とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

2人の能力















「またゆき姉がめちゃくちゃやったのか…」

僕は花実を連れて逃げ回りながら呟く。

「ちょ、晴樹、戦うんじゃないの?」

僕に引っ張られながら走る花実が僕に尋ねる。

「たぶん僕達が戦う必要はないよ。たぶんもう少しで来るし」

「来るって何が来るのよ…」

「とりあえず僕達はしばらく信一先輩と信二先輩を引きつけておけばいい、なるべく能力を使わずにっていうのが理想だけど…」

「さすがにそれは無理ね…私の運だけじゃあれは防げないわよ」

花実は宙に浮かぶ大量の瓦礫を見て言う。信一先輩の仕業だ。

「最初の砲撃は志穂先輩を潰すためだと思ってたけど…まさかこっちがメインだとは思わなかったな…」

信一先輩の能力は1キロ以下の物なら自由に操ることができる。宙に浮かせたり自分の好きな方向に飛ばしたりと操り方は様々だ。当然信一先輩の能力だけならそこまで恐るる必要はない。だが信二先輩の能力が加わるとかなり厄介だ。信二先輩の能力は重さの書き換え、10キロの物を1キロする。信二先輩が瓦礫を軽くし信一先輩が操る。そして信一先輩は一度操ってしまえば重さに関係なく操ることができる。

つまり信二先輩が5キロのものを1キロに変えて信一先輩がそれを操ったとしよう。信一先輩が操った直後に信二先輩が能力で重さを書き換えれば自由に動かせる5キロのラジコン鈍器が完成する。それも無数に…

最初の砲撃は信一先輩と信二先輩がより多くの鈍器を作るためのものだったのだ。この2人の能力は片方だけだと大したことないが合わさるとかなり厄介だ。今のところ判明していることが1つ、信二先輩の能力の制限、それは重さを変える際その物資本来の重さより重くはできない。

つまり5キロのものは5キロ以下にはできるが5キロ以上にはできない。信一先輩の制限は不明…

「あれ全部一気に投げられたらやばいな…」

すでに信一先輩と信二先輩は数百個に及ぶラジコン鈍器を作っていた。

「おい信二そろそろやっていいんじゃないか?」

「うん。十分溜まったしそろそろやろうか」

信二先輩はそう言いながら超巨大な岩を持ち上げて軽々と僕達目掛けて放り投げる。最初は緩やかに空高くまで飛んで行った超巨大な岩は空中で本来の重さを取り戻し僕達目掛けて急降下する。

先程の言葉を訂正しよう。信二先輩単体でもかなり厄介だ。

「花実、掴まれ」

僕は花実に手を差し出してテレポートの準備をする。

「なるほどね…大体わかった。晴樹と花実ちゃんは先に行って」

「やっぱり来たか…じゃあ任せたよ。ゆき姉」

だってキャッスルアウトが始まる前の当夜先輩の言葉を聞いてゆき姉2人と戦いたそうにしてたもん。巨大な氷の塊が城に落下した時点でゆき姉は次のターゲットを信一先輩と信二先輩に定めるだろうなぁと思った。そして宙を舞う無数の瓦礫を見たらゆき姉はこっちに来るとも思っていた。

「任された…」

ゆき姉はそう言いながら氷の柱を作り信二先輩が放り投げた岩をあっさりと破壊する。

「さっきの戦いでだいぶ調子出て来たから晴樹たちはやく離れた方がいいわよ」

片目が変色しているゆき姉を見て僕と花実は慌ててその場から立ち去り城に向かう。

「さて、とりあえず…」

ゆき姉はボソッと呟きながら信一先輩が操っていた瓦礫を全て1つの氷に閉じ込めた。ゆき姉パネエっすわ…過去にゆき姉も来てたらかなり戦いが楽だっただろうな…と思いながら僕は花実を連れて城に走っていた。














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