とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

能力の覚醒










「逃げてばかりいないで少しは攻撃してきてはいかがでしょうか」

テレシアの剣を躱し続けているヴィオラ先輩にテレシアが言う。

「ふっ、さっきから私のネジを全て弾いている癖にその言い方はないんじゃないのかしら…」

ヴィオラ先輩はテレシアの間合いから離れるために数歩後ろに下がる。

「いえいえ、私はもっと本気で攻めてこいと言っているんです。今のあなたの攻撃は私から距離を取るための時間稼ぎでしか使っていないでしょう…」

そう言いながらテレシアはヴィオラ先輩に剣を振り落とすがヴィオラ先輩の巨大なネジに止められる。

「じゃあ、これでもくらうといいのかしら…」

ヴィオラ先輩はテレシアの剣を受け止めていたネジを発射し、テレシアから武器を奪う。そして、もう片方の巨大なネジをテレシア目掛けて発射した。

「なかなかいい攻撃でしたが、その程度では私を倒せませんよ」

巨大な丸型の盾を作りネジの軌道を逸らしてヴィオラ先輩の攻撃を防いだテレシアがヴィオラ先輩に言う。

テレシアが盾を消して新たに剣を作り出しヴィオラ先輩に斬りかかる。ヴィオラ先輩はなんとか避けるがテレシアに徐々に追い詰められていく。

「さて、大人しく捕まってくれるならあなたを傷つけずに済むのですが、どうしますか?」

テレシアが地面に倒れるヴィオラ先輩に剣を向けて尋ねる。

「ふっ、何を勝った気でいるのかしら…まだ、終わってないのよ。なんとか間に合ったのかしら…3秒後、形成逆転勝者は私なのよ」

「何を……」

テレシアが何かを言いかけた瞬間、テレシアの周りから次々と無数のネジが飛んでくる。

「チッ……」

テレシアは舌打ちをしながら急いでその場から離れようとするがあちこちからネジが飛んでくるため逃げ場はない。

数秒後、全てのネジは一箇所に集まりテレシアの姿はなくなった。

「やった…のかしら……」

ヴィオラ先輩がそう呟いた瞬間、フラグは見事に回収されヴィオラ先輩が放ったネジが崩れ落ちた。

「お見事です。まさか、逃げ回っているように見せかけてあちこちにネジを発射できるように仕掛けていたとは……あと数秒気づくのが遅れていたら私の負けでした」

「どうやって…あの攻撃を…」

「あなたが放ったネジが私に当たる直前、私の能力で鉄の壁を作り私を覆いました」

「そんな…そんなことをして制限が発動しないなんて……」

「制限?ああ、あなた方の時代では能力に制限がつけられるんでしたね。残念ですが私達の時代では能力に制限が付きません。残念でしたね…」

「そんな……」

「では、大人しくアビリティアまでご同行願います」

「断るのかしら…」

「そうですか、仕方ありません。とりあえず気を失ってもらうとしましょう」

テレシアがそう言いながらヴィオラ先輩に手を伸ばす。

「くっ……」

ヴィオラ先輩は苦し紛れに小さなネジを5つほど作りテレシア目掛けて発射する。

「往生際が悪いですよ。その程度の攻撃でなんとかなるわけが……」

テレシアが作った盾でネジを受け止めた瞬間、ネジが急激に回転し、盾を貫通した。盾を貫かれたテレシアは驚きヴィオラ先輩から距離を取る。

「今の……は……」

「なるほど、本人にも無自覚ですか……まさか能力が覚醒する瞬間が見られるとは……」

「覚醒?」

「ええ、ごく稀に能力の限界を打ち破り新たな力を得ることがあると聞きます。おそらくあなたはネジを自由に回転させることができる力を得たのでしょう、まあ、もう無駄ですがね……」

テレシアが再びヴィオラ先輩に手を伸ばす。もう体力の限界を超えたヴィオラ先輩に抵抗する手段はなかった。

テレシアがヴィオラ先輩に触れようとした瞬間、ヴィオラ先輩の周りに障壁のようなものが張られテレシアからヴィオラ先輩を守る。

「これは……」

「私の守護の式神の障壁です。そう簡単に打ち破ることはできませんよ」

周りに3体の式神を召喚している巫女さんがテレシアに言う。巫女さんの守護の式神が障壁を操りヴィオラ先輩を巫女さんの後ろに移動させた。

「ヴィオラ先輩、大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫なのかしら…助けてくれてありがとなのよ…」

「いえいえ、ヴィオラ先輩はしばらく休んでてください。あいつを倒したら回復の式神を召喚しますから」

「じゃあ、悪いけど任せるのかしら…」

「はい。ただ、あいつの能力を教えていただけると助かります」

「簡単に言うとものを自由に作ることができる能力なのよ。制限はない」

「なるほど、かなり手強そうですね。ありがとうございます。守護の式神の障壁が破られることはないと思いますが何かあったらおっしゃってください」

巫女さんはヴィオラ先輩にそう言い残して2体の式神を連れてテレシアの前に移動する。

「あなが最近入ったばかりでデータが少ない巫女さんですか…たしか式神を操るんでしたね。ただし1体につき1つ五感を失う。今はどの感覚を失っているのですか?」

「敵に教えると思いますか?」

「いいえ、思いません。これはあくまで私の勝手な予想なのですがあなたが失っているのは嗅覚、味覚、触覚なのでは?」

「まあ、バレますよね。その通りです」

「戦いの場において触覚を断ち切るのはどうかと思いますが…」

「門題ありません。何故ならあなたは今から私に近づくことさえできないのですから…」

巫女さんの言葉を聞きテレシアが少しカチンときたのか勢いよく斬りかかる。

「残念ですがあなたの攻撃は私に届きません」

テレシアの剣は反射の式神により反射される。勢いよく反射された剣とともにテレシアさんも吹き飛んだ。
















「とある学園生活は制限付き能力とともに」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「学園」の人気作品

コメント

コメントを書く