とある学園生活は制限付き能力とともに
合流
「あっ、楓先輩、志穂先輩、緑先輩、百合子先輩、ヴィオラ先輩、巫女ちゃん、皆さん無事だったんですね」
僕達が案内されたアビリティア内の部屋にみんなが入って来たのを見て花実がみんなを出迎えに行く。
「ええ、無事よ。みんなも無事みたいね…」
楓先輩が僕達を見て言う。みんな怪我せずにここに到着出来ていた。
「あとは信一くんと信二くんだけですね」
杏奈先生が新たに部屋の中に入って来たメンバーを確認して言う。
「そちらの2人なら御心配なく。ただ今こちらに向かって来ておりますので」
僕の横に立っていたテレシアさんが杏奈先生に言うと杏奈先生は少しホッとしたような顔をしていた。
「とりあえず皆様がそろうまでご自由におくつろぎください。話をするのは皆様がそろってからにいたしましょう。私は少し用事があるのでしばらく外に出ますので何かあれば部屋の外にいる者に声をかけてください」
テレシアさんは僕達にそう言い軽く一礼し部屋を出て行く。テレシアさんが出て行った後、僕達の意識は志穂先輩にくっついていた少女に向いた。
「へえ〜ティナちゃんって言うんだ〜かわいいね…」
花実がティナちゃんを両手で掴み持ち上げながら言う。
「それにしても小さいのに大変でしたね。もう大丈夫ですよ。何かあってもお姉さん達が力になってあげますから」
志穂先輩からティナちゃんの話を聞いたダイナは泣きながらティナちゃんにそう言う。ティナちゃんはダイナにありがとうと言い微笑んだ。
「とりあえず信一くんと信二くんが来るまでゆっくりさせてもらうとしましょうか…皆さん疲れが溜まっているみたいですし….」
杏奈先生は僕達にそういう。僕達は杏奈先生の意見に同意し自由にくつろぐことにした。まあ、杏奈先生を含む女性陣はティナちゃんに夢中なのだが…
残された男性陣つまり、僕と当夜先輩はボケーっとティナちゃんを囲むみんなを見ていた。
「なんかすごい除け者感あるね…」
当夜先輩がずっと黙っていた僕に話しかけてくれる。
「ですね…まあ、あんなにかわいい子がいたら仕方ないですよ」
「だね。まあ、信一と信二が来るまでの気休めにはちょうどいいんじゃないかな」
ティナちゃんを囲んで楽しそうに遊んでる女性陣を見て当夜先輩が言う。当夜先輩はみんなを見つめながら言う。
「晴樹君はこの状況をどう思う?」
「えっ、まあ、正直言ってよくわからないです…急に過去に呼び出されて…なんかよくわからないけどここに来て……」
「だよね。だけど一つだけどうしても気になる点はないかい?」
当夜先輩が僕に尋ねる。どうしても気になる点?気になる点はたくさんある…たくさんありすぎて考えがまとまらないくらいに……
「僕には気になって仕方ないことが1つあるんだ…」
「はあ、何をそんなに…」
「君は疑問に思わなかったかい?タイミングが良すぎるって…」
「タイミング?タイミングって何の…」
「やっぱりそこまで疑問に感じてないみたいだね。僕達が過去に呼び出されたタイミングだよ。ちょうど僕達は僕達がいた時代の事件を解決し、新しいメンバーの巫女ちゃんの紹介も済みある程度打ち解けて来たタイミングで僕達は呼び出された」
「そんなのただの偶然じゃ…」
「まあ、それだけだったら偶然だと思うだろうね。ただ、その後が早すぎるんだよ」
「早すぎる?」
「ああ、アビリティアのミスで僕達が各地にバラバラで飛ばされてしまっている。しかも突然のハプニングで…って話だったろ?なのに早すぎる…僕達全員を探してここに連れて来るまでの時間が…まるで僕達がバラバラに飛ばされるのがわかってたみたいに…」
「…………」
当夜先輩の言う通りだ。確かに早すぎる、過去の技術でここまで早く僕達全員を見つけられるとは到底思えない。
「おそらくアビリティアは各地に兵を置いていた。僕達を無事ここに連れて来るために…まあ、何が目的なのかはわからないけどとても偶然で片付けるわけにはいかないことがいくつか転がってるんだ」
「確かに…」
「そして僕がもっとも疑問に思ったのは君や楓達の話を聞いてからだ。晴樹君、君は杏奈先生の伝言メッセージをみたそうですね」
「あっ、はい…」
「ならおかしい…アビリティアに来たのは僕が一番だった。なのに杏奈先生はいつ伝言メッセージを撮ったんだ?僕はずっと杏奈先生と一緒に居たけどそんなのを撮ってるとはとても思えなかった。まるであらかじめ杏奈先生の伝言メッセージを持っていた…みたいじゃないかい…」
「…….それが事実なら…」
「ああ、杏奈先生は過去側の人間ってことになる……まあ、僕の推測でしかないんだけど…この話は誰にも話さないようにしてくれ」
当夜先輩が僕にそう頼む。僕は黙って頷いた。自分の味方だと思っていた人が最悪の場合敵になるかもしれないと考えると僕の精神状態は良好ではなくなった。
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