妹はこの世界でただ一人の味方

さらだ

カラカラ

街を歩いていると見知った顔を見つけた。レーゼ・G・ウィンパーだ。俺たちが初めて行った料理店で声をかけてきた貴族だ。護衛は変わっていて買い物をしている様子だった。いい機会だ。少し声をかけてやろう。

「これはレーゼ様ではありませんか。」

「・・・おお! あの時、店にいた君らか。久しぶりだな。今日は買い物に来たのか?」

「ええ。恋人と買い物に。・・・それよりレーゼ様。前と護衛が変わってるようですが、前の彼らは日雇いだったのですか?」

「あ、ああ。あの時はいつもの護衛が休みを取ってしまってな。ちょうど暇をしていた彼らに頼んだ訳だ。」

護衛の話をすると少し慌てたようにレーゼは言った。この慌てっぷりは嘘を付いている証拠だと学はすぐに確信した。

「そうなんですね。それでは俺たちはまだ買い物の続きと、害虫の駆除をしないといけないので失礼します。」

「そうか。害虫の駆除とは熱心なことだな。何かあったら頼って来ていいからな。」

俺はそれを微笑んで返すと裏路地に向かった。ここの一本道を行けばスラム街。誰の目にも留まらない場所だ。そして狙撃の場所としては最高だ。人も多く発砲音もかき消されるだろう。
奴は前に結衣をゲスな目で見た。万死に値する。その命を持って償え。それがやつにできる最後の事だ。

そして学は銃を構え、うろついているレーゼに向かって引き金を引いた。



その日の夕刊にある貴族が暗殺されたと報道されたのは言うまでもないだろう。





帰った俺たちはとりあえず買った本を読むことにした。結衣のは相変わらず意味が分からなかったが。
俺が本を読んでいて気になった魔法がある。召喚魔法だ。

召喚魔法とは
大昔に初めて魔女が成功させたと伝えられている魔法だ。召喚した生物となんらかの方法で説得させ、対価を払うとその生物は召喚者の僕となるらしい。
補足だが召喚した生物はたとえ魔族でもきちんと同じように喋れる便利機能つき。

「さて、やるか。」

召喚魔法は使用者の強さ関係なく召喚することができるので昔魔族を呼び出した時はそれはもう大変だったらしい。そのせいで今は召喚魔法を使用することは禁じられている。
俺が今使っているのは召喚魔法ではなく、魔物召喚だ。同じようだが、呼び方が違うのだ。違う魔法と捉えて問題ないだろう。・・・嘘です。召喚魔法を使っています。これで俺は罪人だ。まあどうでもいい話なんだが。

「まずは魔法陣を描くのか・・・これを描けばいいのか?正確に書き写すには数年の修行が必要?・・・知らん。ふんふん〜♪ふふふ〜♪ほらできた。それっぽいのだけど。最後はこれに魔力をねじ込むだけか。」

学は描いた魔法陣に手を当てて魔力を注ぎ込んだ。すると魔法陣が光り輝きーーーーーー魔法陣の中には一体の魔物がいた。


「なんだこいつ?」

そこにいたのは50cmほどの大きさをしたスライムだった。しかし他のスライムと違う点は2つある。1つ目は口と目があることだ。2つ目は色が混合していた。赤、青、緑、黄、白、黒の6色だ。

学が話しかけようとした瞬間スライムはプルプルと震えて言った。

「僕はスライムの中でも奇妙な扱いをされていました。」

「・・・・・・だから?」

学にとってはどうでもいいことだった。このスライムがどうなろうと自分の知ったことではないと。

「僕を見つけた魔物は追い払い、人は珍しいと言って殺しにかかって来ました。・・・仮に召喚魔法で呼び出されたとしてもあなたは僕をそんな目で見ませんでした。はじめての事です。僕はあなたに付いていきたいです。どうか許可を。」

なんていうか可愛いんだよなこいつ。結衣は女神級だけど、こいつは道端にいるような小型犬みたいな感じなんだよ。こいつは元々自分から契約したいというから説得はしなくていいんだよな。

「ちなみに対価は何がいいんだ?」

「最低限の食事と住む場所があれば大丈夫です。」

それなら大して問題じゃないな。ちょうどペット的存在が欲しかったんだ。どれくらいの強さだ?

名前 カラフルスライム
レベル 41

HP  415/415
MP  180/180
ATK  130
DEF  30

スキル
俊敏:7 再生:2 初級魔法:8 初級回復魔法:6

ん?:の後についてるやつってなんだ?

学のスキルは全てレベルがMaxであるため一回も出て来たことがないのだ。後についてあるものはスキルのレベルであり、当然高ければ高いほど効果が上がる。

「じゃあ契約をしようか。」

「はい。では名前を頂いていいでしょうか?」

名前・・・名前か。こいつカラフルだからな。あれしかないだろう。

「お前はカラカラな。」

「え・・・。カラカラですか?」

「不足か?」

「い、いえ・・・なんでもないです。」

ふぅ。喜んでもらって何よりだ。結衣にもネーミングセンスはいいと言われてるからな。喜ばれないはずがない。

「お兄ちゃん?さっきから何言ってるの?・・・何このスライム?」

「さっき召喚魔法で呼び出したんだけどこれから俺たちの同居人になったから仲良く・・・同居人?人じゃないよな。まあなんでもいいや。カラカラって名前だから。」

「もしかしてお兄ちゃんがつけたの?」

「よく分かったな。」

「お兄ちゃんのネーミングセンスはいいからね。」

やっぱり俺のネーミングセンスはいいらしい。結衣が言ってくれたことに間違えはないからな。

「よろしくお願いします。えーっと・・・。」

「結衣。霧崎 結衣。」

「結衣さん。よろしくお願いします。」

うん。結衣もしっかりと受け入れてくれたみたいだし大丈夫だな。さてと。

「これから何する?」

「ここら辺の探索またやろうよ。前回は途中で帰っちゃったし。」

探索か・・・。

「今から出ると暗くなって危ないから明日にしよう。・・・聞いといてなんだが夕食の準備をするか。」

うーん・・・今日の夕食は何にするか。

「そういえばカラカラって何を食べれるんだ?」

「僕は基本なんでも食べれますよ。」

じゃあ今日はカレーにでもするか。


その日の夕食はいつもより賑やかだった。


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以下作者のコメント
・・・はい・・・作者です・・・。これを書くこと自体が辛いです・・・。まだ昨日のことを引きずってます。どうしてあんな事をしたんでしょうね・・・。

はい。切り替えました。実はですね冬休みの宿題が学校から出てたんですよ。なので初日に終わらせました。塾も含めて11時間ほど机に向かってましたね。おかげで腰が痛いです。

これ投稿する直前に報告の話を見たら7のいいねがありました。・・・喜んでいいのか分かりません。

冬休み(冬季講習中)はちょっとだけ文字数が減っていると思います。深くお詫び申し上げます。

あとはありません! それではまた次回!

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コメント

  • さらだ

    Thank you

    3
  • モリモリ

    GOOD

    3
  • さらだ

    有難う御座います。急ぎでも書いた甲斐がありました。明日は遅くの投稿になりそうです。頑張っていきたいです。これからもよろしくお願い致します。

    4
  • 夜桜葵

    今回も面白いです!

    5
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