性別:♂

職業:凡人
称号:女神の付き人

体力:575(+565)【↑18】
魔力:565(+565)【↑18】
筋力:570(+565)【↑18】
耐久:570(+565)【↑18】
敏捷:625(+565)【↑18】

技能:言語理解/ステータス/鑑定Lv.2/浄化魔法Lv.2
   剣術Lv.2/体術Lv.2/索敵Lv.2/治癒魔法Lv.2
   感知Lv.2/隠密Lv.2/偽造Lv.2
   初級火魔法Lv.1/初級水魔法Lv.1
   初級風魔法Lv.1/初級光魔法Lv.1
   状態異常耐性Lv.2

固有:ウォーキングLv.565 38/566
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