朝起きたら女の子になってた。

スライム3世

莉奈の作戦



「はぁ〜怠い〜」
「運んであげてるんだから、我慢して」

怠い中、支度を終えて学校に向かう俺と紗香。通常運転で紗香におんぶされて移動している。快速や特急が来られたら終わるだろう。

「……おい、あれ」
「……み、見えてる」

後ろの方から野郎《男》の声が聞こえる。俺が流し目で後ろを向くと数人の野郎が俺の方を見ていた。

(パンツか……)

おんぶされてる影響で分からないが、後ろからはギリギリパンツ略してギリパンが見えているのだろう。

(見えたら駄目だろうが。見えそうで見えないのが至高なのに……。後は、相手が可愛い子だったらそれを口実にお近付きになりたかったな)

俺が無視を決め込むと、野郎の一人がスマホを取り出してこちらに構えてきた。

(俺のパンツ撮るのか? まあ、スマホ使っていたことを合わせて脅せば金が……)

と思っていた時、後ろに見たことのある人物が野郎のスマホを奪った。

「な、何すんだ……よ?」

その人物を見た野郎の威勢が弱くなっていく。

「おい、犯罪だぞ。警察行きてぇのか」
「す、すまねぇ」
「俺に謝っても意味ねぇだろ。あいつに謝れ……ってどこ行った!」

立ち止まって注意していたので、俺は野郎共とは距離を離しており、話しかけられることはなかった。


*****


学校の校門を抜け、昇降口に入ると学級委員である結衣が挨拶をしていた。

「おはようございま〜す」
「「……」」

「おはよう、二人とも〜」
「「……」」

「おはよう……」

俺と紗香に無視されて落ち込んできたところで一応の返事はする。

「「元気ないな(ね)」」
「うん、分かってたよ。私に酷いことくらい」
「いや、今回だけは勘弁してくれ」
「今回だけじゃないと思う」
「そうだな」
「そこ納得しちゃうんだ!」

本人には悪いと思うが、相変わらず良いリアクションの持ち主だと思う。まぁ、それは置いといて本当の事《生理》を伝えた。

「それなら仕方ないね。私もイラついちゃう時あるよ。……って、ここで話してても仕方ないね。とりあえず、頑張ってね」

そう言い残して、結衣は移動しながら他の登校者に挨拶を再開した。

(それにしても、また体調が悪くなってきたぞ……。教室入ったら、少し寝るか)


*****


【莉奈視点】

遂にこの時がやってきた。やってきたのだ。

私が長い長い間《昨晩》、望み続けた思い《欲望》が叶う時が来たのだ。

「……それにしても、どうして離れないの」

あの姉妹が教室に入って来たのは良いものの、ターゲットである人物が初っ端から机に突っ伏してしまった。そして、ターゲットである人物の髪の手入れをしているターゲットの姉。

しかし、そんな問題は些細なこと。私は席を立ち上がりターゲットの下まで行く。しかし、それを邪魔しようとしてくる人物が突如現れた。

「邪魔するの?」
「違うよ。丁度、この場所に行きたいな〜って思ったの」
「そうなんだ。じゃあ、私は違う道から……」
「ああ〜 今度はこっちに〜」

その後もターゲットの下まで行くことが出来なかった。痺れを切らした私は、実力行使へと思考を転換する。

「紗香、悪く思わないでね。私の邪魔をするからいけないんだよ」
「今の沙雪に関わらせる訳にはいかないよ。それよりも……私に勝つのは1万年と2000年早いよ」
「それはどうかな。この決戦の為に私は切り札を持ってきたんだから」
「それが私に効くと?」
「絶対効くよ。はい、これあげる」

何かが入った小さな袋を手渡す。

「何が入って……ぎゃぁぁぁぁ」

袋の中身を確認した紗香は、大声を上げて教室から出て行ってしまった。その際に袋の中身が宙を舞い地面に落っこちた。その正体とは……Gのレプリカだ。

「ん? 何か落ち……いやぁぁぁぁ」

落ちた付近にいた女子にも被害が及び、教室から出て行ってしまった。しかし、そんな自体は気にせず、私はGのレプリカを回収すると、泰然とした態度でターゲットの下まで行く。

(さぁ、ターゲット……いや、沙雪ちゃん。いっぱい良いことしてあげるからね。ぐふふ)

机に突っ伏している状態の沙雪ちゃんの顔が見えない。だから、私は沙雪ちゃんの頭を持って横に向けさせる。

「沙雪ちゃんおはよう。会いたかったよ〜」

警戒されない様に私は努めて、普通に接する。しかし……。

「ん? お姉ちゃんは誰なの……?」
「え……?」

全く思ってもみなかった返事が返ってきた。


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