歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ

第1歩目 はじめてのレベルアップ!

────ちゅんちゅん
────ミーンミーン
────キリリキリリ

(う、う~ん。小鳥の囀り?セミの鳴き声?なんだかよくわからない虫の鳴き声?.....あぁ、そうか。さっきまでみていたのは夢か。そうだよな.....現実世界に異世界とか女神とかあるわけないよな。そうだよ.....でもニケさんに会えないのはちょっと悲しいな。ハァ....それにしてもやけに体が重いな?)

そこで俺の意識は覚醒していき、ようやく目を開くことにした

『すぅ・・・すぅ・・・』
「・・・」

俺の目の前、というか俺の体の上で気持ちよさそうに寝ている美少女がいる
俺はこいつを知っている気がする。確かアテナとかいう女神だ

(ゆ、夢じゃなかったのか.....)

まぁ夢じゃなかったのはいい。別に構わない

『えへへー。むにゃむにゃ。おかわりー』
「・・・」

女神のくせになんともまぁ平凡な夢を見ている。それも別に構わない

ただ許せないことがある.....

「涎垂らしていつまでも寝てんじゃねぇ!汚ねぇえな!」

汚く涎を垂らされていたのでそのままアテナの体を払いのけた

『ぎゃふ!?』

アテナは地面の上を転がりながら、女神というか女の子が出しちゃいけない声を出していた

(おいおい。女神らしからぬ声で哭いたな?今。それにしてもこいつ本当に女神か?ニケさんみたいなおしとやかな品性の欠片も全くないぞ?)

『痛いー。せっかく気持ちよく寝てたのにー』
「まず人の上で寝るな。そして涎を垂らすな」
『だってー眠むかったんだもーん。それに歩、全然起きないしー?』

どうやらアテナは俺を起こそうとしていてくれたらしい
なんだ意外といいやつだな。少しは見直した

そんなことを思っていたら.....

『それにー私抱き枕ないと寝れないんだよねー』
「誰が抱き枕だ!ふざけんな!」

前言撤回!こいつ絶対俺を起こそうとしていなかった!
俺を抱き枕代わりにしていただけだ!

イラついたのでアテナの頬を引っ張った

『ふえ~~~ん。ふぅふぁひっては~!(ふえ~~~ん。痛いってば~!)』

とりあえずバカの相手は置いといて状況の確認をしないと.....俺は周りを見渡した
森の中.....だろうか?どうにも見慣れない森だ

『ちょっとー。痛かったんだけどー?謝ってくれるー?』

.....どうやら異世界にきたのは間違いないようだ

────どきどきっ

年甲斐もなく心がときめいている

俺はついに異世界にやってきたんだ!
これから心躍る冒険が俺を待っているに違いない!

『ねぇー?聞いてるー?痛かったんですけどー?』

よし早速ステータスを確認しよう
確かニケさんが言うにはチートがもらえてるはずだ
ここは定番のあれかな?でもちょっと恥ずかしいな.....

「ステータスオープン!」

────ちゅんちゅん
────ミーンミーン
────キリリキリリ

『ぷー( ´∀` )歩、はっずかしー!』
「・・・」

俺は無言でアテナの頬を引っ張った

『ふえ~~~ん。ふぁんへ?ふぁんへ?ふぅほぉくない?ふぅはぁひぃふぁんひもひぇへはいー!(ふえ~~~ん。なんで?なんで?ひどくない?私なんにもしてないー!)』

アテナは涙目で頬をさすりながら俺を睨んできている

お互い様だ。こちらも恥ずかしい目に合ったんだからな!
とりあえずどういうことか確認しないとな.....

「アテナ。どうやったら俺のステータスを確認できるんだ?」
『ふーんだ。歩、意地悪だから教えてあげなーい』
「・・・」

俺はアテナの頬を引っ張ろうと無言で1歩踏み出した

『う、うそうそー!今確認してあげるからちょっと待ってー』

その時.....

テレテレテッテッテ~

「.....へ?」
『どうしたのー?歩~?』
「いや?なんか今頭の中で変な音が聞こえたんだが???」
『変な音ー?んー?レベルアップしたとか?ちょっと確認してみるねー』

そう言ってアテナは何かを確認し始めた

『やっぱりー。歩のレベルが1上がってるねー』
「はぁ?どういうことだってばよ?」

(意味がわからん。俺はなにもしてないぞ?なのになんでレベルが上がった?)

『歩~。とりあえず次は2歩、歩いてみてー』
「はぁ?よくわからんが分かった」

そして俺はアテナに言われた通り2歩、歩いてみることにした

────1歩
────2歩

テレテレテッテッテ~

(はぁ???なんだこりゃ?)

また頭の中で変な音が聞こえた

『ねぇねぇー。変な音っての聞こえたー?』
「あ、あぁ聞こえた.....」
『やっぱりレベルアップ音だねー。試しに次は3歩、歩いてみてー』
「.....なんで少しずつ増えてんだよ?まぁいいか」

またもや俺はアテナに言われた通り、今度は3歩、歩いてみた

────1歩
────2歩
────3歩

テレテレテッテッテ~

「・・・」

(お、おい?まさかな?嘘だろ?)

『歩~?音は~?』
「.....聞こえた」
『じゃあーやっぱりそうだねー』
「な、なぁもしかして俺のチートって.....」
『うんー。歩くだけでレベルアップだねー』


どんなチートだよ!?歩くだけでレベルアップって!?

コメント

  • ノベルバユーザー237567

    し○わせのくつ

    1
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