充実した異世界ライフを送る......はずだったが

ざん

15話 黒龍との決戦。



   「エンチャント、フライロード!」

そう言い俺は肩の下らへんにエンチャントする。

フライロード。昆虫のトンボみたいな外見だが、この世界には昆虫という概念がないらしく獣に分類する。トンボの外見に毛があり、羽が4つある。上昇するときは遅いが下降するときは速度百キロというスピードをだせる。だが一生飛べるわけでもなく3分ごとに羽を休ませなくてはならない。横に動くのは苦手で、直線だと誰よりも早く飛べるという。この世界にはそんなに多くはいなく、まして、飛べる獣なので今はまだ入っていないが幻獣種にはいるのでは?と言われている。

「おぉ!なんかでた!!」

さっきみたいに尻尾で逃げるのもあるのだが疲れる。こちらの方が効率がいい。

「やべ!」

少し考えているうちにもう間近に黒龍が接近していた。

ガキーーン!

「あれくらってたら終わってたな」

あの音は俺を食べようと黒龍の歯と歯が当たった音だ。さすがに使ったばかりの羽は使い慣れないが、これで挑むしかない。

(おい、九尾。お前って爪だせるか?)

『あるに決まっているだろ、獣だぞ』

(そーでしたね!)

『何する気だ?』

(ちょっくら今考えた技を試そうかなぁってね)

「それじゃいくぜ!『ロードスラッシュ』!」

まず爪をだす。そして黒龍に向かって一直線に飛び、すれ違い際に爪で圧倒的な速さを勢いに切り裂く!

「グワァァアガァガガガガガガァァ!!!!」

黒龍はそのまま下へと落ちていく。

「手応えあり!」

『いや、まだだ!』

「グワァガガガゴカ」

(えー、なんか壊れた口調になってないか?!)

『ヤバいな、やつに邪悪な気が集まっている......そうか、やつはナイトバーストキルを放とうとしているぞ!』

(なんだよ......それ................)汗

『やつの魔法だ。しかも最上級の』

(マジか.....!)

『溜めるのに時間が少しかかるが、あれをくらうと間違いなく死ぬぞ、今のお前ではな』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

大地が震えている、それほどまでにあのナイトバーストキルはとてつもないのだ。

(くそ、どうする......あれをやるか)

「バンブルビー!」

彼の考えはこうだ、チーターでやるはずの技を空で使えるようにするにはチーターなみの速さが必要だ、そこでフライロード。こいつの特徴を活かして直線移動して曲がるときは一回止まりまた直線、そう彼の目的は黒龍の翼を切ること。

「おりゃー!」

「グギィ!!」

ドゥーーーーーーン!!

翼を切られ、バランスをとれなくなってしまった黒龍は天へとナイトバーストキルを放ってしまった。

「よし!」

『ほう、やるな。ますます気に入った!』

俺は、九尾の言葉を無理するように次のニ目撃を準備する。だが、俺は何かに弾き飛ばされた。どうやら黒龍の尻尾にやられたようだ。
そして近くの木にぶつかる。

「いっ......て!」

『痛いな、これが痛みか。どうやら憑依している我にもダメージが来るようだな。どれ、選手交替だ』

すると、憑依がとけ目の前に九尾が現れた。

「グゥウウウウウウ!!!!」

「九尾危ない!」

フッと九尾の姿が消える、と思うと黒龍の後ろに立っていた。

「我が名は九尾、幻獣種なり。我の魔力をくらう換わりにあの黒龍を倒す力を授けよ!『バーニングオブファイヤー』!!」

九尾の周りに真っ赤に燃える炎が現れ黒龍を包み込む。その姿は炎に囲まれ身動きができない羊のようだった。

「グギャァガァアガャグガァアア!!!!」

そして、黒龍の姿は灰へと変わっていった。

「くっ......!」

「九尾!」

突然倒れた九尾の元へ俺は走って行った。

「大丈夫だ、ただ魔力を使いすぎた。それと反動もあった。この魔法はもう使わんと決めていたがまさか使うはめになるとはな......少し休ませてくれ」

「あぁ、ありがとう九尾」

そのあとは俺も疲れて寝てしまったが、何時間がたったあと九尾が起こしてくれて、近くには避難させていたレオンさんを迎えに行った。だが、まだ気を失っているみたいで、九尾が背中に乗せてあげてくれた。そして、サウシャーナへとゆっくり歩いて行った。




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