劣等魔術師の下剋上 普通科の異端児は魔術科の魔術競技大会に殴り込むようです
18 開戦
「さて、その前にとりあえずルールの確認だけしておこうか」
暁は体を軽くストレッチしながらこの勝負のルールの確認を始める。
「さっきも言ったけど基本的には団体戦で戦う時の環境を再現しよう。つまりフィールドは無機質な何もない空間ではなく団体戦で使われるフィールドを使う。それでいいかい?」
「ああ、それでいい」
赤坂はそれを承認する。
団体戦のフィールド。それは昨日の決闘で使われた様な個人戦のフィールドとは全く違う。
団体戦では実際の街並みや巨大な建物内など、現実にあるような空間を再現したステージを仮想空間で再現して行われる。
そのフィールドでチームメイトと連携を取りつつ同時に何チームも相手に戦うのが団体戦だ。
……だが今から行われるのは個人戦。
故に同じフィールドでも戦い方はうってかわってくる。
そして同じく、同じ個人戦でも昨日の何もない競技場のフィールドとこれから戦うフィールドでも戦い方が違ってくる。
遮蔽物がある。斜面だってある。建物が破壊されればそれ相応の影響だってある。
もし街中で誰かと一対一で殺し合う様な状況になったら。
そのもしもの再現が、この団体戦用フィールドでの個人戦。
痛みがない。命を失わない。その点を除けばおそらく最も現実に近い戦い。
将来的に赤坂隆弘が戦える様になりたい戦場の一つ。
「で、勝利条件はどうする。一勝したらそれで終わりか?」
「いや、とりあえず五試合やろうか。より多く勝った方の勝ちという事でいいだろう」
そして暁は言う。
「一度の負けで納得されなくても困る」
「……だな」
現実の戦いに二度目はない。
だけど実際実力は一度では証明しきれない。
例えば10回戦って9回勝てる魔術師が、一度しかない戦いでその負ける一回を引いてしまったからといって、対戦相手の方が強かったのかと言われれば微妙な所だ。
勝ったほうが強い。それは当然の事だろうけど。
……それに納得できない者もいる。
もっとも赤坂は別に思わないし、暁もそうは思っていないかもしれないが、それでもそう思う相手だっている事は間違いない。
だったら。そう思われないように。二度も三度も捻じ伏せればいい。
そこに一度の負けがあった所で、どう考えたって勝者は。強いのがどちらかは明白になる。
それ故の五本勝負。
確実に正確な結果が出る、そんな戦い。
そして暁は相変わらずの好戦的な視線を赤坂に向けて言う。
「それじゃあ改めて始めようか。俺の力をキミに見せつけよう」
「ああ、だったら見せてみろよ」
暁の挑発的な言葉に、赤坂も好戦的な視線を向けて言い放つ。
「代わりに俺だって見せてやる。お前が何考えてんのかは分からねえけど、俺も俺の全力をお前にぶつけてやる。無視できねえ程に喰らいつけるって事を証明してやるよ」
そして次の瞬間、転送開始のカウントダウンが始まった。
二人は互いに好戦的な視線をぶつけあって、最後に一言ずつぶつける。
「ああ、やってみろよ。やれるものならな」
「上等」
そして普通科の異端児と世界四位の男はフィールドへと転送される。
「……さて」
そして、三階建ての建物の屋上へと赤坂は転送された。
軽く周囲を見渡す。
戦闘フィールドとして用意された町は言ってしまえば箱庭だ。まともに戦いになる様な距離までしか存在せず、その周囲は大きな壁で覆われている。
このフィールドの広さはというと半径2キロメートルといった所だろうか。
このフィールドの何処かに暁がいる。
これから戦うべき相手がいる。
「動くか」
そして赤坂は拳を握り、屋上から飛び降りる。
……戦いは始まった。
そもそも戦いとして成立するかどうかも分からない様な戦いが。
暁は体を軽くストレッチしながらこの勝負のルールの確認を始める。
「さっきも言ったけど基本的には団体戦で戦う時の環境を再現しよう。つまりフィールドは無機質な何もない空間ではなく団体戦で使われるフィールドを使う。それでいいかい?」
「ああ、それでいい」
赤坂はそれを承認する。
団体戦のフィールド。それは昨日の決闘で使われた様な個人戦のフィールドとは全く違う。
団体戦では実際の街並みや巨大な建物内など、現実にあるような空間を再現したステージを仮想空間で再現して行われる。
そのフィールドでチームメイトと連携を取りつつ同時に何チームも相手に戦うのが団体戦だ。
……だが今から行われるのは個人戦。
故に同じフィールドでも戦い方はうってかわってくる。
そして同じく、同じ個人戦でも昨日の何もない競技場のフィールドとこれから戦うフィールドでも戦い方が違ってくる。
遮蔽物がある。斜面だってある。建物が破壊されればそれ相応の影響だってある。
もし街中で誰かと一対一で殺し合う様な状況になったら。
そのもしもの再現が、この団体戦用フィールドでの個人戦。
痛みがない。命を失わない。その点を除けばおそらく最も現実に近い戦い。
将来的に赤坂隆弘が戦える様になりたい戦場の一つ。
「で、勝利条件はどうする。一勝したらそれで終わりか?」
「いや、とりあえず五試合やろうか。より多く勝った方の勝ちという事でいいだろう」
そして暁は言う。
「一度の負けで納得されなくても困る」
「……だな」
現実の戦いに二度目はない。
だけど実際実力は一度では証明しきれない。
例えば10回戦って9回勝てる魔術師が、一度しかない戦いでその負ける一回を引いてしまったからといって、対戦相手の方が強かったのかと言われれば微妙な所だ。
勝ったほうが強い。それは当然の事だろうけど。
……それに納得できない者もいる。
もっとも赤坂は別に思わないし、暁もそうは思っていないかもしれないが、それでもそう思う相手だっている事は間違いない。
だったら。そう思われないように。二度も三度も捻じ伏せればいい。
そこに一度の負けがあった所で、どう考えたって勝者は。強いのがどちらかは明白になる。
それ故の五本勝負。
確実に正確な結果が出る、そんな戦い。
そして暁は相変わらずの好戦的な視線を赤坂に向けて言う。
「それじゃあ改めて始めようか。俺の力をキミに見せつけよう」
「ああ、だったら見せてみろよ」
暁の挑発的な言葉に、赤坂も好戦的な視線を向けて言い放つ。
「代わりに俺だって見せてやる。お前が何考えてんのかは分からねえけど、俺も俺の全力をお前にぶつけてやる。無視できねえ程に喰らいつけるって事を証明してやるよ」
そして次の瞬間、転送開始のカウントダウンが始まった。
二人は互いに好戦的な視線をぶつけあって、最後に一言ずつぶつける。
「ああ、やってみろよ。やれるものならな」
「上等」
そして普通科の異端児と世界四位の男はフィールドへと転送される。
「……さて」
そして、三階建ての建物の屋上へと赤坂は転送された。
軽く周囲を見渡す。
戦闘フィールドとして用意された町は言ってしまえば箱庭だ。まともに戦いになる様な距離までしか存在せず、その周囲は大きな壁で覆われている。
このフィールドの広さはというと半径2キロメートルといった所だろうか。
このフィールドの何処かに暁がいる。
これから戦うべき相手がいる。
「動くか」
そして赤坂は拳を握り、屋上から飛び降りる。
……戦いは始まった。
そもそも戦いとして成立するかどうかも分からない様な戦いが。
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