とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

爆裂姫と白雪姫














「待っていたぞ!我と同じSランクの能力保持者よ!我が名は暁凛、リンリン先輩とでも呼ぶが良い…」

…………なんか痛い人がいた…それがリンリン先輩と初めて出会った時の感想だった。僕は軽く会釈をしてその場から立ち去ろうとする。これ以上この人に関わりたくない…という思いが僕の体を勝手に動かした。

「おい!どこに行く?せっかく目の前にかわいい女の子がいるのに会釈をして立ち去るなんてもったいないとはおもわないか?」

そう言いながらリンリン先輩は僕の前まで走ってやってきて僕の道を塞いだ。ていうか自分で自分のことをかわいいっていうな……いや、リンリン先輩なら自分のことをかわいいと言っても許されるかもしれない…

実際にリンリン先輩はすごくかわいかった。高校生とはとても思えないほど小さな体、綺麗な短めの茶髪…完全なるロリである。

「………失礼します」

かわいいとはいえこの人には関わらない方がいいと悟った僕は慌ててその場を立ち去ろうとするがリンリン先輩は僕を通してくれない。

「せめて用件だけでも聞いてほしい、頼むから〜」

リンリン先輩が必死に僕の体にまとわりつきながら言う。

「………用件ってなんです?」

めんどくさいが一応用件とやらを聞いてみることにした。

「………同じSランクの能力保持者として少し興味があってな…最強の我が能力、メテオと君の能力のどちらが強いか気になってな…」

「…………失礼します」

めんどくさいと判断した僕はその場を立ち去ろうとした。

「ちょっ…お願いだから待って…放置しないで〜我が痛い子みたいになってしまうではないか!」

リンリン先輩が必死になって僕にまとわりついて言うが………おたく痛い子ですよね?僕はリンリン先輩にそう言おうとしたが心の中だけに留めておく。

「待てって言ってんだろうが!」

リンリン先輩はそう言いながら僕から離れて勢いよく僕にぶつかってくる。

「ちょっ…危ない…」

そう言いながら僕は地面に倒れた。そして僕にぶつかった時に態勢を崩したリンリン先輩が僕の上に倒れる。痛いです……

「……騒がしいと思ってきてみれば、昼休憩に堂々と何をしているの?」

突如現れた声に僕は驚愕する。聞き覚えのある声だった。

「………もしかしてゆき姉?」

「…晴樹?晴樹なの?」

やっぱり声の主はゆき姉みたいだ。白節雪、昔僕の家の近所に住んでいた幼馴染のお姉ちゃんだ。小さい頃からずっと一緒に遊んでもらったので僕はゆき姉のことを本当の兄弟のように思っていた。

「ゆき姉、久しぶり」

僕はリンリン先輩に押し倒されたままゆき姉に再会の挨拶をする。

「ええ、久しぶりね。それより晴樹…真昼間からこんなところで女の子とイチャイチャするなんていいご身分ね…」

やばい、ゆき姉怒ってる。ゆき姉は怒るとかなり怖い。ぶっちゃけ僕の両親より怒った時のゆき姉の方が怖いくらいだ。

「ゆき姉…これは誤解…誤解だから…」

ゆき姉は少しずつ僕に迫って来ていた。リンリン先輩はすでに僕から離れている。

「誤解ね…じゃあ、説明してくれる?」

地面に倒れこむ僕の頭を全力で踏みつけながら僕に尋ねる。一応僕の頭を踏みつける前に靴を脱いでくれてはいるがそれでもかなり痛い…

「なるほど、つまりそこの爆裂姫が原因ってことね…」

僕から事情を聞いたゆき姉が靴を履きながら呟く。さて、久しぶりにゆき姉と対面したわけだが…やばい、ゆき姉めっちゃかわいくなってる。昔みたいに綺麗な長めの白髪、きれいな白い肌、綺麗な水色の瞳…うん。すごく綺麗….

「ところでゆき姉、爆裂姫って?」

「その子の異名よ。爆発系のSランク能力をもつその子にはふさわしい異名だと思うわ」

ゆき姉はリンリン先輩を指さしながら言う。爆裂姫ってなんかカッコいいな…

「あと気になってたんだけどなんで日傘なんかさしてるの?」

「ああ、これね。私の能力に対する制限のせいで日に当たりすぎると体調を崩してしまうの…だから日傘」

なるほど、たしかに日傘をさしていれば日に当たる心配はあまりない…それにゆき姉が膝くらいまでの長めのスカートにタイツを履いているのもなるべく体に日が当たらないようにするためなのだろう。

「さて、久しぶりの再会はそこら辺にしておいて彼は今から私と用があるので連れてかせてもらうぞ、白雪姫様」

「白雪姫?」

「彼女の異名ですよ。爆裂姫と白雪姫、私達2人は校内ランキング上位を常に争うライバルなのです」

「校内ランキング?」

「晴樹は入学したばかりだから知らないでしょうね、そのうち説明があると思うけど校内リーグはバーチャルリアリティ空間で行われる模擬戦、私達はバーチャルリアリティ空間で能力ありの戦闘をして結果に応じてランキング付けされるの」

「なるほど、でも戦闘向けじゃない能力をもつ人もいるよね?」

花実とか花実とか花実とか…

「ランキング戦参加は自由なの、ランキング戦上位になると学校側からお小遣いがもらえたりいろいろな特権があるけど成績や進学に有利になるわけじゃないわ…」

ゆき姉が淡々と説明をしてくれたおかげでランキング戦の大体のシステムは理解できた。

「もちろん、君もランキング戦に参加しますよね?是非私とやりましょう!ぶっちゃけ白雪姫とばかり戦うのは飽きて来ましたから…」

どうやらゆき姉とリンリン先輩はランキング戦でかなりの回数戦っているみたいらしい。まあ、Sランク2人が無双するのは当たり前か…

「そろそろチャイムが鳴るから戻るわよ」

ゆき姉の一言でこの場は解散になった。



















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