ユメニッキ(短編集)

SAKIMAMA

LINE超能力


この国には、政府が認めた何人か本物の超能力者がいる

私もそのひとり。女子校生の私。

私の超能力は、「LINE超能力」

メッセージアプリLINEに関することなら何でも分かってしまう。
説明が難しいが、
赤の他人がLINEのやり取りをしたことが頭の中に入ってくるのだ。
政府に認められた超能力者の私は、家族にも、もちろん友達にも、超能力があることが知られている。

そして、命を狙われている。
まぁ 色々 情報の時代だから。






制服を着て学校へ行く。
スタイルが良くてマンガみたいな自分を鏡でずっと見てる。スカートはギリギリまで短くする。

車で送り迎え付き。
命を狙われてるから。

学校の門の前に車を停めて、辺りを見渡しながら車から降りる。ゆっくりゆっくり降りる。

学校に近づくに連れて頭の中に無数のLINEのトーク画面が駆け巡る。赤の他人のトーク画面。 

『あの子来たぞ』私の話題も上がってるっぽい。

...!!

なにかの気配。命を狙われてる気配。
私の護衛の為に国から派遣されたスーツの男の人達にかばわれながら車の陰に素早くしゃがむ。

......なにも起こらない

命を狙われてるっていうけど、実際なにかされたことはないから、なんだかよく分からない。






今日は友達とドライブ。
友達の運転で、橋の上から花火を見に行く。
細い一方通行の一本道に入った時、赤の他人のLINEのトーク画面が頭の中に流れ込む。

『あそこ通行止めだった〜泣』

おお。この先通行止めなのか。
まだまだ通行止めの看板も見えないぐらい先の道だが、
もう後ろからタクシーと軽自動車1台が来てる。
どのみちバックで戻るしかないし、車が増えてくるとめんどくさい。
それなら早く知らせて戻ったほうがいいよなぁ。


友達に、この先が通行止めであると告げる。
普通に信じて車を停める。

後ろのタクシーのおっちゃんに声をかける。

「この先通行止めなんで戻ってくださいー」


私の顔を見て、なんの疑いもなく頷くおっちゃん。
あ、国が認めた超能力者だからみんな私のこと知ってるんだ。
こういう時にこの超能力って便利だなぁと思う。








目が覚めた。結局楽しみにしてた花火は見れず、
スタイル抜群で髪が長いマンガに出てくるような私は、
すっぴんで千鳥柄のパジャマにボサボサ頭の私に戻っておりましたとさ。


おしまい




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