シスコン&ブラコンの天才兄妹は異世界でもその天賦の才を振るいます

蒼山 響

説明


ギルドの重い扉を片手で開けると、中には依頼クエストの受注をする所らしき受付や酒を飲める飲食店が併合している仕様になっており、中にいる人は剣や斧など武装をした、一様に冒険者だと分かる見た目をした人でごった返していた。

早速俺達は、冒険者登録をするためにまず受付に向かうことにする。

受付は5つあり、どの受付も多くの人が並んでいた。俺はその中から一番美人の女性の受付に向かうことにした。

いや、別に下心がある訳じゃない!信じてほしい。偶々、偶然どちらにしようかなで決めたらそこになっただけだ!

そんな言い訳を心の中でしていると、横に立っている雫が受付の受付の女性を見て急に不機嫌になる。

「お兄ちゃん」

「ど、どうした」

「どうして、この受付の列に並んだの?」

俺にはわかる。雫が確実に怒っていると。
だがここで誤魔化さなければ俺の命はないと。

「いや~、別に理由なんて無いよ。ただ、どちらにしようかなで選んだらここになっただけで。深い理由はないよ」

「ふーん。でもこの列一番混んでるよ」

雫の言った通り、俺達が並んだの列は受付の女性目当ての男性冒険者らしき人達によって、一番長い列を作っていた。

「いや、でも適当に選んだ結果だしなー。俺からはなんとも」

「じゃあ、今から別の列に並び直しても問題ないよね。適当に選んだんだし」

くっ、流石雫。痛いところをついてくるぜ。
だがそんな返答を予想していないお兄ちゃんではない!

「いやー、でももう並んじゃったし。今から並び直すのも時間の無駄だと思うんだよねー」

「まあ、お兄ちゃんがそこまで言うのなら…」

やったぜ!遂に妹に話し合いで勝つことができたぜ!頭脳的な面で雫に全く勝てなかった俺が遂に白星を掴み取ったよ!

「でも宿に行ったら、そこら辺よく話し合おうね」

「は、はい…」

…前言撤回。全く誤魔化せられてなかったです。雫がお兄ちゃんを超えて嬉しいよ…ぐすっ。
あっ、もうすでに超えてたわ。

心の中で悲しみと、宿に行った後の妹の説教の恐怖という2つの感情に押し潰されていると、受付の順番が俺達に回ってきた。

受付の女性は紅碧そら色の長髪の胸の大きな女性だった。
制服の胸の所に付けられているボタンがはち切れんばかりのモノをお持ちでした。ご馳走さまです。

彼女の胸のサイズ…俺の乳房スカウターの計測によると、F…いや、Gか…?くっ、俺のスカウターじゃ測りきれない戦闘力おっぱいを秘めているぞ…!

俺が心の中で目の前に聳え立つ双丘に心を奪われていると、雫が受付の女性の胸と自分の胸を見比べていた。

雫は身長が低い、もとい幼女ロリなのでお胸の方は相手の女性に比べると雲泥の差。
つまりは絶壁…ごほんっ、つるぺた…げふんげふんっ、成長過程にあるので正直相手にならないだろう。

雫は胸を見比べ終わると、顔を赤くしてプルプル震えていた。

不味い!雫様が泣きそうになっていらっしゃる!

泣きそうになっている雫を慰めるために、何か良い案はないかと模索する。
すると頭の中で1つの作戦を考え付く。

「雫、安心しろ!俺は大中小全てを愛することが出来るぞ!だから気に病むな。それにお前はまだ13歳だ。未来が有るじゃないか!」

「ほ、本当…?」

「本当、本当。この女性だって多分お前より年上だろうし、成長してきた年月が違うのだから希望はあるだろう」

雫は確かにつるぺただが、まだ13歳なので将来成長する可能性がある(絶対とは言っていない)ので、雫も納得してくれると思ったのだ。

「うん…じゃあ、お兄ちゃんは巨乳より貧乳の方が好きなの?」

「え、えっとそれは…」

雫の予想外の質問の返答に言い淀む。

勿論、つるぺたも巨乳も俺はこよなく愛せる。
だが、やはり夜のプレイの時にやれるレパートリーは巨乳の方が多い。

俺は気まずくなり雫から目を逸らすと、そこには受付の女性のお胸が視界いっぱいに広がっていた。

…うむ。巨乳最高ーーー!
いや、つるぺたも良い!だが、やはり巨乳には自分の全てを包み込んでくれるという包容力が存在する!
それに巨乳の美しき湾曲。究極にて至高である完璧な双丘。まさににあれは神が創造せし黄金比!あれを嫌いな男など存在しない!それに動く度に揺れるあの躍動感!
あぁ、俺は死ぬのならおっぱいに埋もれて死にたい!

そんな事を心の中で力説していると、雫の視線が絶対零度並みに冷えていくのを感じられる。

──しまった!つい巨乳の良さについて語っていたら、我を忘れていた!

