とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

救援







男子生徒が再び楓先輩を殴ろうとする。

「今の結構痛かったんだよね…責任とってもらうぞこらぁ」

あっ、楓先輩ぶち切れてますわ…地面に囚われている足を楓先輩がなんとかしようとしているが全く効果がない。

「無駄無駄、俺の能力がそんな簡単に敗れるわけないだろ」

男子生徒が楓先輩に向けて拳を放つ。楓先輩は男子生徒の拳を手のひらで受け止める。

「はあ、できるだけ人間相手に直接能力は使いたくなかったんだけど仕方ないわよね…」

楓先輩が自身の手に電流を流し込む。

…………………………………………………………

楓先輩が自身の手に電流を流したが何も起こらない…

「まさか、ゴム手袋?」

男子生徒はゴム手袋を付けていた。先程殴られたときに気付くべきだった。先程殴られたのは腹の近くだったので服が邪魔で男子生徒の皮膚の感触がよくわからなかった。

「さて、なんでゴム手袋を付けているのか詳しく聞かせてもらいたいなぁ、とても偶然とは思えないし…」

このタイミングでゴム手袋をしているのが偶然とは思えなかった楓先輩が男子生徒に尋ねるが男子生徒は聞く耳を持たず再び楓先輩を殴ろうとする。

「そこまでにしてもらいましょうか…」

楓先輩の後ろから伸びてきた手が男子生徒の拳を止める。そしてすぐに男子生徒の背後に回りこみ男子生徒の首元に手刀を一発打ち込み気絶させた。

「あなたが楓さんですね?怪我はありませんか?」

男子生徒を倒した男の人が楓先輩に近づく。短い金髪のイケメン風の男の人、見た感じ志穂先輩や楓先輩と同い年だろうか?

「ええ、おかげ様で無事よ。あなたは?」

「申し遅れました。私ガーディアンズ第18番基地所属鈴原陽介と申します。今はガーディアンズ特別活動部として行動させていただいてますが…」

「特別活動部、つまり八代高校の生徒が暴れ出す事件を解決するための部署ってことであってるかしら?」

楓先輩が陽介に尋ねる。

「はい。あってますよ」

「どうしてここに?」

「先程志穂さんから特別活動部に連絡が入りまして、今すぐ助けに来て欲しいと」

「そうですか、わざわざありがとうございます」

「いえいえたいしたことはしてませんよ。それにしても志穂さんはすごいですね。一瞬で暴れてる男子生徒の能力を調べ上げてしまうんですから。志穂さんのバックアップがなかったら解決までにもう少し時間がかかっていたと思いますよ」

陽介が志穂先輩を褒める。楓先輩はなんか暗い感じの表情をしていた。

「では私はこの生徒を病院まで連れて行きますね。とりあえず怪我がないか確認し、異常がなければ体の検査に入ると思います」

「わかりました。お気をつけて」

「はい。ではこれで…」

そう言い残し陽介は去っていった。

「楓ちゃん!大丈夫?」

志穂先輩が心配そうな顔をしながら志穂先輩に近づいていく。

「志穂…うん。おかげで大丈夫だよ。怪我もしてないし」

「なら良かった。かなり心配だったよ…」

志穂先輩がその場でほっと一息つく。

「ねえ、志穂、なんで特別活動部に連絡したの?そんなに私が信用できなかった?」

楓先輩が志穂先輩に尋ねる。志穂先輩は数秒間を開けて楓先輩の問いに答える。

「なんでって、楓ちゃんが心配だからに決まってるじゃない。なんでそんなこと聞くの?」

「あんなやつ私1人で十分だった。志穂は私の力を信用できないの?」

「そういうわけじゃ…」

否定をしていた志穂先輩の口が止まった。

「やっぱり私の力を信用してないんだ…ごめんね。私が弱いせいで心配かけて…だからこれからは特別活動部の人達と組みなよ…」

楓先輩はそう言い残しその場を後にする。

「楓ちゃん…?楓ちゃん……どうしちゃったの?」

志穂先輩が必死に楓先輩を呼び止めようとしたが志穂先輩の声は楓先輩に届かなかった。








コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品