本日は性転ナリ。

漆湯講義

123.セットク

「だけどっ…みんな悲しむよ!!お父さんやお母さん、学校のみんなや私だって!!」

しかしその表情は変わらない。

『かもね。だけれどこれは私が決めた事だし、一時的に迷惑はかける事になるけれど少し経てば"いつもの日常"に戻ると思うの。』

「そんな訳ないよ!!少なくとも私は一生後悔する!!彩ちゃんを救えなかった事…」

『救う…?私にとっての"救済"は死よ?何か勘違いしていない?
…死んでも"無"があるだけで、いつの日か気付いた時にはまた、違う"自分"としての意識を持っているわ。
私たちだってそうでしょう?
気付いたら自分としての意識をもっていたじゃない?
"無"から始まり"無"で終わる。
そのワンクールが長いか短いかの違いでしょう?もう少し大きいスケールで考えれば、今私たちが生きているということがどんなに小さな出来事かよく分かると思うのだけれど。』

何言ってんの彩ちゃん…

なんて言おうと、そんなの間違ってる。

「私は…そんな風に思わない。もし"生まれ変わり"があるのなら…
私は、今のこの人生を"任された"って思いたい。
他の誰にも任せられないこの人生を。
そしてどうせこの人生を歩くなら…自分が"幸せ"って思える人生がいいよ…」

『ん〜…それは個人の思想に任せるわ♪とにかく…貴女の人生は貴女が決めればいいわ。さっ…私はもう満足♪見ても、あまりいいものじゃないだろうから出て行って♪』

「彩ちゃん!!待って!何が原因なのか教えてよ!!私が出来る限りなんとかするよ!!」

『んー…単純にこの家…この世界が嫌なだけ♪』

「ホントの事…言って。短期間だけど彩ちゃんと付き合ってたんだよ?顔見れば分かっちゃうよ。」

『そぅ?ホントの事だょ?まぁ…言ってない事はあるけれど。』




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