手違いダンジョンマスター~虐げられた魔物達の楽園を作りたいと思います~
開戦! ホブゴブリンVSオーク
「皆、準備は良いか?」
「この日のために森中に罠と言う罠は仕掛けた」
「配置も覚えました」
「作戦の内容の確認も怠ってない」
ホブゴブリン領地にて集まった大人のホブゴブリン達は最後の確認をしていた。
「この戦いは俺達とオーク族の戦いでもあるが重要なのはそこじゃないのは分かっているな?」
「勿論だ、元ゴブリンの縄張りで現俺達の主であるマスターの縄張りに容赦なく喧嘩を売ったこど後悔させなきゃならねぇ」
「そしてこれはマスター曰く、ダンジョン最初の戦いだ。敗北は認められねぇ……やるぞ!」
「「「おおぉぉぉぉぉ!」」」
と言う風に士気を上げている。
そう言う俺は絶賛三角座りでそんな場面を見ていた。
なんだよダンジョンの戦いって、そういうつもりで組んだ訳じゃないのに……。
おかしいな、元々はストレス発散の一環でオークを巻き込んでみただけで、この遊びを通して仲良くしてくれると嬉しいなーなんて思って企画した。
まぁ、それでも両種族のしがらみみたいな物もオークの食料事情も解決する訳じゃないけど。
一応俺もホブゴブリンがどのくらい他に通用するのかを見る良い機会だったし、その見極めは真剣にやっているつもりだ。
だが、気持ちの大体はお遊び気分な俺と彼らの熱量の差が凄まじい。
うーむ、これは俺もお遊びではいられないかもしれない。
あとホブゴブリンどもよ、俺はいつから君らの主になった。
この事は後で問い詰めるとして、ホブゴブリンの士気は上々だな。
「主君、どこかへ出掛けるの?」
「あぁ、次はオーク達の所だ」
◇◇◇
今回俺はあくまでも中立でありどちらかに肩入れをしてはいけないのだ。
ならばホブゴブリンの準備を見たらオークも様子を見に行くのは当然だな。
「良いでごわすか、相手は進化したとは言えども元ゴブリンとるに足らないでごわす。ワテらの力で圧勝するでごわすよ!」
「「「おおぉぉぉぉぉ!」」」
こちらも士気事態は高い様だ。
問題は何の策も無しに突っ込んでくるであろうと言うことだ。
これも経験なので存分に負けてしまうが良い。
おっと、肩入れは良くないな。中立中立。
何はともあれ双方やる気満々なので、あとは若い子達でやってもらうとしよう。
俺も判定を下さなければならないので、どこかで見守る必要があるんだけど。
◇◇◇
さて開戦まで残り数十分と言う所だが、コスケからの質問が1つ。
「どうやって勝敗を決めるんだよ?」
確かにその通りだ。
ダンジョンの中での戦闘ならばマスタールームでモニターを使ってすべてを見渡す事が可能だ。
だがダンジョンの外でなら話は別だ、ダンジョンマスターとしての機能は一切使えない。
ダンジョンマスターってこう言うとき不便なんだよなぁ。
ダンジョンと言うフィールド限定な所があるし、外では俺はただの雑魚だ……ダンジョンの中でも余り変わらないな。どっち道俺は雑魚である。
オークとホブゴブリン達の戦闘エリアの真ん中に居たとしてもここは森だ、端から端まで見渡せる訳がないのだ。
だがしかーし、俺もその辺の考慮して最初から考えていたのだ。
「策なら既にある、おーい!」
適当な所に向かって叫ぶと、それはすぐにやって来た。
「どうした旦那、新しい指示か?」
「うっはー、ご主人様ー! お呼びですか!」
やって来たのは黒色のスライムと桃色のスライム、サスケとサイゾウだ。
「今回はこの二人にそれぞれ散ってもらって判定するつもりだ」
「あー、なるほどだよ」
サスケとサイゾウにはそれぞれホブゴブリン側とオーク側の旗まで言ってもらい、どちら側かが旗を取り次第俺の居る地点まで戻ってもらい報告、そこで戦闘終了とするつもりだ。
もしくは何らかの音爆弾的な物を用意すれば良い、あれだ運動会で使う変なピストル。
それを考えたのは良いが、スライムに手は無いので断念した。
人形であるウノーサノー、ミストにラビィを使う手もあったがウノーは確りとやるかも知れないが後者3人は絶対やらない、何となく結末が見えるもの。
と言うわけで多少誤差が出てくる可能性もあるが、古典的なスライム情報局に任せる事にした。
「頼んだぞサスケ、サイゾウ」
「勿論だ、旦那の命令とあらば」
「当然与えられたお仕事は完璧にやりますとも!」
皆意気揚々で何よりだ。
◇◇◇
そして俺は護衛であるコスケと共にホブゴブリン領地とオーク領地の大体真ん中辺りで、戦いに巻き込まれない程度の場所で待機している。
なぜ真ん中かと言うと、審判を努めているサスケとサイゾウがやって来やすい様にだ。
ダンジョンの中で待つとホブゴブリン領地の中になるので、ホブゴブリン達が先にオーク側から旗を取りサスケが報告に来る前に少し遅れてオーク側が旗をとってサイゾウが報告に来る方が早くなってしまう。
これだと俺が審議出来なくなるので、もうすぐ夏本番の蒸し暑い森の中で汗水足らして待機しているのだ。
実際には日差しは遮られていて涼しい風が適度に入って来るんだけど。
「主君、そろそろ時間だよ」
「おっけー、ではではこれよりホブゴブリン対オークの『旗取り』を開始する。双方、悔いのない様全力を尽くせ! 開幕!」
そして運動会で使うあのピストルをパーン! これ、1度やって見たかったんだよな。
因みに俺の開幕の挨拶はコスケしか聞いていない模様。
ピストルを鳴らした直後、左右から雄叫びが広がり、地面が揺れる。
戦いが始まった。
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