劣等魔術師の下剋上 普通科の異端児は魔術科の魔術競技大会に殴り込むようです
13 ランチタイム・ガールズサイド in普通科 後編
「ところで一つ聞いておきたい事があるのだが、聞いてもいいか?」
先程の話の後、適当な雑談を交わしていた所で白川がそんな事を聞いてきた。
「まあ名に聞かれるかにもよりますねー。とりあえずどうぞ」
「うむ。では聞こうか」
渚に促された白川は渚に問いかける。
「朝一緒に登校してきたりとなにやら随分と仲が良さそうだが……赤坂とはどういう関係だ?」
「友達ですよ」
二つ返事で渚はそう答え、逆に白川に問う。
「まさか少し仲良くしてるだけで付き合ってるとでも思いましたか? もしかして白川さんは何でも恋愛に結びつけちゃう恋愛脳な馬鹿野郎ですか?」
「うむ」
「……え、あ? 冗談のつもりだったんですけど認めるんですか?」
「認めるとも。まあ私が何でもそう認識するというよりは、無理矢理にでもそういう風に結びつけたがるだけなのだがな。面白いぞ、人の恋愛に首を突っ込むのは」
「うわぁ……」
それは考えられる限り最悪の趣味である。そしてそれはもう別に恋愛脳とかそういう類の物ではない。
思わず渚は苦笑いを浮かべてから言う。
「まあとにかく私と赤坂さんはただの友達ですよ」
「ほう、なら私が貰ってもいいな」
「……へ?」
突然出てきたあまりにも斜め上に突き抜けていくような発言に、思わずそんな声が漏れて目が点になる。
「い、いきなり何言ってるんですか!?」
「別におかしい事ではないだろう。此処だけの話だがな、赤坂アイツ控えめに言ってイケメンだぞ。控えめに言ってだ。別に狙うのはおかしい事ではあるまい」
「……い、いや、でも……」
「……まあ冗談だが」
「じょ、冗談ですか……」
それを聞いて思わず安心した様に軽く息を付く。
……そう、安心した様に。
それを見た白川はニヤリと悪い笑みを浮かべる。
「ん? おかしいな……さっきから妙に焦ってるし、今の安心しきった表情……これはアレだ。一見クールにそういう色恋沙汰に興味無さそうに見えて、実は内心凄く乙女だな。取られるのが心配だったか。そうかそうか」
「ち、違いますよ!」
弱みに付け込むようにそんな事を言いだした白川に渚は弁解する。
「た、確かに赤坂さんはまあ、見た眼そこそこカッコいいですよ。勉強だってできるし運動だってできるし努力家ですし優しいですしノリだっていいですよ。でも無鉄砲だし結構自己犠牲で動こうとするし心配ばかり掛けさせますし、それに食べなくていいって言ってるのに失敗した料理食べちゃう様な人ですし……そんな赤坂さんに私がそういう感情を向けているとでも!?」
「……いやそれどう考えても向けているだろう」
「む、向けてないですよ! そしてこれからも向けません! 反らします!」
「……無理に舵取らないと向いちゃうというのはもう向いてるのと同じだと思うのだが。今もこれからもずっと向いてる気がするのだが……」
少し呆れた様に白川がそう言うと、渚は最序盤だけ見せていたポーカーフェイスを若干崩して顔をやや赤らめながら言う。
「ま、まあ、仮に私がそういう感情を向けていたとしても! 仮の話ですよ仮の話!」
「はいはい、仮の話仮の話。で、向けていたとしたらなに」
そしてその問いに対し、少しだけ冷静になったのか……もしくはこれから言おうとしている事にどこか冷めたのか、再びある程度の落ち着きを取り戻してから渚は言う。
「……そういう関係にはなりませんよ。なるつもりはありません。多分友達のままでいる選択をするでしょうね」
そう言って渚は今現在似たような話題でイジられている従妹の顔を脳裏に浮かべながら言う。
「流石にあの子からこれ以上奪えませんよ。他の誰かならいいですけど、あの子から奪うのは駄目なんです」
