本日は性転ナリ。

漆湯講義

109.お誘い

まだ少し肌寒い空気に小鳥たちの囀りが織り込まれ運ばれてくる。


また新しい1日が始まる。

だがいつもよりも清々しい気分だ。

レイちゃんという同じ境遇のヒトがいる。そう考えるだけでとても心強いのだ。
うまく表現はできないけど、とにかく見える全てが輝いて見えた。


禁止されるほど逆にやりたくなる心理現象を"リアクタンス"や"カリギュラ効果"と言うらしい。
自分のことを隠し続けてきた私は、深層心理ではその状態にあったのだろう。
そして"それ"から解放されたことによって生まれた高揚感や安堵感というものが今の私を包んでいるからこんなにも清々しいのかもしれない。


そんなことはさておき、昨日はバタバタしていたせいで莉結と連絡をとる時間が無かった。

だから…起きて早々電話をしたいと思います♪

なんて思ったはいいが、何故か緊張して電話をかけることができない。

意味のわからない感情を落ち着かせるために、とりあえず身支度を整えてみた。

さて…

なんて電話をかけよう…

いきなり昨日の話をすればいいの…かな。

けどそれじゃぁよくある女子の電話になっちゃうし…

ん?女子だからいいのか。いや…

つい最近までには当たり前にしていた事ができない。

気がつけばもう30分近くそんなこんなで葛藤していた。

と、突然電話が鳴った。

心臓がキュッと音を立てて縮こまってしまった。(かと思っただけだけど。)

電話の主はまさかの莉結だった。

「もし…もし?」

『あっ、久しぶり♪元気だった?』

そんな久しぶりでもない気がするけど…莉結は元気そうで良かった。

「元気だけど…(笑)、どうかしたっ??」

『えっと…あの…今日なにするの??』

「えっ?今日は特に予定もないし、何にもしないよ?」

『…そっか♪じゃぁまた一緒にお願いしていい??』

お願い…?

あ…そうだった。今日は特別な日なんだ。


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