本日は性転ナリ。
After story...Dear Rei .10
「その時は…何が何でも、どんな手を使ってでも私がアンタを殺す。」
『できるもんならやっ…』
私は父親がその言葉を言い終えるのを許さずに前髪からヘアピンを抜き取るとその首元へと強く押し当てた。
「約束してくれないのなら…もう私はどうなってもいい…」
『……なんだよ、お前。』
父親は喉の奥から小さくそう漏らすと私たちをぐるりと見まわした。そして『わかったからそれを離せ。』と呻くような声で私の手を握った。
私は手を振りほどくと、跪き地面に視線を向けたままの父親に言葉をかける。
『アンタが稚華さんと嶺ちゃん、それと2人のお母さんにした事はもう二度と許されるコトはないんだ、もう2人はとっくに別の道を歩いてる。本当は…父親であるアンタがその道の先頭に立って進まなきゃいけなかったんだ。みんなを残してその道から逃げ出したアンタはもう、1人で自分の道を進むしかない。だからもう2度と稚華さんの進む道に足を踏み入れないでください。』
父親は伏し目がちに"そんなん俺が1番わかってる"と言い残しその場を去っていった。
…あの父親は自分なりに少しは後悔しているというコトなのかな…そうでなくちゃ困るけど。
振り返り稚華さんに視線を落とす。だが稚華さんは、まだしゃがみこんで呼吸もままならないままに泣いている。
ふと視線を感じその横を見ると"ニヤリ"と笑う莉結の姿があった。
『さっきの本気ぃ??』
「えっ、なに?」
『何って怖いこと言って脅してたじゃん!!』
改めて思い返すとヤバいことやっちゃってたかも…あはは♪
「ま、まぁね…。」
『怖ーっ、けど…衣瑠らしいなって思った♪』
「えっ、どこが??」
『私もそう思った♪』
そこで莉結に便乗した彩ちゃんが寄り添う稚華さんの泣き声が妙なコトに気付いた。
「あれ?稚華さん…笑ってない?」
私がそう言うと、稚華さんの手があがりゆっくりとその顔があがった。
『いや…ごめん、確かにそうだなって思ってさ。』
「どーゆーコト?!」
『衣瑠ちゃんらしいよ。ホント…私たちの事になるとすぐ周り見えなくなっちゃってさ。人の父親に…って父親なんて思ってもないヤツなんだけど、フツーあそこまでやるッ??マジでヤバかったかんね!!なんか泣いて何もできなくなった自分が馬鹿らしく思えちゃった。』
「だってしょーがないじゃん!!私あの人キライ。」
『衣瑠、嫌いでも人は殺しちゃいけないでしょ!!』
「ごめん…ホントそうだよね。どうかしてた。」
『大切な人の為ならなんだってする…私には分かるわ。』
あ…彩ちゃん…
『いやぁー、それにしてもホントびびっちゃった。マジでヤっちゃうんじゃないかってみんな固まったまんま動けなかったんだよ?けど…嬉しかった。私の言いたいことゼンブ言ってくれちゃって、どーしてくれんのッ??』
「ご、ごめんっ…」
夏の日差しが私達を照らす。
くっきりと地面に映し出された影が一つの大きな影になって笑った。
その笑い声は蝉たちの声すらかき消してしまうような大きな声となり夏の空へと響いていった。
『できるもんならやっ…』
私は父親がその言葉を言い終えるのを許さずに前髪からヘアピンを抜き取るとその首元へと強く押し当てた。
「約束してくれないのなら…もう私はどうなってもいい…」
『……なんだよ、お前。』
父親は喉の奥から小さくそう漏らすと私たちをぐるりと見まわした。そして『わかったからそれを離せ。』と呻くような声で私の手を握った。
私は手を振りほどくと、跪き地面に視線を向けたままの父親に言葉をかける。
『アンタが稚華さんと嶺ちゃん、それと2人のお母さんにした事はもう二度と許されるコトはないんだ、もう2人はとっくに別の道を歩いてる。本当は…父親であるアンタがその道の先頭に立って進まなきゃいけなかったんだ。みんなを残してその道から逃げ出したアンタはもう、1人で自分の道を進むしかない。だからもう2度と稚華さんの進む道に足を踏み入れないでください。』
父親は伏し目がちに"そんなん俺が1番わかってる"と言い残しその場を去っていった。
…あの父親は自分なりに少しは後悔しているというコトなのかな…そうでなくちゃ困るけど。
振り返り稚華さんに視線を落とす。だが稚華さんは、まだしゃがみこんで呼吸もままならないままに泣いている。
ふと視線を感じその横を見ると"ニヤリ"と笑う莉結の姿があった。
『さっきの本気ぃ??』
「えっ、なに?」
『何って怖いこと言って脅してたじゃん!!』
改めて思い返すとヤバいことやっちゃってたかも…あはは♪
「ま、まぁね…。」
『怖ーっ、けど…衣瑠らしいなって思った♪』
「えっ、どこが??」
『私もそう思った♪』
そこで莉結に便乗した彩ちゃんが寄り添う稚華さんの泣き声が妙なコトに気付いた。
「あれ?稚華さん…笑ってない?」
私がそう言うと、稚華さんの手があがりゆっくりとその顔があがった。
『いや…ごめん、確かにそうだなって思ってさ。』
「どーゆーコト?!」
『衣瑠ちゃんらしいよ。ホント…私たちの事になるとすぐ周り見えなくなっちゃってさ。人の父親に…って父親なんて思ってもないヤツなんだけど、フツーあそこまでやるッ??マジでヤバかったかんね!!なんか泣いて何もできなくなった自分が馬鹿らしく思えちゃった。』
「だってしょーがないじゃん!!私あの人キライ。」
『衣瑠、嫌いでも人は殺しちゃいけないでしょ!!』
「ごめん…ホントそうだよね。どうかしてた。」
『大切な人の為ならなんだってする…私には分かるわ。』
あ…彩ちゃん…
『いやぁー、それにしてもホントびびっちゃった。マジでヤっちゃうんじゃないかってみんな固まったまんま動けなかったんだよ?けど…嬉しかった。私の言いたいことゼンブ言ってくれちゃって、どーしてくれんのッ??』
「ご、ごめんっ…」
夏の日差しが私達を照らす。
くっきりと地面に映し出された影が一つの大きな影になって笑った。
その笑い声は蝉たちの声すらかき消してしまうような大きな声となり夏の空へと響いていった。
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