篠宮渚は篠宮美月が欲しかった物を何でも持っていて。きっとそのいくつかは本来美月が与えられる筈の物だったと思う。
……そんな美月から赤坂は奪えない。これ以上美月の大切な物は奪えない。
「あの子……良く分からんが、もうそういう相手がいるのか赤坂には。彼女持ちかあの野郎」
「いえ、まあそういう仲にはお互い奥手すぎてどうにも進まないんですけどね……まあそうさせたいとは思ってます。だからそういう意味では私はあなたと同じですよ。人の恋愛に首を突っ込んでるんです」
「……自分の恋愛を棚に上げてか?」
「ええ。まあ私の恋愛云々はあくまで仮の話ですけど」
「……そっか」
そう言った白川はお茶を一口飲んでから言う。
「……略奪愛とかに興味は?」
「ありますよ。でもそれ、本当に洒落になんないですから」
そう言って渚もお茶を一口飲む。
そしてペットボトルのキャップを絞めながら白川に言う。
「まあとにかく私と赤坂さんは今もこれからも友達ですよ。そしてあの、一応お願いなんですけどね……今した話は他言無用でお願いします」
「……分かってる。人の恋愛に首を突っ込むのが趣味ではあるが、そこまでどうしようもない人間になったつもりはない」
そう言って一拍明けてから白川は渚に言う。
「まあ篠宮にとって納得のいく展開になる事を願ってるよ。なんならアシストを手伝ってもいい」
「なら必要なら協力してもらいますか……っと、あと私の事は渚でいいですよ。魔術科の従妹が……赤坂さんの隣りにいないといけない子も篠宮ですから」
「なるほど……分かったよ渚。だったら私の事も葵って呼んでくれ」
「じゃあ改めて、今後ともよろしくお願いします葵さん」
「うむ」
そうして。色々な思いを胸の内に秘めて。
赤坂と渚をくっつける為のアシストペアが誕生した。
……その片割が、どっちをどうアシストするかは謎ではあるが。
先程の話の後、適当な雑談を交わしていた所で白川がそんな事を聞いてきた。
「まあ名に聞かれるかにもよりますねー。とりあえずどうぞ」
「うむ。では聞こうか」
渚に促された白川は渚に問いかける。
「朝一緒に登校してきたりとなにやら随分と仲が良さそうだが……赤坂とはどういう関係だ?」
「友達ですよ」
二つ返事で渚はそう答え、逆に白川に問う。
「まさか少し仲良くしてるだけで付き合ってるとでも思いましたか? もしかして白川さんは何でも恋愛に結びつけちゃう恋愛脳な馬鹿野郎ですか?」
「うむ」
「……え、あ? 冗談のつもりだったんですけど認めるんですか?」
「認めるとも。まあ私が何でもそう認識するというよりは、無理矢理にでもそういう風に結びつけたがるだけなのだがな。面白いぞ、人の恋愛に首を突っ込むのは」
「うわぁ……」
それは考えられる限り最悪の趣味である。そしてそれはもう別に恋愛脳とかそういう類の物ではない。
思わず渚は苦笑いを浮かべてから言う。
「まあとにかく私と赤坂さんはただの友達ですよ」
「ほう、なら私が貰ってもいいな」
「……へ?」
突然出てきたあまりにも斜め上に突き抜けていくような発言に、思わずそんな声が漏れて目が点になる。
「い、いきなり何言ってるんですか!?」
「別におかしい事ではないだろう。此処だけの話だがな、赤坂アイツ控えめに言ってイケメンだぞ。控えめに言ってだ。別に狙うのはおかしい事ではあるまい」
「……い、いや、でも……」
「……まあ冗談だが」
「じょ、冗談ですか……」
それを聞いて思わず安心した様に軽く息を付く。
……そう、安心した様に。
それを見た白川はニヤリと悪い笑みを浮かべる。
「ん? おかしいな……さっきから妙に焦ってるし、今の安心しきった表情……これはアレだ。一見クールにそういう色恋沙汰に興味無さそうに見えて、実は内心凄く乙女だな。取られるのが心配だったか。そうかそうか」
