とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

終戦















「楓…志穂…私から…離れて…はやく…私…これ以上人を傷つけたくない…」

楓先輩と志穂先輩に抱きしめられたティナちゃんは一瞬だけ正気に戻った。

「ティナちゃん…大丈夫だよ私たちが何とかしてあげるから…安心してていいんだよ」

志穂先輩はそう言いながらティナちゃんを強く抱きしめる。

「ティナちゃん、自分の破壊欲に負けちゃダメ…気を強く持って…大丈夫ティナちゃんは強い子だから…」

「志穂、楓…ごめんなさ…い……もう…限界……」

再びティナちゃんの暴走が始まった。ティナちゃんは再び周囲の血を操り自身に引っ付いている志穂先輩と楓先輩に狙いを定める。

「ティナちゃん…」

志穂先輩がティナちゃんに声をかけるが返事はない。ティナちゃんが志穂先輩と楓先輩に狙いを定めて血の弾丸を発射しようとした瞬間…ティナちゃんが操っていた大量の血が地面にこぼれ落ちた。そしてティナちゃんはその場に倒れこんだ。

「ティナちゃん、大丈夫?」

志穂先輩が慌ててティナちゃんのもとに向かう。楓先輩も慌ててティナちゃんの元に向かった。志穂先輩が必死にティナちゃんに声をかけるが返事はない…

「どうやら気を失っているみたいね…テレシアさん、ティナちゃん少し怪我しているみたいだからすぐに医者を呼んでもらえる?」

「わかりました。ですが医者をここに呼ぶよりもティナちゃんをアビリティア内の病院に連れて行ったほうが早いでしょう…」

「でも危険なんじゃ……」

「大丈夫です。戦争は終わりました私たちの勝ちです…」

テレシアさんが周囲の敵兵が能力を使えなくなっているのを見て言う。

「なるほど…だからティナちゃんの能力が…」

「ええ、アビリティアに所属する者以外の能力はたった今、失われましたから…」

テレシアさんの言う通り敵は誰一人として能力を使えなくなっていた。能力が使えなくなった敵兵はあっさりとアビリティアに降伏した。









「ミカさん…アシュリーさん…」

先程ミカさんとアシュリーさんが戦っていた部屋に入ったダイナの足が止まった。ダイナの後ろにいたビスタさんや百合子先輩たちも足を止めてじっとアシュリーさんを抱きしめるミカさんをみつめていた。

「ミカさん……」

「すみません、みなさん…お願いです。私とアシュリーだけにしてください…」

「わかりました…」

ビスタさんはミカさんにそう返事をしてアビリティアの兵士を連れて部屋を出た。

「先に進まなくてよかったんですか?」

「必要ありません。どうやら戦争は終わったみたいですから…」

ダイナの質問にビスタさんはそう答えた。

「そう言うことなのかしら…中央コンピューターは私のネジで串刺しになっているのかしら…」

「ヴィオラ先輩!」

ダイナの後ろから現れたヴィオラ先輩が戦いの終わりを告げるが戦いが終わったと聞いてもすぐ近くにいるミカさんに気を使い大声で喜ぶ者はいなかった。

「ミカ…様……」

ミカさんとアシュリーさんが2人きりになった部屋でアシュリーさんがミカさんに声をかける。

「アシュリー?生きてるの?よかった…アシュリーが生きてて…本当に良かった…」

ミカさんはアシュリーさんが生きていたことを泣いて喜ぶ。

「ミカ様、泣かないでください。ミカ様の泣き顔なんて見たくありませんから…最後のお願いです。私を笑顔で見送ってください……」

アシュリーさんは最後の力を振り絞りミカさんに言う。

「アシュリー…ダメ…そんなこと言わないで…あなたはこれから私と一緒に生きるの…ね?約束したでしょう……」

「申し訳ありませんがその約束は守れません…私の身体のことは私が一番分かります。私はもう助からないでしょう…」

「そんな……」

アシュリーさんの言葉を聞き再びミカさんの目から涙が流れる。

「ミカ様…泣かないでください…私が最後に見る光景がミカ様の泣き顔なんて嫌ですから…いつもみたいに笑顔でいてください…笑ってるミカ様が大好きです。何よりも好きです…だから、私が一番好きなミカ様を最後に見せてください…」

「アシュリー…そんなこと…できるわけない……アシュリーが死んじゃうかもしれないのに笑うなんてできないよ…それに私…まだアシュリーに何も恩返しできてない…小さい時からずっとお世話してもらってたのに…アシュリーに何も恩返しできてないの…だから私がアシュリーに恩返しできるまで死んじゃダメ…お願いだからもっと私と一緒にいて…」

「ミカ様…申し訳ありません。そのお願いをお聞き受けすることはできません。あと、私はミカ様から十分すぎる恩返しをしていただいてます。何よりミカ様と一緒にいられるのがずっと幸せでした。どうか私がいなくなってもずっと笑顔で…私が大好きなミカ様でいてください…」

そう言い残しアシュリーさんは旅立った。ミカさんは泣き続けた。そして悔いた…アシュリーを笑顔で見送ってあげるべきだったと……

こうしてレヴナント代表が戦死し、中央コンピューターの破壊が為されたという形で戦いは終わった。

























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