恐る恐る雫の方に振り向くと、とても笑顔な表情をされた雫が立っていた。

「あ、ははは…」

笑顔の雫に対して俺は笑顔で返すしかなかった。俺は知っている。
あの笑顔は起こっていらっしゃる。
あの閻魔の笑顔を彷彿とさせる顔に恐怖しか抱かない。

「お兄ちゃん」

「は、はい!」

「お兄ちゃんとは、1時間口を聞かない」

「そ、そんなーーー!許してください雫様。ほんの出来心だったんです。雫と1時間も会話ができないなんて、お兄ちゃん死んじゃいます!」

「お兄ちゃん、ギルティ」

「ぐはっ!」

ショックで倒れ込んでしまう。

普通、1時間会話できないだけで大袈裟と思うかもしれないが、太陽はシスコンなのだ。
シスコンが1時間とはいえ、妹との会話を禁じられるなど死ぬよりも苦しい出来事なのである。

「あ、あの~、もう用件を伺っても宜しいでしょうか…」

兄弟コントをしていると受付の女性が話しかけてきた。

この女性は、先程からの兄妹コントが終わるまで待っていたのか。
まあ、変人に話し掛けるのが気まずかっただけかもしれないけれど。

初対面の人と会うときは、相手の印象は会って3秒で決まるというので、なるべく悪い印象を持たれないように笑顔で話し掛ける。

「えぇ、大丈夫です。冒険者登録したいのですが」

全力の笑顔でそう答えると、受付の女性が顔を真っ赤にしてフリーズしてしまう。

うむ。失敗してしまったかな?
出来るだけ愛想良くしたつもりなのだが。

「す、すみません!ちょ、ちょっと動揺してしまっていて。冒険者登録ですね、畏まりました。登録は何名様でしょうか?」

女性は取り乱した様子で訊いてくる。

俺は当たり前として、雫は戦闘向けのステータスではなかったので、雫に冒険者登録をするかどうか聞いてみる。

すると雫は手を顎に添えて考え出す。

(私は戦闘に向いたステータスではないけれど、このままお兄ちゃんだけを冒険者にしたら悪いがお兄ちゃんに近づくかもしれない。監視という意味も考えて私も冒険者になった方がいいか…)

雫は無言で頷く。

どうやら口を聞かないルールはまだ続いているみたいだ。

「分かった。それじゃあ、登録は2人で」

「ではこちらの紙に名前を書いてください」

俺と雫は女性から用紙を受けとると自分の名前を書き始める。

雫が女性から紙を受け取る時に受付の女性を睨んで威嚇をしていたが、女性はその笑顔を崩さない。

ちなみにこの世界の文字や言語は、ギルドに来るまでに街の中を見て気付いたが、地球の片仮名に酷似していた。
恐らくだが俺達の他にも異世界人がこの世界に転移か転生をした人間がいて、その人物が日本文字の中で最も書きやすい片仮名を伝えたのだろう。

そのお陰で雫のサポートもありながら俺は無事、異世界文字で記入することができたのだった。ちなみに何故雫が既に異世界文字を書けるかというと、ここに来るまでに建ち並んでいた店の看板に表記されている文字と店が何屋かを比べて文字の意味を推測したらしい。妹に対して頭が上がりません…。

「確認しました。ではこちらが2人分のギルドカードになります。再発行には銀貨1枚が必要になりますのでご注意下さい」

そう言って受付の女性は黒い2枚のカードを渡してくる。
カードの端にはFランクと表示されており、これが冒険者の最低ランクなのだろう。

「ギルドについての説明は聞いておきますか?」

「お願いします」

「はい。では1つ目にギルドランクについてご説明します。ギルドランクは依頼をクリアするにつれて上がっていきます。ランクは上からSSS・SS・S・A・B・C・D・E・Fとなっており、Sランク以上にもなると国から個人的な依頼をされることもあります。ちなみにSSランクは世界に10人もおらず、SSSランクは世界に1人しかおりません」

成る程。つまりそのSSSランクとやらを倒せば世界最強ということか。
精々、俺を退屈とさせない程の強さは持っていてくれよ。

「次に依頼についてですが、依頼は隣にあるボードから選んでください。その後受付に依頼の受注に来て頂けると依頼が行えますので、受注せずに依頼をクリアして頂いても昇格ランクアップに換算されませんのでご注意下さい。依頼は自身の冒険者ランクの1つ上のランクまでの依頼しか受けられません。例えば太陽様でしたらEランクまでの依頼を受けるとこができます。説明は以上ですけれど、何かご質問はありますでしょうか?」

「いえ、大丈夫です」

「そうですか。そ、それでですね。1つお話があるのですけれど…」

そう言うと女性は顔を赤らめてモジモジしだす。

トイレかな?と思ったが、女性にそんなことを聞くのは前に雫に言ったら「お兄ちゃんはデリカシーがない」と、怒られたことがあるので自重する。

「はい?何か?」

「…実は私、元冒険者でして、良かったら手取り足取り冒険者のいろはを教えてあげようかと…」

どうやらこの女性は太陽の事が気になっているようだ。
その事に気がついた雫が太陽が返答するよりも早く動く。

「お兄ちゃんには私がいるから必要ない」

「でも貴方も初心者ですよね。それでしたら私の方が詳しく教えられますよ」

「ふっ、脳みそがすっからかんな女に教える知識はないと思う」

そう言うと、女性の表情が強張る。

「そちらだって胸の辺りがすっからかんですよね?」

「女性の価値は胸じゃない」

「「ぐぬぬぬ…」」

「お、おい。2人とも…」

俺は何故2人が喧嘩しているのか分からないので、どう対処しようか迷っていると突然、建物の扉が勢いよく開かれる。

「おいおい、雑魚共はどきな。このBランク冒険者のギラ様がお通りだぜ!」

俺は思う。

…今日は厄日だ

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コメント

  • 音街 麟

    むむ...。ふむ。これは.....いわゆる"テンプレ"ですな!

    0
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