俺の彼氏は、おとこのこ。

羅那

これって恋ですか?(未完)

大学の入学式…しかもほとんど絡まないであろう見ず知らずの後輩のものなんてめんどくさいから絶対手伝わないと思ってたけど、たまたまバイトもサークルも休みでたまたま困っている友人を見つけてしまって

「俺で手伝えることなら」

と、引き受けてしまった。この出来事が無ければあいつに出会えなかったのかと思うと、友人に感謝しなければならない。




習志野ならしの、そっち終わった?」
「おう、あとこれ留めたら終わる」

俺は入学式に出席する新入生のための資料を作っている。
ぱちん、ぱちん、とホチキスの軽い音が広めの講義室に響く。

「悪いな。前日から手伝ってもらって」
「いいよ、バイトは無いし体育館は使えないしでどうせ暇だったから」

そう言うと資料を留め終わった友人は伸びをし、呟いた。

「こんな日にデートしてくれる子もいないんだもんなぁ」
「それはお前も同じだろ」

すぐさまツッコミを入れる。お互い彼女いない歴=年齢、とまではいかないが高校のうちのたった1年ほどしか彼女はいなかった。同類だ。

「可愛い後輩でも入ればいいな」
「いたとしても奇跡的にサークルとか講義とか被らなきゃ接点すらねぇって」
「まぁ、確かに」

俺の属する体育学部は女子が少なく、いたとしても俺の好みではない。俺の好みはふわっとした雰囲気の可愛い子であって、体育学部の女子とは少し違う。肝心の俺は選り好みできるほどの見た目をしてるわけではないが。

「…よし、終わった。片付けて帰ろうぜ」

友人にそう声を掛け、明日に備えて早めに帰ることにした。




入学式当日、俺は入学式前に新入生たちが座るためのパイプ椅子に資料を置く係になった。少しずつ新入生が入ってきていたため内心慌てていた。

「…あの、」

突然声を掛けられ顔を上げると、そこには天使がいた。
ゆるく巻かれた胸元まで垂れる栗色の髪をサイドにまとめ、ナチュラルメイクなはずなのにとにかく可愛い整った顔。一言で言えばストライクだった。そんな子が急に話し掛けてきたもんだから俺は一瞬固まってしまう。

「…えっ、あっ、なに?」
「文学部の席はどのあたりでしょうか…?」

慣れないのだろうスーツの袖に触れながら困ったように聞いてくるその子は本当に可愛かった。

「あぁ、文学部ならあっちだよ」
「ありがとうございますっ」
「どういたしまして。分かりにくくてごめんな」
「いえ、こうして先輩に聞けたので大丈夫です。優しい人でよかった…」
 
ホッと息を吐き、軽く会釈したあと自分の席へ向かっていった。

「……名前、聞き忘れた…」


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