本日は性転ナリ。

漆湯講義

145.またアイツ

『浜ぁ松祭りだヤイソー!!!ハハハハハッ!!』

意味の分からない締めと、言うことだけ言って満足したおじさんは、そのまま大の字に仰向けになり眠ってしまった。

私たちは顔を見合わせて
『とりあえず…場所変えよっか…』と静かに場所を変える。

人気の少ない所に場所を移し、凧を眺めながら大量の出店メシを平らげると、今度は"デザートが食べたい♪"なんて莉結が言いだすもんだから、また出店巡りが始まった。

その道中…
『あ、射的やりたい♪』

そう言い出したのはレイちゃんだ。

普段あまり喋らないレイちゃんの違った一面を見ると、やっぱりまだ子供なんだなって微笑ましい気持ちにさせられる。

まぁ、1つしか歳は違わないのだけど。

『あれー、難しいなぁ…』


『あ!次水飴やりたい♪』

こんな感じでレイちゃんの要望に応える形で凧場巡りは進んでいく。

そしてそれは"アイスボンボン"の出店に並んでいる時だった。

『アイツ…たんすよー!!』

ふときこえたその声に顔を向けると、黒い法被を着たガラの悪い集団がこちらを見ている。

うわっ…あんま見ないようにしとこっ。

そう思ったのも束の間、その集団が私たちに向かってきて先頭の金髪男が『オイねぇちゃん、コイツどうすんの?』と唐突に話しかけてきた。

「え?いきなりなんですか?」

するとその男の影に隠れて"あのバスの男"がニヤニヤとこちらを見ていたのだ。

『なんですかじゃなくてさぁー、コイツ恥ずかしくて外歩けないって言ってんだけど?わかるら?』

外、歩いてんじゃん…
そんな疑問を抱きつつ私たちも負けじと交戦する。

「いや、私たちは何も悪くないじゃないですか。」
『え?何?その男がナンパ失敗したってだけでしょ?』
稚華さんも強気で言い返す。
莉結はすかさずレイちゃんの横に行くと『大丈夫だよ♪』と不安げなレイちゃんを落ち着かせている。

すると突然、男が稚華さんの手を掴んだ。

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