冒険者は最強職ですよ?

夏夜弘

そこは楽園という名のオカマ大国でした 3

 マッ町へ向かう3人は、少しでもステータスを上げておこうと、モンスターと闘いながら進んでいた。

 モンスターのレベルはレガン町から離れていくにつれ上がっていて、ジンは苦戦していた。ダイコとランは余裕だ。


「クッ……レガンの周りのやつらはあまり強いモンスターじゃなかったのかよ……ここら辺のモンスター強いな」

「まぁ、あそこには多くの冒険者がいるからモンスターもわざわざ近づかないのよ」

「そうなんですね……知性はあるのか……」

「そうよ。レベルが高いモンスターなんて魔法とか使ってくる奴もいるくらいだからね……厄介よ」

「まぁ、魔法使うのは魔王の手下とかドラゴンとかだから安心してジン!」

「魔王の手下……ドラゴン……絶対相手にしたくない。」

「ほらほら、休憩も終わりみたいよ。モンスターがぞろぞろとこっちに向かってきてるわ」

「ですね……ジン頑張って!」

「えええ!? 数多くない!? 死ぬかも……」

「私が守るわ!!!!」

「ランめちゃくちゃ張り切ってない!?」

「ジンちゃん私もいるわよ?」

「うわ……二人ともすごい……俺はおこぼれでいいや...」

 なぜかランとダイコが物凄く張り切っており、三十はいたモンスターを次々と倒していく。ジンは弱そうなモンスターを見つけ、一人寂しく闘っていた。

「ダイコさんってめちゃくちゃ強いですよね? ステータスどれくらいなんですか?」

「ん? ステータスが見たいの? わかったわ待っててね」

 そういいステータスカードを取り出し血をつける。
 ステータスカードに数値がでてきて、それをジンとランが確認し目が飛び出ると言わんばかりに目を見開く。

ダイコ=オンナ
職業 武闘家
Lv121
HP 1020
MP 30
攻撃 809
防御 768
魔法 107
敏捷 789

スキル
熟練度 格闘 100
熟練度 ムチ 50

ユニークスキル
"オカマの底力"


 と、表記されていた。

「熟練度高っ! ステータス高っ! これでまだレベル121って……どこまで強くなれるんだか……ユニークスキルも強そう……」

「でもやっぱり武闘家だから魔法はあまり得意じゃないようですね……」

「ええ、私に魔法なんて必要ないわ。素手で充分よ」

「で、でもムチって……」

「それはちょっとムチを使ってモンスターを痛ぶって快感に浸っていたらそんなになっていたわ。」

「こわっ!」


 実はジンとランはもう一つ気になっていた。名前だ。だがそこに触れたら確実に殺されると思い、二人とも見て見ぬふりをした。

 そしてその日は野宿をすることになった。

「ああ、お風呂入りたい~!」

「我慢だよ、僕だって汗で臭いんだから……」

「にしてもダイコさんは汗一つもかいてないなんて……ってもう寝てる!?」

「まぁ私達は見張りで起きてないといけないし時間まで寝かしてあげましょう」

「ですね……モンスターもいつ来るか分からないし」

 焚き火を囲むようにジンとランは座っていた。ダイコは寝袋に入ってすやすやと寝ている。体格のわりに静かに寝ていた。

「ねぇジン……その……話があるんだけど……」

「わぁ!!! 空見てラン!! めちゃくちゃ星が綺麗だよ! ……あっ! 流れ星! ラン?」

「え、ええ! 綺麗ね! うん! 綺麗……」

 この時ランは、町についたら二人で回ろうと言おうとしたのだ。だがそれはジンが遮ってしまい、上手く伝えられない。ランはまた後で伝えればいいかと思い星を見る。

 そして二人は他にも会話をし、時間がきてダイコを起こし就寝する。ランは流れ星に、明日は二人で町を回れますようにとお願いしながら……

 朝になりダイコに起こされ二人は起きる。とくに何も起こることはなかった。三人は朝食を取りマッ町へ向け歩みを進めた。

「もうすぐで見えてくるわ! ……あ、見えたわ、あそこよ」

「あっ! 見え……ん?」

「私もみた……ん?」

 二人はマッ町を見て何故か言葉を詰まらせてる。
 そこには、"ようこそ、ムキムキマッチ町へ"というやたらとでかい看板があった。

「懐かしいわ、あの看板私も作った1人なのよ」

「「へ、へ~! そうなんですか! すごいですね~!」」

「でしょ~? なかなかの傑作だと思うの!」

 ジンとランはださいと言ったらすぐさま殺されると思い、喉まででかかったその言葉を呑み込んだ。

 そしてマッ町につき、門を潜ると物凄い賑わっていた。
 祭りということもあり、屋台があちこちに展開されている。そして多くの客が集まっており、人族以外の種族も多くいた。

 ジンとランは少し進み大通りに出た瞬間絶句した。

 そこには男だか女だかわからない人しかいなかった。
 みんなムキムキでタンクトップを着ていた。
 筋肉が剥き出しおり化粧をした濃い顔の人ばかりだった。

 一応言っておきます。みんな"オカマ"です。なかには女もいるのですがそれはかなりのレアケース。センはその一人だ。ダイコは男。

 ダイコは名前にオンナと入っているがあえてもう一度言います。"漢"です。

 そんな光景を見ていられなく、思わずジンとランは目線を下げてしまう。そしてオカマたちがダイコを見つけた瞬間猛スピードで近寄ってくる。

「あら? ダイコじゃない? ヤダもう久しぶり~!」

「あらホントだわ! ダイコが帰ってきてるわよ! 皆集めてきてちょうだい!()祭りの前夜祭もかねて今日はパーティーだわ~!」

「あらみんな元気したた~? 今日は連れもいるわよ~?」

「「ど、どうも……」」

「あら、また可愛い子達ね? 明日から始まるお祭は楽しみんでいってね?」

「「は、はい、楽しみます」」

「あら息ぴったり。付き合ってるの?」

「付き合ってるだなんて、そんなんじゃ、もうヤダ~!」

「あれ!?!? ランさんが壊れた!?」

 ランが何故か喜んでいることに、ジンは首を傾げる。ランは嬉しさのあまりに我を失い、独り言をブツブツと言っている。

「まぁいいわ、それよりどう? 準備は順調かしら?」

「えぇ、しっかり開催できそうだわ」

「そう、それなら良かったわ」

「今年はいつもより人が多いわ。盛り上がりそうね」

「そうね、お互いがんばりましょう」

 ジンはもう誰が喋ってるのかわからなくなるくらい似た声に困惑していた。そして三人はその場を後にし宿を取り荷物を置いた。

「よしっ! ここから自由よ! 休むのもよし、町回るのもよしだわ!」

「よし! じゃあ町を回ってこようと思います!」

「ジン!」

 急に名前を呼ばれジンは驚きランの方を向く。そしてランは深呼吸をする。

「私も……その……一緒に行ってもいい……?」

 ランは下を俯きながら答えを待つ。それにジンは笑顔で答える。

「もちろん! むしろ僕から誘おうと思ってたよ! 行こ!」

「本当!? やった~!」

 ランは物凄くよろこびスキップしながら宿を出ていく。ジンも「なんであんなにテンション高いんだ?」と呟きながらもあとを追うように宿を出ていった。

 ダイコは笑顔で二人を見送ったのだった。

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