「ち、違いますよ!」
弱みに付け込むようにそんな事を言いだした白川に渚は弁解する。
「た、確かに赤坂さんはまあ、見た眼そこそこカッコいいですよ。勉強だってできるし運動だってできるし努力家ですし優しいですしノリだっていいですよ。でも無鉄砲だし結構自己犠牲で動こうとするし心配ばかり掛けさせますし、それに食べなくていいって言ってるのに失敗した料理食べちゃう様な人ですし……そんな赤坂さんに私がそういう感情を向けているとでも!?」
「……いやそれどう考えても向けているだろう」
「む、向けてないですよ! そしてこれからも向けません! 反らします!」
「……無理に舵取らないと向いちゃうというのはもう向いてるのと同じだと思うのだが。今もこれからもずっと向いてる気がするのだが……」
少し呆れた様に白川がそう言うと、渚は最序盤だけ見せていたポーカーフェイスを若干崩して顔をやや赤らめながら言う。
「ま、まあ、仮に私がそういう感情を向けていたとしても! 仮の話ですよ仮の話!」
「はいはい、仮の話仮の話。で、向けていたとしたらなに」
そしてその問いに対し、少しだけ冷静になったのか……もしくはこれから言おうとしている事にどこか冷めたのか、再びある程度の落ち着きを取り戻してから渚は言う。
「……そういう関係にはなりませんよ。なるつもりはありません。多分友達のままでいる選択をするでしょうね」
そう言って渚は今現在似たような話題でイジられている従妹の顔を脳裏に浮かべながら言う。
「流石にあの子からこれ以上奪えませんよ。他の誰かならいいですけど、あの子から奪うのは駄目なんです」
篠宮渚は篠宮美月が欲しかった物を何でも持っていて。きっとそのいくつかは本来美月が与えられる筈の物だったと思う。
……そんな美月から赤坂は奪えない。これ以上美月の大切な物は奪えない。
「あの子……良く分からんが、もうそういう相手がいるのか赤坂には。彼女持ちかあの野郎」
「いえ、まあそういう仲にはお互い奥手すぎてどうにも進まないんですけどね……まあそうさせたいとは思ってます。だからそういう意味では私はあなたと同じですよ。人の恋愛に首を突っ込んでるんです」
「……自分の恋愛を棚に上げてか?」
「ええ。まあ私の恋愛云々はあくまで仮の話ですけど」
「……そっか」
そう言った白川はお茶を一口飲んでから言う。
「……略奪愛とかに興味は?」
「ありますよ。でもそれ、本当に洒落になんないですから」
そう言って渚もお茶を一口飲む。
そしてペットボトルのキャップを絞めながら白川に言う。
「まあとにかく私と赤坂さんは今もこれからも友達ですよ。そしてあの、一応お願いなんですけどね……今した話は他言無用でお願いします」
「……分かってる。人の恋愛に首を突っ込むのが趣味ではあるが、そこまでどうしようもない人間になったつもりはない」
そう言って一拍明けてから白川は渚に言う。
「まあ篠宮にとって納得のいく展開になる事を願ってるよ。なんならアシストを手伝ってもいい」
「なら必要なら協力してもらいますか……っと、あと私の事は渚でいいですよ。魔術科の従妹が……赤坂さんの隣りにいないといけない子も篠宮ですから」
「なるほど……分かったよ渚。だったら私の事も葵って呼んでくれ」
「じゃあ改めて、今後ともよろしくお願いします葵さん」
「うむ」
そうして。色々な思いを胸の内に秘めて。
赤坂と渚をくっつける為のアシストペアが誕生した。
……その片割が、どっちをどうアシストするかは謎ではあるが。
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