お嬢様は軍師様!

葉月 飛鳥

お嬢様 討伐をする 4

「盗賊達よ!!これが最後の忠告だ!おとなしく降参をしろ!」
「はっ!誰がそんなことするかよ!!」

炎が徐々に中央へと迫って来る中、外側からイーゼスが盗賊達に向かって叫んだ。
しかし、盗賊達も諦めてはいない。
この切羽詰まった状況の中で盗賊のリーダーは顔がにやけている。
何か考えがあるだろうか。

(あの小僧は、まだ気付いていないな・・・)

きっと、無駄な悪足掻きをするだろうと思っている。
その油断を盗賊のリーダーは狙っていた。

(俺達が火を消しているなんて誰も思わないな。)

チラッと見ると炎の壁が徐々ではあるが低くなってきている。
これは、低くなっているのではなく内側から盗賊達が剣を使って草を刈り、燃焼量を抑えたのだ。
そして自分達は草を刈った所もしくは、元々草が生えていない地面に立ち、火傷をしないようにしていた。

(火が消え始めたら、一気にやってやらぁ)

盗賊達は剣を構え始めた。
狙いはもちろん教会。
相手は勝てると思って油断しているはず。

(やっぱり俺達はついているぜ)

しかし、盗賊達は気付いてはいない。
イーゼスがいる教会からのは内側の様子は見れないが、アメリアがいる木の上であれば見れる事を。
そして、それがアメリアが盗賊達の行動をよんでいる事も。

「フェイ、第二段階の合図を」
「了解・・・」 

フェイは限界まで弓矢の弦を引いた。
向きは上向き。
盗賊達を狙う訳ではない。 
これは合図なのだ。

「おじょー、いつでもいいですよ。」

アメリアは目を瞑り、深く深呼吸をする。

(大丈夫・・・。)

心を落ち着かせ、ゆっくりと目を開いた。
そして羽毛扇を左上まで上げ、もう一呼吸いれる。
指示の言葉など必要がない。
この羽毛扇を振り下ろすだけだ。

(全てはこの一手で終わる・・・。)

アメリアは、おもいっきり羽毛扇を振り下ろした。

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